「建物のアスベストの有無を
どのように調べたらよいでしょうか。」
アスベストは、減価要因です。
アスベスト含有建材の除去費用相当額が
不動産価格から減額されます。
売買等で買主から減額を求められることもあり、
詳細がわからないほどリスクとして
除去費用以上の減額をされることもあります。
鑑定評価においては、建物の個別的要因として
「有害な物質の使用の有無及びその状態」があるため、
アスベスト調査が必要になります。
企業会計基準においても、資産除去債務として
原状回復のために必要な将来のアスベスト含有建材の
処分費用を負債として評価することが必要です。
もちろん詳細な調査については
専門業者に個別具体的に依頼する必要がありますが、
下記のとおり概要を調べることができます。
【新築年次による可能性】
新築年次により、概ね以下のとおり分類できます。
飛散性の高い吹付けアスベストは昭和50年頃以前、
石綿含有吹付けロックウールは平成2年頃以前の建物に
多く使われている可能性があります。
■昭和50年10月のアスベスト含有量5重量%超の
吹付アスベスト原則禁止前の建築物
■昭和50年10月以降のアスベスト含有量5重量%超の
吹付アスベスト原則禁止以降の建築物
■昭和55年の日本石綿協会の自主規制による
アスベスト含有ロックウール製造禁止以降の建築物
■平成元年の建設省通則個別指定の
石綿含有吹付け材の製造中止以降の建築物
■平成7年4月の特定化学物質等障害予防規則改定による
アスベスト含有量1重量%超の建材禁止以降の建築物
■平成18年9月の石綿障害予防規則改正による
アスベスト含有量0.1重量%超の建材禁止以降の建築物
【アスベスト対策費用の目安】
処理面積や場所、建材の状況等により異なりますが、
平成20年に国土交通省が公表した目安は以下のとおりです。
面積が大きくなるほど、単価は下がる傾向にあります。
処理面積 費用の目安
300㎡未満 20千円/㎡〜85千円/㎡
300〜1,000㎡未満 15千円/㎡〜45千円/㎡
1,000㎡以上 10千円/㎡〜30千円/㎡
【不動産鑑定評価基準運用上の留意事項】
■有害な物質の使用の有無及びその状態
建設資材としてのアスベストの使用の有無及び
飛散防止等の措置の実施状況並びに
ポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況に
特に留意する必要がある。