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  1. 士業に役立つ不動産評価まめ知識
 

士業に役立つ不動産評価まめ知識

2021/06/11
「相続税評価で、宅地の評価倍率が
1.1となっているのはどうしてですか?」

【評価倍率1.1の理由】

相続税評価額 :公示地価の80%水準
固定資産評価額:公示地価の70%水準

対象地の固定資産評価額を
相続税評価額の水準に合わせるために
70 × 1.1 = 77 ≒ 80
となるからです。

【公的価格バランス】

公示地価・基準地価を100=時価として、
相続税評価は80、固定資産評価は70
水準となっています。

■相続税路線価
路線価等は、1月1日を評価時点として、
1年間の地価変動などを考慮し、
地価公示価格等を基にした価格(時価)の
80%程度を目途に評価しています。

■固定資産評価
平成6年度の評価替えから、
土地基本法第16条や総合土地政策推進要綱等に基づく
「公的土地評価の均衡化・適正化」の要請により、
当時の相続税評価との均衡や、
昭和50年代の地価安定期における
地価公示価格に対する固定資産税の評価額の割合等から、
宅地の評価については地価公示価格等の
7割を目途に評価を行うこととされました。

【地目「雑種地」に注意】

雑種地の固定資産評価額に
そのまま宅地の評価倍率を乗じて
相続税評価額を出すことは、
適正な評価額とならない場合が多く、
否認されるリスクが非常に高くなります。

国税不服審判所平成16年3月31日裁決など、
雑種地の固定資産評価額に宅地の評価倍率を乗じて
否認された事例もあります。

<イメージ例>
宅地としての時価水準(100%水準)を
1,000万円とします。

宅地としての固定資産評価額(70%水準)は
1,000万円 × 70% = 700万円 となります。

雑種地としての固定資産評価額は、
仮に雑種地補正0.60とすると、
700万円 × 0.60(雑種地補正)= 420万円 です。
(利用状況や市町村によって減額割合は異なります)

宅地の評価倍率1.1倍を適用すると、
700万円 × 1.1倍 = 770万円(80%水準)
420万円 × 1.1倍 = 462万円(50%水準)

雑種地の固定資産評価額は、
地目補正が適用されて減額されているケースが多く、
雑種地の固定資産評価額に宅地の評価倍率を乗じると
このように大きな乖離が生じてしまいます。

特に、現況が宅地と類似する利用状況の場合や、
登記地目は「宅地」なのに、
課税地目が「雑種地」となっている場合など、
その固定資産評価額がどのように算定されているか
しっかり確認することが大切です。


2021/06/10
「不動産に抵当権が設定されているのですが、
評価に影響はありますか?」

【抵当権の評価への影響】

抵当権が設定されていることによる
鑑定評価額への影響は、基本的にありません。

「抵当権は減価要因ではない」ということです。

抵当権が交換価値を把握する権利で、
権利割合が変わるわけでもなく、
使用収益を制約するようなものでもないからです。

【登記簿乙区】

抵当権は価格に影響を及ぼさないため、
極論を言うと、評価にあたって
乙区欄の抵当権は読み飛ばしても大丈夫
ということになります。

一方、借地権(地上権・賃借権)、区分地上権、
地役権の設定の有無は価格に大きく影響するので、
しっかり確認する必要があります。

もちろん実務上は
抵当権を読み飛ばすことはなく、
各債権者の立ち位置や利害関係等について
確認することになります。

【金融機関(抵当権者)との関係】

抵当権が設定されていても、
不動産を自由に使うことができます。

処分も自由にできないわけではないですが、
実務的には優先弁済権を有する
金融機関と協議し、その同意を得た上で
売却することが一般的だと思います。

特に、共同担保となっている場合など
金融機関との協議が整わないと
現実的には売却困難となるケースもあります。

このような場合、
抵当権がない物件と抵当権がある物件で
現実的には差異があるようにも感じます。

【民法第369条】

「抵当権者は、債務者又は第三者が
占有を移転しないで
債務の担保に供した不動産について、
他の債権者に先立って
自己の債権の弁済を受ける権利を有する。」


2021/06/09
6/7の朝日新聞で、
「関電、元助役側から高値で土地を賃借
という記事が掲載されていました。

「資機材置き場として
高値で借りていたことが分かった。
関係会社側が得る収入は相場の2倍超だった。
関電関係者によると、
社内で賃料の高さが指摘され、
関電はこの賃貸借契約を今年3月に解除した。」
とのことです。

関電に対して何か言いたいのではなく、
昔からの土地賃貸借契約についてのみ取り上げます。

【問題の所在】

昔からの土地賃貸借契約については、
改めて賃料をチェックした結果、
現在では適正とはいえない内容
なっている場合があります。

今後どのように見直していけばよいのか。
しっかり検討していく必要があります。

■契約当初は適正だったが、現在は不適正

契約当初は適正な地代となっていても、
その後の経済情勢の変動により、
割高・割安な地代となっていることがあります。

適正な範囲(幅)の間であればよいのですが、
著しく割高・割安の場合は見直しが必要です。

地代が割高・割安であることは、
当該土地価格(底地・借地権価格)に大きな影響があるほか、
地代支払いというキャッシュフローにも影響し、
最悪の場合は寄付や利益供与と言われるリスクも。

■契約当初から適正ではなく、現在も不適正

契約当初から、なんらかの事情や意図
割高・割安に地代が設定されているケースです。

本来は他の理由での金銭授受なのに、
土地賃貸借契約に含めてしまっていることがあります。

地代の定め方は下記のとおりですが、一般的には
適正な範囲を超えた土地価格or利回り
に基づいて地代が決まっています。

今回の関電のケースは、新聞報道によると
こちらの可能性があるということです。
(詳細の内容については不明です。)

【賃料の定め方】

地代の賃貸事例は、売買事例と違って
収集するのが難しく、そもそもの件数も少ないです。

そのため、新規地代の定め方としては、
鑑定評価における積算法を適用することが多いです。

土地価格 × 利回り + 公租公課 = 地代
土地価格 × 利回り(粗利回り) = 地代

とてもシンプルな計算式です。
土地価格も利回りも適正な範囲であれば、
求められる地代も適正な範囲となります。

問題が生じているケースは、
土地価格or利回りが、著しく高いor低い。
ここに集約されます。
(一時金を多額or少額にするケースもあります。)

【まとめ】

以前からの土地賃貸借契約について、
現時点で見ても適正な内容となっているか。
数年に一度はチェックすることをオススメします。


2021/06/07
「境界が未確定であることは、
土地の価格に影響がありますか?」

境界、筆界、所有権界など、
土地家屋調査士さんが活躍される分野です。

いわゆる境界が決まっていない、不明である、
明らかではない、境界紛争が起こっているなど、
土地の価格にどのような影響があるのでしょうか。

【価格への影響】

境界未確定であることは、
減価要因になる場合があります。

「場合がある」というのは、
個別的要因として個々の評価の際に減価する場合と、
地域の価格水準に織り込まれている等の理由から
個別的要因としては減価しない場合があるという意味です。

いずれにせよ、境界が確定している場合と比べ
境界未確定がマイナスの影響があることは明白です。

【評価に際しての考え方】

■周辺の不動産の境界が確定している場合

新しく分譲された住宅地や
地籍調査などで境界が確定している地域では、
標準的な土地(大半の土地)は境界確定しています。

このような地域の中にある境界未確定の土地は、
標準的な土地が境界確定されていることから、
個別的要因として個々の評価の際に減価が発生します。

■周辺の不動産も境界未確定の場合

古くからの農家集落地域などでは、
標準的な土地(大半の土地)は境界未確定です。

このような地域の中にある境界未確定の土地は、
標準的な土地も境界未確定であることから、
個別的要因としては評価の際に減価を行わないことが多いです。
地域の価格水準に既に織り込まれていると考えられるからです。

■境界紛争

境界紛争が起きているor起きる可能性が高い場合は、
通常の境界未確定の場合より減価の程度は大きくなります。

【相続税の物納】

境界未確定であることは、
地積増減の可能性、取引の際に問題が生じる可能性、
将来的な境界紛争の可能性など危険がいっぱいです。

さらに、相続税を払うために
土地を物納しようとしても、
境界未確定である場合は物納できません。

■国税庁 No.4214 相続税の物納
管理処分不適格財産
次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産となります。
イ 不動産
(ハ) 境界が明らかでない土地

【まとめ】

以上のとおり、境界未確定であることは、
様々な問題が生じるリスクがあるため
土地の価格にマイナスの影響があります。

ただ、マイナスをどのように考慮するかは、
地域の標準的な土地と比べる必要があります。

みんなスーツを着ている中でパジャマは個性ですが、
みんなパジャマの中でパジャマを着ているのは普通です。

なお、境界問題で困った場合は、
不動産鑑定士ではなく、土地家屋調査士さんへ


2021/06/06
「そもそも鑑定評価ってなんですか?」

【鑑定評価とは】

鑑定評価とは、法律でも基準でも、
不動産の経済価値を判定し、
価格(賃料)として表示すること です。

ただ、これだけだと
誰でもできてしまうような気もしますよね。

■不動産の鑑定評価に関する法律(第2条)
不動産の鑑定評価とは、
「不動産の経済価値を判定し、
その結果を価額に表示することをいう。」

■不動産鑑定評価基準(総論・第1章第3節)
「不動産の鑑定評価は、
その対象である不動産の経済価値を判定し、
これを貨幣額をもって表示することである。」

【鑑定評価の手順】

鑑定評価の手順は、
不動産鑑定評価基準に定められています。

■不動産鑑定評価基準(総論・第8章)
① 鑑定評価の基本的事項の確定
② 依頼者、提出先等及び利害関係等の確認
③ 処理計画の策定
④ 対象不動産の確認
⑤ 資料の収集及び整理
⑥ 資料の検討及び価格形成要因の分析
⑦ 鑑定評価の手法の適用
⑧ 試算価格又は試算賃料の調整
⑨ 鑑定評価額の決定並びに鑑定評価報告書の作成

けっこういろんな手順があるんだなと
思って頂けるでしょうか。

どんな資料を集めるのか。
その資料や価格形成要因をどう分析するのか。
どのように鑑定評価の手法を適用するのか。

評価主体によって考え方が違う場合もあり、
これらの違いが結果の違いに直結していきます。

【練達堪能な専門家】

このような鑑定評価の手順を
適切に行って、適正な判定を行うためには、
やはり練達堪能な専門家である必要があります。

■不動産鑑定評価基準(総論・第1章第3節)
「鑑定評価は、高度な知識と豊富な経験及び
的確な判断力を持ち、さらに、
これらが有機的かつ総合的に発揮できる
練達堪能な専門家によってなされるとき、
初めて合理的であって、
客観的に論証できるものとなるのである。」

【まとめ】

“鉛筆なめなめ”などと
揶揄されることもある鑑定評価。

こうやって概要を見るだけでも、
様々な資料を集めて分析して、
しっかり評価していると思いませんか??


2021/06/03
「小規模宅地等の特例を適用する土地について、
鑑定評価で相続税評価額を
適正に見直すことはできますか?」

【小規模宅地等の特例は“天敵”】

小規模宅地等の特例を適用する土地は、
鑑定評価をするメリットが無いことがほとんどです。

小規模宅地等の特例は、
まさに「特例」として相続税評価額を下げるもので、
特例が適用されるからといって、
土壌汚染など具体的な減価があるわけではありません。

鑑定評価においては、
具体的な減価の要因がないものを
勝手に減価することはできないため、
小規模宅地等の特例は
鑑定評価の“天敵”となってしまうのです。

【小規模宅地等の特例の減額割合】

小規模宅地等の特例を適用するための要件は、
ざっくりいうと
被相続人または生計一親族の
事業用または居住用の宅地等で、
建物または構築物の敷地であること です。

この要件に該当すると、
限度面積はあるものの、
▲50%〜▲80%もの大きな減価となります。

しかし、鑑定評価においては、
被相続人等の事業用・居住用の建物敷地であることは
全く減価の要因にはなりません。
減額割合ゼロです。

【遺産分割における注意点】

小規模宅地等の特例は、
相続税評価額を下げる(相続税額を下げる)ためには
非常に大きな効果があるものです。

しかし、当該土地に
具体的な減価が発生しているわけではなく、
本来的な資産価値(時価)には全く影響がありません。

そのため、遺産分割をされる場合、
特に裁判や調停など分割方法でもめている場合は、
本来的な資産価値(時価)との乖離にご注意ください。

小規模宅地等の特例を適用した相続税評価額を
適正な「時価」であると主張されるケースも散見されます。

その価格(相続税評価額)が
どのような前提で評価されているのか、
しっかり見ていくことが大切です。


2021/05/24
「競売の評価書の評価額を
時価と考えてもよいでしょうか」

このようなご質問も良く頂きます。

【競売の評価額≠時価】

競売の評価額を、
時価として取り扱うことはできません。

競売不動産の評価は、競売市場における
売却基準価額を定めるためのものですので、
一般の鑑定での正常価格(時価)とは異なり、
競売特有の価格形成要因を考慮する必要があります。

競売の評価書では、評価の最後に
「競売市場修正」がなされていることが
最も大きな違いです。
(途中までの評価は一般の鑑定と同様です。)

【競売市場修正】

地域や物件により異なりますが、
概ね▲30%〜▲50%程度の減価がされています。

通常評価 1,000万円=時価
競売評価 1,000万円×0.60(競売市場修正)=600万円
というイメージです。

 ① 事前に立ち入って内部を確認できないこと
 ② 売主(所有者)の協力が得られないこと
 ③ 引渡しを受けるために法定の手続きが必要な場合があること
 ④ 早期売却のため売出し期間が限られること
 ⑤ 保証金の提供、短期間に代金全額を納付する必要があること

このような理由により、競売の評価は、
一般の評価(時価)とは異なることになります。

「民事執行の実務 不動産執行編 上」
東京地方裁判所民事執行センター実務研究会編著
金融財政事情研究会発行でも、下記のとおり記載があります。

「競売不動産の評価は,競売市場における最低売却価額
(平成16年法改正前)を定めるためのものであるから,
一般の鑑定におけるいわゆる正常価格
(一般市場において形成される価格)とは異なり,
競売特有の価格形成要因を考慮する必要がある。」

【正常価格(時価)とは?

不動産鑑定評価基準によると、下記のとおりです。
競売市場の前提とは異なっていることがわかります。

正常価格とは、市場性を有する不動産について、
現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる
条件を満たす市場で形成されるであろう
市場価値を表示する適正な価格をいう。

この場合において、現実の社会経済情勢の下で
合理的と考えられる条件を満たす市場とは、
以下の条件を満たす市場をいう。

(1)市場参加者が自由意思に基づいて市場に参加し、
   参入、退出が自由であること。
(2)取引形態が、市場参加者が制約されたり、
   売り急ぎ、買い進み等を誘引したりするような
   特別なものではないこと。
(3)対象不動産が相当の期間市場に公開されていること


2021/05/20
「相続と売買がようやく終わったのに、
公衆用道路で非課税になっていた
私道が出てきてしまいました。
どうしたらいいでしょうか?」

【固定資産評価証明書】

非課税の私道の場合、
固定資産評価証明書(課税明細書等)に
載っていないことがあります。
(市町村により異なります)

非課税についても記載するよう申請するか、
全物件が載っている名寄帳等を見る必要があります。

売買や相続等の場合、非課税私道を失念し、
私道以外の不動産だけで
手続きを進めてしまうことにもなりかねません。

後から気が付いてビックリ!どうしよう…。
というのは、けっこう“あるある”です。

【私道の評価】

後から気が付いて私道だけの譲渡をする場合、
今度はいくらにすれば良いのかが問題になります。

「土地価格比準表」(七次改訂・地価調査研究会編著)
によると、標準住宅地域の私道減価として
以下のとおり記載されています。

準公道的私道  ▲80%以上
共用私道    ▲50%〜▲80%
専用私道    減価の記載なし

普通に考えると、私道なんて全く価値が無く、
ゼロでいいじゃないかと思ってしまいますし、
実際の取引ではそのような場合も多いです。

今回の場合は、公衆用道路になっているため、
不特定多数の者の通行の用に供されていることが推認されますので、
準公道的私道もしくは共用私道に該当する可能性が高いです。

ただ、私道といってもいろんな種類があり、
すぐに宅地に戻して普通に宅地利用できる私道もあれば、
将来的にずっと道路になっている私道もあります。

将来的にずっと私道ならゼロ評価でしょうが、
すぐに宅地に戻せる私道がゼロっておかしいですよね。

このような「宅地転化の可能性」によって
私道の価値は大きく変わってきます。

建築基準法上の道路かどうか、
どのような道路に指定されているかで
宅地転化の可能性がどれくらいか調べることができます。


2021/05/19
「地代家賃の増減額請求をしたいのですが、
直近合意時点とは何ですか?」

現在の地代家賃を増額・減額したい場合、
直近合意時点から現時点までの
経済情勢等の変動を考慮して、改定賃料が決まります。

そのため、直近合意時点がいつになるかは
改定賃料に大きな影響があります。

なお、この場合の賃料の鑑定評価を
「継続賃料」の鑑定評価といいます。

【直近合意時点】

直近合意時点とは、契約当事者間で
現行賃料を合意しそれを適用した時点です。

「継続賃料の鑑定評価は、原則として、
直近合意時点から価格時点までの事情変更を考慮
するものであり、直近合意時点は
事情変更を考慮する起点となるものである。」
とされています。

しかし、「現行賃料を定めた時点」の
判断基準が必ずしも明確ではなく
時点の捉え方次第で
結果が大きく異なることがありました。

実務上では、「合意」とまでいえるか微妙な
「確認書」や「覚書」「念書」など色々あります。
契約書の文言を見ていくと、さらに複雑になってきます。

30年前が直近合意時点だと思っていたら、
別の書面が出てきて2年前が直近合意時点になったり、
賃料評価に大きな影響が出てくることも珍しくありません。

【実務上の注意点】

何十年も続く賃貸借契約の場合、
途中の経緯がわからないことがあったりもしますが、
最も大切なのは直近合意時点です。

直近合意時点が覆ってしまうと、
当初想定していた地代家賃の増減額請求が
できなくなってしまうこともあり得ます。

契約書、賃料振込の通帳履歴、当事者ヒアリングなど
できる限りの調査をしておくことが重要です。

さらに、継続賃料評価は、新規賃料100として、
いきなり200→100、10→100の水準になったりせず、
少しずつ徐々に本来の水準に近づいていくことになります。

少しずつしか変わらないなら、
手間がかかって面倒だからやめておくというのではなく、
早め早めからしっかり行動していくことが大切です。

何もしなければそのままの賃料が続くことになり、
月額ならそれほどの金額でもなくても、
何年、何十年と積み重なると大きな差になってしまいます。


2021/05/18
「建物のアスベストの有無を
どのように調べたらよいでしょうか。」

アスベストは、減価要因です。
アスベスト含有建材の除去費用相当額
不動産価格から減額されます。

売買等で買主から減額を求められることもあり、
詳細がわからないほどリスクとして
除去費用以上の減額をされることもあります。

鑑定評価においては、建物の個別的要因として
「有害な物質の使用の有無及びその状態」があるため、
アスベスト調査が必要になります。

企業会計基準においても、資産除去債務として
原状回復のために必要な将来のアスベスト含有建材の
処分費用を負債として評価することが必要です。

もちろん詳細な調査については
専門業者に個別具体的に依頼する必要がありますが、
下記のとおり概要を調べることができます。

【新築年次による可能性】

新築年次により、概ね以下のとおり分類できます。

飛散性の高い吹付けアスベストは昭和50年頃以前、
石綿含有吹付けロックウールは平成2年頃以前の建物に
多く使われている可能性があります。

昭和50年10月のアスベスト含有量5重量%超の
 吹付アスベスト原則禁止前の建築物

昭和50年10月以降のアスベスト含有量5重量%超の
 吹付アスベスト原則禁止以降の建築物

昭和55年の日本石綿協会の自主規制による
 アスベスト含有ロックウール製造禁止以降の建築物

平成元年の建設省通則個別指定の
 石綿含有吹付け材の製造中止以降の建築物

平成7年4月の特定化学物質等障害予防規則改定による
 アスベスト含有量1重量%超の建材禁止以降の建築物

平成18年9月の石綿障害予防規則改正による
 アスベスト含有量0.1重量%超の建材禁止以降の建築物

【アスベスト対策費用の目安】

処理面積や場所、建材の状況等により異なりますが、
平成20年に国土交通省が公表した目安は以下のとおりです。
面積が大きくなるほど、単価は下がる傾向にあります。

処理面積         費用の目安
300㎡未満      20千円/㎡〜85千円/㎡
300〜1,000㎡未満   15千円/㎡〜45千円/㎡
1,000㎡以上     10千円/㎡〜30千円/㎡

【不動産鑑定評価基準運用上の留意事項】

■有害な物質の使用の有無及びその状態
建設資材としてのアスベストの使用の有無及び
飛散防止等の措置の実施状況並びに
ポリ塩化ビフェニル(PCB)の使用状況及び保管状況に
特に留意する必要がある。

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