士業専用ダイヤル
「道路」って難しい!
実務をしていると、
いろんな「道路」が出てきてよくわからない。
この場合の道路はどう考えたらいいの?
このようなご質問も非常に多いです。
接道義務
建築基準法では、第43条で
「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。」
と規定されています。
ここでいう「道路」とは、
建築基準法(第42条)で定められた
“ちゃんとした道路”でなければなりません。
幅員が広ければ必ずOKというわけでもなく、
幅員が狭くてもセットバックが必要ない道路もあります。
さらには建築基準法上の道路ではない
里道や道路状敷地、敷地内の舗装された通路など
あまりに千差万別なことが混乱しやすい原因だと思います。
「道路」とは?
そこで、まずは道路とは何かを
ちゃんと整理しておこうと思います。
建築基準法第42条には以下のとおり規定されています。
■42条1項1号
幅員4m以上の道路法による道路
国道・都道府県道・市区町村道などが該当します。
一般的に普段よく目にする道路です。
議会承認を経て、市区町村道に認定されることになります。
建築基準法上の道路判定とはまた別のルートで決まりますので、
必ずしも市区町村道=建築基準法上の道路とはなりません。
特に、幅員4m未満の場合は、さらなる調査が必要です。
■42条1項2号
開発道路です。
開発許可を受けて宅地分譲をする際に、
その開発区域内に新しく築造された道路です。
私有地なので「私道(わたくしみち)」に分類されます。
■42条1項3号
建築基準法施行以前からあった道路です。
幅員4m未満の道路も含みます。
下記の「2項道路」と非常に混同しやすく、
こちらの指定がある場合は、幅員が狭くても
セットバックをする必要はありません。
■42条1項4号
2年以内にその事業が執行される予定の道路として
特定行政庁が指定したものです。
実務ではあまりお目にかかりません。
■42条1項5号
位置指定道路です。
指定番号、指定年月日、認定幅員も確認します。
基準を満たした幅員4メートル以上の道で、
特定行政庁からその位置の指定を受けた道路です。
私有地なので「私道(わたくしみち)」に分類されます。
■42条2項
通称「2項道路」と言われます。
S25.11.23か、その地域が都市計画区域に指定された時に
現に存在する幅員1.8m以上〜4.0m未満の道路で、
既に建築物が建ち並んでおり、
その他特定行政庁が定める基準を満たす道路です。
2項道路はセットバックが必要となります。
セットバックとは
セットバックとは、
2項道路に対して適用される規定ですので、
4m未満の幅員でも42条1項3号道路の場合は
セットバックの必要はありません。
セットバック部分は道路とみなされてしまうので、
補償や買取などはありません。
また、みなし道路部分に
建築物を建築することもできません。
概要だけでも、けっこうな文量になってしまいました。
さらに具体的な内容については、
また改めて書きたいと思います。
土地の一部が道路になっているんだけど、
道路部分の固定資産税はちゃんと減額されてるのかな?
鑑定士さんにお願いしたら調べてもらえる?
このようなご質問もよく頂きます。
もちろん鑑定士にご依頼頂くこともうれしいのですが、
今回は調べ方を公開しちゃいます!
簡単なチェック方法
これだけチェックすれば、
非課税になっているかどうか簡単にわかります。
数字を比べるだけなら誰でもできますし、
その後の調査等は専門家に依頼すればスムーズです。
まずは登記簿と固定資産税の課税明細書を手元に揃えます。
(課税明細書は、評価証明書や公課証明書でもOKです)
課税明細書の課税地積と登記簿の公簿地積を比べます。
実際は一部道路になっているのに、
課税地積 宅地 100㎡
公簿地積 宅地 100㎡
というように、同じ地積である場合は
公衆用道路として減額されていない可能性が高いです。
一方、
課税地積 宅地 80㎡
公簿地積 宅地 100㎡
というように数量が異なっている場合は、
20㎡分は非課税になっている可能性が高いです。
なお、非課税部分については、
全て書面に記載されている市町村と
非課税部分は書面に記載しない市町村があります。
どんな場所が可能性高いの?
昭和40年代くらいまでの古い住宅団地や
昔からの既成市街地で見つかる可能性が高いです。
一方、最近新しく造成された住宅地などでは、
宅地部分と道路部分が明確に分かれていますので、
古くて歴史のある地域ほど
宅地の一部が道路となっていることがあります。
ざっくり調査フローチャート
当該道路部分が、固定資産税非課税となる
「公衆用道路」に該当するのかを調べます。
その上で、実際に固定資産税が
適正に課税されているかどうか調べます。
公衆用道路として非課税に該当するのに
誤って固定資産税が課税されている場合は、
市役所(町役場)担当課へ非課税申請をすることができます。
どうやって「公衆用道路」か調べるの?
その道路が市区町村道に指定されているか。
建築基準法上の道路となっているか。
実際に不特定多数の人が通行できる状態か。
役所の担当課や現地で調査を行います。
市区町村道や建築基準法上の道路であれば、
公衆用道路と認めてもらえる可能性が高いです。
もしこれらの指定が無くても、
現地の写真で道路として舗装(利用)されているとか
地図・公図等で不特定多数の人の通行が想定されるかを
さらに調べていくことになります。
「公衆用道路」は非課税
地方税法第348条第2項で「固定資産税は、
次に掲げる固定資産に対しては課することができない。」とされ、
その第5号に「公共の用に供する道路」があります。
実務でいうところの「公衆用道路」です。
登記地目とは関係なく、現況優先で判断されます。
具体的には、路地状敷地や専用通路などではなく、
不特定多数の人が利用する道路であることが必要です。
交渉の“モノサシ”に
不動産の価格は、時の流れで変化します。
また、同じ時点でも、価格には幅があり
適正な価格がいくらかわかりにくいのが実情です。
不動産の売買をする場合、
売主or買主が提示した価格は適正なのか、
ぼったくりされたりしていないか心配ですよね。
私がお付き合いのある業者さんはみなさん紳士ですが、
不動産業者さんの査定額が信頼できないと
ご相談を受ける場合もあったりします。
売主は高く売りたいし、買主は安く買いたい。
でも、様々な関係から無茶を言っているように
思われたりもしたくないし、どうしよう…。
こんな場合も、不動産鑑定士がお役に立ちます。
売主にも買主にも忖度しない
適正など真ん中の価格をお出しすることができます。
鑑定価格で売買しなければならないわけではなく、
交渉のスタートとなる基準をお示しします。
価格の見える化
たとえば、あなたが売主だったとしましょう。
買主とは特別な関係があるので、
相場で1,000万円の土地を
20%安く800万円で売ろうと考えます。
売主が提示した800万円は相場より20%も安いのですが、
買主は600万円が相場だと思っていたとします。
この場合、せっかく安く売ろうと親切に言ったのに、
買主は逆に200万円も高く売りつけられていると感じます。
このようにお互いが相場をちゃんと把握していないと、
どちらにとっても不幸せな結果となってしまいます。
ペットボトルは150円が定価だと知っているからこそ、
100円だと安いと思うし、200円だと高いと思う。
みんなが相場を共有しているから高い安いの話ができます。
あなたが買主の場合も同様です。
買主が相場は600万円だと思った上で、
高めの800万円で買おうと提示しているのに、
売主は1,000万円が相場だと思っていると、
高く提示したつもりが安く提示したことになります。
このようにスタートラインとなる価格を
お互いに共有することにより、
疑心暗鬼になることなく、売買期間も短縮できて
気持ちよく取引ができると思います。
よくあるご相談
交渉相手の価格が適正かどうか見てほしい。
相手にいくらで提示したらいいか教えてほしい。
更地の売買なら価格だけでほぼ大丈夫ですが、
古家付の物件であったり、収益物件であったり、
どのような前提条件で売買するのかによって
同じ物件でも価格が変わってくることがあります。
しっかり取引対象と前提条件を整理した上で、
適正な価格で売買するお手伝いをしていきたいです。
鑑定評価って何を見て値段付けるの?
地域要因三部作のラストは<工業地域>です。
工業地域は、高速道路インターチェンジ(IC)への接近性と
大きなトラックでも通れる幅員が重要な要素です。
工業地域の地域要因
不動産鑑定評価基準では、
先日挙げた住宅地の要因のほか、
工業地域特有の地域要因として7項目が例示されています。
この中から、評価実務に沿って
工業地域を見るチェックポイントをお話します。
■街路条件
現在の日本は陸運が中心です。
そのため、トラックが出入りしたり、
高速道路ICまでのルートが整備されていたり、
幅員や街路整備の状態が非常に重要です。
大きな工場であるほど、10tトラックなど
大きなトラックの出入りの便が重要になってきます。
そのため、6mが目安の住宅地域とは違い、
10m以上の幅員が喜ばれたりするケースも多いです。
また、広すぎると中央分離帯が出てくる場合もあり、
敷地への出入りの便がどうなっているか
現地での確認が大切です。
■交通接近条件
工場地域は、高速道路ICへの接近性が重要です。
実際の売買実例でも、IC近くの工業地域は人気が高く、
価格もしっかり付いていることが多いです。
一方、住宅地域や商業地域と違って、
鉄道駅との接近性はそれほど大きく考慮されません。
もちろん従業員の通勤の便もありますので、
あまり山の中だと人が集まらなくて困ることもあります。
AIや機械化が進むと、これも変わってくるかもしれません。
■環境条件
当初から工業用地として整備された工業団地であれば
比較的問題は少ないです。
一方、昔から工場だった自然発生的な工業地域は
周辺の住宅地域や商業地域との関係で、
騒音や煙、トラック往来などトラブルになるケースも。
また、工業用水が整備されていない地域だと、
進出できる業種が限定されることもあります。
■行政的条件
商業地域と違って、容積率はあまり問題になりません。
用途地域で工業専用地域に指定されていると、
将来的に住宅用途への転換ができないことに注意です。
土壌汚染に要注意!
土壌汚染の可能性が最も高いのは工業地域です。
土壌汚染対策法、水質汚濁防止法、下水道法の調査を行い、
現地で地下タンクの有無や有害物質の使用履歴等を確認し、
しっかりリスクを把握することが大切です。
場合によっては、指定調査機関と連携し、
土壌汚染リスクを適切に反映する必要があります。
土地価格が低い地域だと、
土地価格より浄化費用の方が高く見積もられたり、
様々な問題が出てきます。
鑑定評価の中では、条件により考慮外とすることもあり、
この場合は契約書で土壌汚染負担に関する条項を作るなど
適切にリスク管理をする必要があります。
工業地域にもさらに種類がある
工業地域といっても、さらに細分化できます。
大工場地域
中小工場地域 です。
大工場は、鑑定の中では3万㎡〜5万㎡以上、
固定資産評価では5万㎡以上の敷地規模が該当します。
少しの単価の違いで総額が大きく変わりますので、
しっかり説明力のある鑑定評価を行うことが大切です。
鑑定評価って何を見て値段付けるの?
「地域要因<住宅地域>」に続いて、
商業地域を取り上げたいと思います。
商業地域は、繁華性と収益性。
この2つが重要な要素です。
商業地域の地域要因
不動産鑑定評価基準では、
先に挙げた住宅地域の要因のほか、
商業地域特有の要因として10項目が例示されています。
この中から、評価実務に沿って
商業地域を見るチェックポイントをお話します。
■街路条件
商業地域でも幅員はとても重要です。
人と車の流れや量に直結します。
郊外の幹線道路沿いの商業地域では、
幅員だけではなく、主要国道や都道府県道など
「系統連続性」も大きなポイントになります。
単に幅員の広い狭いだけでは、
広い幅員の道路なんていっぱいありますし、
誰も通らない道路では商売しにくいですよね。
このような幹線沿いの商業地域では、
駐車場の広さや入りやすさ等も
収益性に大きな差が出てきます。
さらに、道路幅員が狭いと、
行政的条件で挙げる容積率にも影響が出てきます。
幅員が狭いと、本来の容積率が使えなくなります。
■交通接近条件
駅前や駅近くの商業地域であれば、
駅からの距離は大きな差になってきますし、
どの駅の近くかはさらに大きな差が出てきます。
都心部や特急停車駅など繁華性が高い駅のほうが
顧客の通行量が多く、高い収益性が見込めます。
また、駅だけに近ければよいわけでもありません。
商業核と言われる大型商業施設との位置関係も大切です。
■環境条件
住宅地域では生活利便性と居住環境が重要でしたが、
商業地域では繁華性と収益性が重要になります。
シャッターばかりの寂れた商店街よりも、
活気があって店舗がたくさん集まった商店街の方が
人もたくさん集まってきますし、収益性も上がります。
商業集積度が高く、背後人口も多い商業地域は
繁華性や収益性が高くなるので、価格も高くなります。
地方だと、繁華性や収益性が低いため、
徐々に商業地域から住宅地域に
なってきているところもあります。
■行政的条件
商業地域では、容積率が非常に重要です。
容積率が大きいほど、大きく高い建物が建てられます。
たとえば、同じ面積の土地でも、
5階建のビルしか建てられないところと
10階建てのビルが建てられるところでは、
全く違ってきますよね。
住宅地域や工業地域より、格差は大きくなります。
商業地域にもさらに種類がある
商業地域といっても、さらに細分化できます。
高度商業地域
準高度商業地域
普通商業地域
近隣商業地域
郊外路線商業地域 です。
(準)高度は、特に発展した都会の駅前商業地域。
普通は、地方の駅前商業地域など。
近隣は、日用品を買う程度のちょっとした商業地域。
郊外路線は、国道などロードサイドの商業地域です。
細分化された地域によって、
上記項目の影響の程度はそれぞれ変わってきます。
鑑定評価って何を見て値段付けるの?
第2回目は「地域要因」です。
前回の「一般的要因」で大きな流れをつかんだら、
次にするのが地域の分析です。
評価の対象となる不動産がどんな地域にあって、
どんなことが重視されて売買されているのか。
住宅地域、商業地域、工業地域、農地山林で
異なってきますので、順に見ていきましょう。
住宅地域の地域要因
不動産鑑定評価基準では、
住宅地域の地域要因として14項目が例示されています。
その中から抜粋してご紹介いたします。
■日照、温度、湿度、風向等の気象の状態
住宅地域は日照が大切ですよね。
不動産広告にも「南向き」「日当たり良好」など
南→東→西→北の順に好まれる傾向があります。
商業地域や工業地域は、日照や方位は気にしないので、
住宅地域ならではの要因です。
鑑定士が道に迷うことは職業柄ほとんどないのですが、
たまにわからなくなった場合は、
周囲のマンションのベランダをチェックしたりします。
できるだけ南向きにベランダを作る傾向がありますので、
いくつか見ていけば南の方角がだいたいわかります。
太陽が出ていない時、時間がわからない時でも使える小技です。
■街路の幅員、構造等の状態
地域によって求められる道路幅員は異なりますが、
地方や郊外など車を使うことが多い住宅地域では
6m以上の幅員が好まれます。
狭幅員だと車の運転が難しかったり、離合できなかったり。
4m未満だったら、セットバックの可能性も出てきます。
交差点の隅切りも運転しやすさに大きな差が出ますよね。
現地調査では、何度も無謀な挑戦をして
車にキズを作ってしまっているので(反省)、
現地調査前に周辺の幅員を調べるのは必須です。
■都心との距離及び交通施設の状態
どれだけ居住環境が良くても、
通勤通学などの便が悪いと大変ですよね。
しかし、コロナで在宅勤務が進むと、
このあたりの価値判断は変わってきそうです。
■商業施設の配置の状態
日々の生活のための買い物も便利な方が良いですよね。
単なるコンビニというよりは、
日常生活を送るために必要なスーパー等が該当します。
■上下水道、ガス等の供給・処理施設の状態
都会では当たり前になっていますが、
上下水道ガスの整備が進んでいない地域もあります。
上水道はほぼどこでも供給されているのですが、
場所によっては簡易水道や井戸水など様々です。
下水道も、公共下水道や集落排水、集団浄化や個別浄化など
様々なパターンがあります。
さらに、前面道路に敷設されていないと
宅内への引込に多額の費用が掛かったり、
そもそも敷設されている管の容量が小さくて、
引き込めなかったりと見えない部分での差も大きいです。
■洪水、地すべり等の災害の発生の危険性
■騒音、大気の汚染、土壌汚染等の公害の発生の程度
最近は土砂災害や河川氾濫が増えています。
土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や
土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)のほか
ハザードマップで浸水可能性についてチェックしたり、
より一層重視されていく項目だと思います。
また、元々が池や沼だったところは地盤が緩く、
元々山を切り拓いたところは盛土部分での土砂災害の可能性、
元々工場だったところは土壌汚染の可能性等が出てきます。
昔がどうだったかは、ネットで過去の航空写真を見たり、
図書館で古い住宅地図を見ることで調べることができます。
住宅地域にもさらに種類がある
住宅地域といっても、さらに細分化できます。
優良住宅地域
標準住宅地域
混在住宅地域
農家集落地域
別荘地域 等です。
それぞれ細分化された地域によって、
上記項目の影響の程度はそれぞれ変わってきます。
鑑定評価って何を見て値段付けるの?
どのようなことがあったら
価格が上がったり下がったりするの?
このようなご質問もよく頂きます。
たとえば、新型コロナウイルスは景気に影響を与え、
不動産の価格(市場動向)にも影響を与えているのですが、
どのような理由で影響があるのでしょうか。
需要と供給の原則
不動産の価格はわかりにくくて難しいと思われますが、
不動産も需要と供給で価格が決まるのは同じです。
需要が高い(人気がある)不動産は高くなるし、
需要が低い(人気がない)不動産は安くなります。
とってもシンプルで簡単なのです。
このような需要と供給に全般的な影響を与えるのが、
下記の「一般的要因」です。
価格形成要因
不動産鑑定評価基準では、
「不動産の価格を形成する要因」として
以下の3つを挙げています。
「一般的要因」:全般的な景気動向、人口動態、政治経済の情勢など
「地域要因」 :駅距離などの利便性、人気の有無、地域の居住環境など
「個別的要因」:形状や面積、角地など、その土地の個別的な要因
不動産の価格が上がったり下がったりするのは、
これらの要因が変動するためです。
一般的要因は国や都市レベル、地域要因はご近所レベル、
個別的要因は対象地そのもの、というイメージでしょうか。
一般的要因
今回はその中で「一般的要因」を取り上げてみます。
一般的要因は、自然的要因、社会的要因、経済的要因、
行政的要因の4つに分かれます。
■自然的要因
地理的位置関係や地勢、気象の状態など。
都心部から離れるほど地価は下がりますし、
山が多い平野が多い、暑い寒いも価格に影響します。
災害の危険なく、温暖なところに住みたいですよね。
■社会的要因
人口の状態や生活様式の変化など。
人口減少=不動産需要減少につながるため、
将来的に不動産価格は下がっていく方向になります。
また、生活様式等の状態では、
コロナで在宅勤務が浸透するなど変化が大きく、
不動産を見る目が変わっていく過渡期にあると思います。
通勤・通学の利便性を考えなくてもよくなったり、
都心部のオフィス需要が減少したり、
これまでとは違った価値観で
不動産が選ばれていくことになります。
■経済的要因
物価、税負担、会計制度、技術革新、交通体系など。
物価が上がれば不動産価格も上がる可能性が高いですし、
相続税や所得・法人税が変われば、不動産の動きも変わります。
相続税増税で賃貸マンションがいっぱいできましたよね。
ICTが進めば、地理的な距離を飛び越えられるため、
都心への一極集中が減るかもしれません。
■行政的要因
土地利用規制、建物規制、不動産の税制や施策など。
規制が緩和されれば、京都でも高い建物が建てられますし、
不動産の税制や中古住宅推進などの国の施策も
不動産の価格に大きな影響が出てきます。
バブル崩壊の原因となった総量規制なども
不動産の価格に大きすぎる影響を与えましたよね。
このように一般的要因は不動産の価格に大きな影響を与えます。
地域や個別的な不動産の状況を見る前に、
まずは大きな流れをしっかり押さえておくことが大切です。
不動産をたくさん持っている会社
相続・事業承継・M&Aなどの場面で、
会計士さんや税理士さんから
株価算定を前提としたご相談を頂くことが多いです。
もちろんどんな時にでも!というわけではなく、
不動産をたくさん持っていて、
不動産の価格をどう見るかによって
その会社の価値が大きく変わる場合です。
中小企業の株価
中小企業はほとんど非上場です。
そのため、相続・事業承継・M&Aなどの場面では
会社の株価を算定する必要があります。
詳細は会計士さんや税理士さんがご専門ですが、
簿価純資産価額法や時価純資産価額法などを用いる場合、
不動産の価格次第で株価が大きく変わります。
相続税の通達評価と固定資産評価額
会計士さんや税理士さんが
株価算定の際にどのような不動産の価格を使うのか。
一般的に多いのは、固定資産評価額や
評価通達を用いた相続税評価額ではないでしょうか。
直近に買ったものだと簿価(取得価格)なども。
上記でも全く問題はないのですが、
またまたよく考えてみてください。
土地の相続税路線価は時価の8割、
固定資産評価額は時価の7割ですし、
単純に割り戻したとしても、そもそも
評価額と時価が乖離していることもあります。
人気の高いエリアだと、
時価は評価額の何割(何倍)増しですし、
人気のないエリアだと、
時価は評価額の半分かもしれません。
建物は、築浅だと評価額<時価、
築20年以上だと評価額>時価。
大規模修繕など資本的支出も考慮されていません。
特に、会社が持っている不動産だと、
事業用の店舗、事務所ビル、倉庫や工場など
比較的規模の大きな建物が多いと思います。
以前のブログでも書きましたが、
築20年以上、規模が大きい、
鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物は、
固定資産評価額と時価の乖離が非常に大きくなります。
鑑定評価を活用する
鑑定評価を活用すると、
不動産の価格が大きく変わる可能性があります。
そうすると、株価が変わり、
相続税額、贈与税額、M&A価格、のれん代が変わります。
相続・事業承継・M&A対策のための
先生方の算定シミュレーションなども
大きく変わってくるのではないでしょうか。
全ての不動産を概算すると大変ですので、
価格が大きい、重要度が高いなど
物件を絞って鑑定評価を検討されてもよいかもしれません。
総額のみ記載の契約書
土地建物の売買をしたのに、
契約書に総額しか書いてない!
どうやって土地建物に分けるの??
このようなご質問もよくお受けします。
土地建物価格をどう按分するか
どのように土地建物価格を按分するかは、
消費税額と将来の減価償却費に大きな影響があります。
土地は消費税非課税ですので、
土地価格が大きくなるほど消費税額は下がります。
一方、建物価格が大きくなるほど、
消費税額は逆に増えることになります。
さらに、建物価格が大きいと、
将来の減価償却費を多く取れる利点があります。
固定資産評価額での按分が一般的
固定資産評価額で按分して、
土地建物価格の内訳を出すことが一般的ではないでしょうか。
売買契約書:総額1億円。
土地の固定資産評価額:35,000,000円
建物の固定資産評価額:15,000,000円とすると、
土地 1億円 ×(35/35+15)= 70,000,000円
建物 1億円 ×(15/35+15)= 30,000,000円 という感じです。
固定資産評価額って?
上記でも全く問題はないのですが、
よく考えてみてください。
土地は時価の7割評価になっていますし、
評価額と時価は異なる場合もあります。
人気の高いエリアだと、時価は評価額の何割(何倍)増しにですし、
人気のないエリアだと、時価は評価額の半分かもしれません。
建物は築浅だと評価額<時価、築20年以上だと評価額>時価。
大規模修繕など資本的支出も考慮されていません。
土地評価額を時価に割り戻してみます
上記の例で、仮に土地だけを0.7で時価に割り戻してみます。
35,000,000円 ÷ 0.7 = 50,000,000円 となります。
評価額が土地:50,000,000円、建物15,000,000円となり、
総額1億円の土地建物の按分価格は、
土地 1億円 ×(50/50+15)≒ 76,900,000円(+6,900,000円)
建物 1億円 ×(15/50+15)≒ 23,100,000円(▲6,900,000円)
となります。
たったこれだけでも大きな差が出てきました。
鑑定士が評価する
土地建物ともに鑑定士が評価をすると、
土地価格も建物価格も当初の固定資産評価額から
大きく変わる場合があります。
土地が評価額の倍になり、建物が半額になる。
土地が評価額より下がり、建物が評価額より高くなる。
どれくらい変わってくると想像されますか?
消費税で数百万円変わることも珍しくありません。
消費税額と将来の減価償却費が大きく変わるのですから、
先生方の将来シミュレーションなども
大きく変わってくるのではないでしょうか。
もちろん物件によって、あまり変わらない場合もあります。
ざっくり概算の“ちょい聞き”をして頂けましたら、
どれくらい価格が変わるのか概要をご報告させて頂きます。
ここに注意!
契約書に既に内訳価格が記載されている場合、
内訳価格がなくても、消費税額が記載されている場合は、
契約書記載の価格が優先されてしまいますので、
契約書の内容をご確認くださいますようお願いいたします。
ちょい聞きサービスって何?
士業の先生であれば、
お気軽にちょっと聞きたいことを
無料でご質問頂けるサービスです。
不動産の評価について、
「ちょっと聞きたい」ってことありませんか?
本格的な調査に至るまでもない
「意見」程度のアドバイスでしたら、
オンラインでお気軽にご質問ください。
評価のおおよその見込みがわかる
「ざっくり概算」もちょい聞きサービスの一環です。
基本的に無料で鑑定士がお答えいたします。
(調査および意見書等の書面が必要な場合は、
必ず事前に別途お見積りいたします。)
オンライン完全対応
ちょい聞きサービスは「オンライン完全対応」です。
当事務所に来所頂くことなく、
電話・メール・LINE・zoom・
Facebookメッセンジャー等でご相談して頂けます。
これまでの鑑定評価業務でも、
電話やメール等のオンラインでのやりとりで
全体の8割以上の業務が完結しています。
ウィズコロナだからオンラインという
付け焼き刃のオンライン対応ではなく、
元々オンラインだったものを
改めてご案内しているだけです。
事務所スタッフもテレワーク
スタッフも3年以上前からテレワークです。
そのため、コロナで在宅勤務が広がりだしても、
当事務所の業務体制は何も変わっていません。
強いてあげれば、zoomが日常的になったことでしょうか。
勤務時間も本人に決めてもらって、
自由に働いてもらっていますので、
我こそは!という方は
ゼヒ当事務所の仲間になってください。
(密かなスタッフ募集)
「わかりやすい」鑑定を!
不動産鑑定士って?
鑑定評価って何をするの?
どうやって頼んだらいいの?
頼んだらけっこう高いんでしょ?
私自身も鑑定士になるまで
どんな仕事で何をやっているかわかりませんでした。
今もまだまだ鑑定はわかりにくいと思います。
そんな鑑定士を少しでも身近に
士業の先生方のお役に立てるように、
「わかりやすい」鑑定を目指していきます!
金融機関から求められます
不動産を担保にして融資を受ける場合、
不動産を買うために価格の適正さを証明する場合、
親族間や関連会社間で売買する場合など、
金融機関から鑑定士の書面を求められる場合があります。
どんな書類を作成するか
もちろん正式な「鑑定評価書」が最善です。
しかし、金融機関から簡易な書面でよいと言われる場合、
不動産の価格がそれほど大きくない場合などは
一定の根拠を記載した簡易版の
「意見書」や「調査報告書」を作成することもあります。
以前「簡易鑑定」と呼ばれていた書類と同じようなものですが、
現在は正式な手順を全て網羅した「鑑定評価書」以外で
「鑑定」という言葉は使えなくなりました。
金融機関が特に気にするポイント
鑑定評価書でも、意見書でも、
提出する先によって
重点チェックするポイントが異なります。
裁判所、税務署、監査法人、金融機関、売買の相手方など
それぞれに合わせた内容だと、より説得力が増します。
建物の残存耐用年数
融資年数と建物の残存耐用年数はよく見られます。
融資期間中に建物がダメになったら困るので、
建物が大丈夫かどうか気にされることが多いです。
たとえば、融資期間20年なのに、
建物の残存耐用年数10年となっていると、
手続きがスムーズに進まなくなる場合があります。
物件の収益性
賃料はいくらか、利回りはどうなっているか、
そしてその根拠は何か。
物件からの収益が返済の原資になるのですから、
やはり金融機関は数字をよく見ているなと感じます。
楽観過ぎる想定で安易に数字を上積みすることなく、
しっかり市場の実態を踏まえて評価していく必要があります。
相続税路線価
路線価の2倍まではなんとか通るかもだけど、
路線価の3倍以上は厳しい…など
相続税路線価がどうなっているのかも非常に重要です。
最近はコロナで地価上昇も一服していますが、
これまでは京都や大阪など人気エリアは
路線価の2倍どころか3〜5倍の取引も多くありました。
このような場合、実際の売買実例を踏まえて、
どこまでバブルではなく適正価格であるか
しっかり説明していくことが大切です。
前回の業務フローその2(現地調査)に続き、
業務フロー最終回その3では行政調査についてお話します。
行政調査は最初の登竜門
行政調査は、担当者への聞き方ひとつで
「〇が×」にも、「×が〇」にも変わってしまいます。
新人の頃、最も苦労した調査で、
師匠に最も叱られた調査でもあります。
たとえば、その土地に建物を建築できるかどうかで
価格は倍半分くらいあっという間に変わってしまいます。
市街化調整区域は、“原則として”
建物を建てることができません。
しかし、“例外的に”許可を受ければ建築可能です。
この場合、正面から「調区で建築できますか」と聞くと、
原則通り「建築できません」と回答があります。
しかし、「調区ですが、どんな場合に建築できますか?」と聞くと、
「このような場合に建築できます」と回答があります。
一般的に「原則」と「例外」だと、
例外の範囲のほうが狭いことが多いですが、
思いのほか例外の範囲のほうが広いこともあります。
周囲に戸建住宅しかないエリアで、
「戸建住宅だけは建築可能」となった場合、
市街化調整区域の建築規制の影響はほとんどなくなります。
こんな時に、建築不可だから半値だ!
という評価をすると大ヤケドをすることになってしまいます。
行政調査の内容
都市計画、用途地域、市町村道かどうか、認定幅員、
建築基準法の道路かどうか、建築確認・完了検査の有無、
開発許可の可否、上下水道ガスの引込の有無、
周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれるかどうか、
土壌汚染対策法・水質汚濁防止法の指定の有無 等々
特に、評価の前提条件について異論がある場合は、
その事項について徹底的に調査を行います。
たとえば、相続税評価において
農地山林の転用見込みの有無についてであれば、
開発許可の具体的内容まで突っ込んで担当部署で話を聞きます。
市町村合併の悲哀
市町村合併により、複数の庁舎に担当課が分かれている場合、
たった1つの項目を調べるためだけに車で20〜30分かかるなど、
予想外の時間がかかる場合があります。
特に、上下水道担当課は別庁舎になっている場合が多く、
その次に都市計画や開発担当部署が別庁舎の可能性が高いです。
すぐ隣の建物だったらラッキーなのですが、
「○○支所(旧○○町役場)です」とあっさり言われることも。
また、特定行政庁といって、建築主事を置き、
その市町村内で全ての建築基準法関係の業務を
行っている場合はいいのですが、
受付だけは当該市町村で、判断は都道府県の場合も多いです。
この場合、都道府県の出先機関(管轄土木事務所)へ
建築基準法関係の調査に別途赴く必要があります。
さらに、規模が大きな建物の建築確認だと、
管轄土木事務所でもなく、「それは本庁!」と言われて
またまた別の場所に行く必要があったりもします。
いかに事前の準備が大切か、
時間が限られている出張ではより一層実感します。
鑑定評価書の内容
鑑定評価書にはさらっと1行で書いていることも、
実際は様々な調査に基づいて記載しています。
鑑定士はしっかりいろんなことを調べて、
ちゃんと評価しているのだなと思って頂けたら幸いです。
前回の業務フローその1(事前準備)に続き、
その2では現地調査についてお話します。
いろんな場所に行けることが
鑑定士の仕事の魅力の1つだと思います。
私は、近畿圏は交通費無料としているほか、
出張も大好きで、「出張に行けることが報酬です!」と
いつも言っています。
今はコロナの影響で出張に行きにくくなっていますが、
またいろんなところに行ってみたいです。
特に、ご飯がおいしいところが一番うれしいです(笑)
現地調査 〜やっぱり現場は大切!〜
評価する不動産を実際に見に行きます。
地図や航空写真などではわかりにくい
現地の雰囲気を体感できるかは大きな違いです。
対象となる物件の周りをウロウロするので、
近隣の方に不審がられて声を掛けられてしまったり、
犬に吠えられたりするのも
鑑定士の宿命なのかもしれません。
スーツより作業着のほうがうまく溶け込めて、
車の色もブラックよりホワイトのほうが悪目立ちしません。
土 地
メジャー、コロコロ、ピッキョリ、歩測など
様々なツールを使って調査を行います。
もちろんカメラでしっかり写真も撮影します。
調べる内容としては、
前面道路の幅員は何mか。
道路との方位や角地かどうかなどの接道関係。
間口2m以上あるかどうか。
境界はどうなっているか。
形状・高低差・がけ地等があるかどうか。
地上の建物や構築物の配置状況 等々
また、地面(地表面)だけを見るのではなく、
上空を見上げて高圧線が通ってないかどうか、
給油タンクなど地下がどうなっているか。
土壌汚染の可能性についてもチェックを行います。
特に、道路との関係は重要で、
一定の幅員がないとそもそも開発できなかったり、
間口が2m以上なければ接道義務を満たさなかったり、
不動産の価格に大きな影響を与えます。
建 物
登記記録との異同について確認します。
登記建物が現存するか。
未登記増築部分や未登記建物がないか。
建物用途、維持管理の状態、雨漏り、クラック、
大規模修繕や耐震補強の有無などを調査します。
評価の大切な前提となります
現況確認は、何色が好きかという価値判断ではなく、
今日の天気は晴れだったか雨だったかという事実の確認と同様です。
事実確認の間違いは、評価の間違いに直結するので、
しっかり入念にチェックする必要があります。
次回はその3(行政調査)
その3は行政調査です。
都道府県庁・市役所・町役場・土木事務所など。
新人の頃、最も苦労したのが行政調査です。
鑑定評価の業務フロー
鑑定の仕事ってどんなことやってるの?
依頼者に言われた価格を適当にエイヤ!って出しているだけ?
それとも、何か緻密な計算やってるの?
よくお伺いするご質問ですので、
実際の流れについてお伝えしたいと思います。
法務局調査
ご依頼を頂いて、最初にすることは
「登記情報提供サービス」で
登記記録、公図、地積測量図、建物図面を取得することです。
ご依頼者から資料として頂いたとしても、
念のためこちらでも最新の情報を確認します。
共同担保目録付きで取得し、
所有権のほか賃借権、地上権、地役権等を確認します。
分筆・合筆されて面積が変わっていたり、
お伺いしていた以外の建物が土地上にあったり、
改めて確認すると様々な発見があります。
基本的な事項だけに、意見の相違とは言えず、
完全なミス=ごめんなさいしか言えなくなるので
最も注意深く確認したい事項です。
ネット謄本ができる前は、
現地調査の際に管轄法務局まで行く必要があり、
法務局の場所から調べたり、大変だった記憶があります。
そう思うと今は全国どこでも取れるので非常にありがたいです。
物件概要の下調べ
広域地図、住宅地図、相続税路線価、全国地価マップ、
公示・基準地価マップ、地番図、用途地域図、
土砂災害等のハザードマップ、航空写真、
ストリートビュー等で事前調査を行います。
その上で、ざっくりと第一弾の概算価格を試算します。
まずは価格が100万円なのか、1,000万円なのか、1億円なのか、
目安だけでも知りたいというご要望にお応えしています。
さらに、周辺の売り希望価格やテナント情報についても、
ネットに公開されている情報をまとめます。
そして、これらが全てセットになったPDF資料一式を
無料の“ちょい聞きサービス”でご提供しています。
「こんなスゴイ資料をすぐに頂けるなんて!」
と言って頂けることが、私にとっての励みです。
この下調べの中で、現地調査や行政調査での
チェックポイントを抽出することが大切です。
市街化調整区域だと建築規制はどうなっているか。
前面道路の建築基準法上の取り扱いはどうなっているのか。
法面やがけ地、擁壁や高低差はどうなっているのか。
建築確認や耐震性能はどうなっているのか。等々
続きはその2で
ここまでの準備をして、
ようやく現地調査と行政調査に赴きます。
どんなことでも同じですが、
事前の段取りや準備で全てが変わってきます。
「段取り八分」とはまさにその通りだなと感じます。
令和2年分路線価が発表されました!
7月1日に令和2年分路線価が発表されました。
全国平均で5年連続の上昇となります。
しかし、インバウンド需要は激減し、
店舗・オフィス需要は弱含み、
現在は先行き不透明感が強くなっています。
先日発表された地価LOOKレポートでも、
2〜3月以降、取引が停滞したり、需要が弱含んだり、
上昇傾向から一気に風向きが変わっています。
コロナの影響は考慮されていません
7月1日に発表されたものの、
相続税路線価は1月1日時点の価格ですので、
新型コロナウイルスによる影響はほとんど入っていません。
近畿の動向(令和2年路線価・前年比変動率)
■滋賀県
JR草津駅前 310,000円/㎡ +8.8%
■京都市
四条通 6,730,000円/㎡ +18.1%
■大阪市
キ タ 21,600,000円/㎡ +35.0%
ミナミ 21,520,000円/㎡ +44.6%
■神戸市
三宮センター街 5,760,000円/㎡ +17.6%
■奈 良
奈良市・大宮通り 800,000円/㎡ +21.2%
■和歌山
JR和歌山駅前 360,000円/㎡ ±0.0%
今後の地価動向
公示地価と相続税路線価は1月1日時点、
地価LOOKレポート最新版も4月1日までの動向です。
緊急事態宣言が広がった4月中旬以降の影響は
公的価格としてはまだ発表されていません。
地価LOOKレポート(4/1〜7/1)が発表されるか、
今年の基準地価(7月1日時点)が9月下旬に
発表されるのを待つ必要があります。
とはいえ、上昇が続いていた地域は上昇が一服し、
これまでも下落が続いていた地域は
さらに下落が強まっていく可能性が高いと思われます。
令和2年分路線価を使うご相続に要注意
令和2年分路線価を使うご相続の場合、
時価を超えた相続税評価額とならないようにご注意ください。
コロナの影響による地価下落だけではなく、
賃料減額要請やテナントの退去など
収益性が大きく悪化している可能性もあり、
時価の把握には個別具体的な検討が欠かせません。
路線価と公示地価
相続税路線価は、公示地価の変動率と
リンクする度合いが強いです。
(参考:固定資産評価額は、基準地価とリンクが強い。)
軽く数千万円の差に
弁護士さんからのご相談が最も多い分野です。
遺産分割調停・審判や遺留分減殺請求において、
不動産の評価額は非常に大きな関心事です。
払う方からすると、不動産価格は安い方がよく、
貰う方からすると、不動産価格は高い方がよい。
全部売って現金で分けるときは問題ないのですが、
実際は現物分割や代償分割が多く、
不動産の評価額如何で取得できる物件や
やり取りされるお金が大きく変わってきます。
もしなんでも自由に希望が叶うのならば、
自分が取得する不動産は安く評価し、
他の相続人が取得する不動産は高く評価したいと思われるでしょう。
不動産の評価ってどうするの?
弁護士さんによって様々な主張をされますが、
以下のいずれかになることがほとんどです。
・固定資産評価額をそのまま使う。
・相続税評価額をそのまま使う。
・固定資産評価額を0.7で割り戻す。
・相続税評価額を0.8で割り戻す。
・不動産業者の査定書を出す。
・不動産鑑定士の鑑定評価書を出す。
■固定資産評価額をそのまま使う
固定資産評価額は、土地は時価の7割、
建物は時価で評価されています。
また、収益物件では、収益性も考慮されていません。
不動産の評価額が低いと主張したい側がよく使います。
公的な価格なので信頼性が高いとし、
固定資産評価額をそのまま使うパターンです。
土地は時価の7割なのはみんな知っているので、
ダメもとでとりあえずお金をかけず主張されることが多いです。
とはいえ、築年が古い建物や収益性が低い収益物件は、
固定遺産評価額>時価となっていることもあり、
安く言うつもりが逆に高かったとならないようにご注意ください。
一度だけですが、評価額を高く主張したい側から
固定資産評価額そのままを使って言われたことがあり、
さすがにビックリした記憶があります。
■相続税評価額をそのまま使う
国税の評価通達を使って算定されているのだから、
不動産の評価額として信頼性が高いと主張されるパターンです。
とはいえ、路線価は時価の8割となっていますし、
地価上昇が著しい地域では、実勢価格(時価)と乖離しています。
また、たまにあるのですが、
相続税に関する申告書類をそのまま添付されて、
小規模宅地特例などが適用された価格を主張されることも。
税務上の評価としては適正でも、
不動産の時価とは異なってしまうため注意が必要です。
■不動産業者の査定書を出す
どのような業界でも同じですが、
とても精緻に査定される方とそうではない方がいます。
一般的には、最終結果はしっかり押さえていても、
査定過程・根拠に問題があるケースが多いです。
色々計算したのに、急に半額エイヤ!と▲50%されるなど。
さらに、鑑定評価は、不動産鑑定士しか行うことができません。
不動産業者の査定書は、媒介契約に基づいて依頼者に提示されるものです。
そもそも媒介契約が存することが前提で、さらに目的外利用もできません。
弁護士さんからの依頼に基づいて、
遺産分割調停・審判のために価格査定を行っていると
不動産の鑑定評価に関する法律に違反する可能性が出てきます。
■不動産鑑定士の鑑定評価書を出す
私は不動産鑑定士ですので、
やはり鑑定評価書を一番オススメしたいです。
不動産鑑定士の鑑定評価書があれば、
裁判所も鑑定結果を踏まえて進めて頂けますし、
しっかりした根拠で説得力ある鑑定評価書であれば、
相手方の理解も進むのではないかと思います。
費用的にはどうしても上記より高くなってしまいますが、
相手が出してきた価格と数千万円、数億円と変わってくることも多く、
概算見込みだけでも鑑定士にご相談されることをご提案します。
あとでもっと高かったor安かったとなると、
依頼者さんとの間で大きな問題になることもあり、
相手の数字がどのようなものなのかを知るだけでも、
今後の方針を決めていくために有用ではないでしょうか。
士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています
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