「境界が未確定であることは、
土地の価格に影響がありますか?」
境界、筆界、所有権界など、
土地家屋調査士さんが活躍される分野です。
いわゆる境界が決まっていない、不明である、
明らかではない、境界紛争が起こっているなど、
土地の価格にどのような影響があるのでしょうか。
【価格への影響】
境界未確定であることは、
減価要因になる場合があります。
「場合がある」というのは、
個別的要因として個々の評価の際に減価する場合と、
地域の価格水準に織り込まれている等の理由から
個別的要因としては減価しない場合があるという意味です。
いずれにせよ、境界が確定している場合と比べ
境界未確定がマイナスの影響があることは明白です。
【評価に際しての考え方】
■周辺の不動産の境界が確定している場合
新しく分譲された住宅地や
地籍調査などで境界が確定している地域では、
標準的な土地(大半の土地)は境界確定しています。
このような地域の中にある境界未確定の土地は、
標準的な土地が境界確定されていることから、
個別的要因として個々の評価の際に減価が発生します。
■周辺の不動産も境界未確定の場合
古くからの農家集落地域などでは、
標準的な土地(大半の土地)は境界未確定です。
このような地域の中にある境界未確定の土地は、
標準的な土地も境界未確定であることから、
個別的要因としては評価の際に減価を行わないことが多いです。
地域の価格水準に既に織り込まれていると考えられるからです。
■境界紛争
境界紛争が起きているor起きる可能性が高い場合は、
通常の境界未確定の場合より減価の程度は大きくなります。
【相続税の物納】
境界未確定であることは、
地積増減の可能性、取引の際に問題が生じる可能性、
将来的な境界紛争の可能性など危険がいっぱいです。
さらに、相続税を払うために
土地を物納しようとしても、
境界未確定である場合は物納できません。
■国税庁 No.4214 相続税の物納
管理処分不適格財産
次に掲げるような財産は、物納に不適格な財産となります。
イ 不動産
(ハ) 境界が明らかでない土地
【まとめ】
以上のとおり、境界未確定であることは、
様々な問題が生じるリスクがあるため
土地の価格にマイナスの影響があります。
ただ、マイナスをどのように考慮するかは、
地域の標準的な土地と比べる必要があります。
みんなスーツを着ている中でパジャマは個性ですが、
みんなパジャマの中でパジャマを着ているのは普通です。
なお、境界問題で困った場合は、
不動産鑑定士ではなく、土地家屋調査士さんへ。