士業専用ダイヤル
国土交通省から2月24日に発表された
地価LOOK令和2年第4四半期(10/1〜1/1)、
近畿圏について詳しく見ていこうと思います。
【全国概況】
「前期と比較すると、横ばい・下落地区数が減少し、
上昇地区数が増加した。」
「用途別では商業系が住宅系より下落地区の割合が高く、
地域別では大都市圏が地方圏より下落地区の割合がやや高くなった。」
「住宅地では、マンションの堅調な販売状況や
事業者の素地取得の動きが回復したことにより、
需要が堅調な地区が見られる。」
「商業地では、再開発事業の進展等により、
需要の回復が一部の地区で見られる。」
「一方、商業地では、新型コロナウイルス感染症の影響により、
ホテルや店舗等の収益性の低下により下落が継続している地区や、
店舗やオフィスの空室が増加し新たに下落に転じた地区が見られる。」
住宅地は総じて堅調で、
商業地も需要の回復傾向がみられるものの、
ホテル、店舗、オフィスなど
収益性の低下や空室率が上昇した地区は
まだまだ地価の下落傾向が続いているようです。
実際に近畿圏ではどのようになっているのでしょうか?
【近畿圏の動向】
■滋賀県
住宅地 南草津駅周辺 0%横ばい
商業地 調査地区設定なし
■京都府
住宅地 下鴨 0%横ばい
商業地 京都駅周辺 0〜3%下落
河原町 0〜3%下落
烏丸 0〜3%下落
■大阪府
住宅地 豊中 0%横ばい
天王寺 0%横ばい
福島 0〜3%下落
商業地 西梅田 0〜3%下落
中之島西 0〜3%下落
北浜 0〜3%下落
OBP 0〜3%下落
新大阪 0〜3%下落
阿倍野 0〜3%下落
江坂 0〜3%下落
茶屋町 3〜6%下落
心斎橋 3〜6%下落
なんば 3〜6%下落
■兵庫県
住宅地 六甲 0〜3%上昇(前期0%横ばい)
甲子園口 0〜3%上昇(前期0%横ばい)
芦屋 0〜3%上昇(前期0%横ばい)
商業地 西宮北口 0〜3%上昇(前期0〜3%下落)
三宮駅前 0〜3%下落
■奈良県
住宅地 奈良登美ヶ丘 0%横ばい
商業地 調査地区設定なし
■和歌山県
調査地区設定なし
【前期からの変動】
近畿圏では、兵庫県以外の府県は全て
前期(第三四半期)と同じ地価動向でした。
一方、兵庫県は地価の回復傾向が顕著です。
三宮駅前の商業地こそ前期と同じ傾向でしたが、
その他の地区では全て「0〜3%上昇」となっていて、
今後も地価上昇傾向が続くと予想されています。
<住宅地>
■六甲地区
先行き不透明感は、住宅需要に大きな影響を与えていないとし、
「稀少性の高い物件には需要の競合が見られることから
取引価格は上昇に転じ、当期の地価動向はやや上昇で推移した。」
■甲子園口
「より住環境を整備したいとする新たな需要も生まれており、
取引は回復傾向にある。」
「住宅の投資物件としての安定性が改めて評価され、
貸家住宅素地の需要増加も確認される。
このような状況から取引価格は上昇傾向となり、
当期の地価動向はやや上昇に転じた。」
■JR芦屋駅周辺
「マンション開発素地等の需要には回復傾向が認められ、
稀少性の高い物件には需要の競合が見られることから
取引価格は緩やかな上昇に転じ、
当期の地価動向はやや上昇となった。」
<商業地>
■西宮北口
「大型商業施設等の人出は一層回復しており、
さらにテレワーク等により在宅時間が増加したことで、
比較的狭い商圏の近隣型の商業施設においても
売上げが増加する状況が確認されている。
以上のような市況から店舗賃料は上昇傾向となって
当期の地価動向はやや上昇に転じた。」
「鑑定評価書を見て頂けないでしょうか?」
というご相談が増えてきています。
交渉相手から出てきた鑑定評価書等が
適正に評価されているかどうかはもちろんのこと、
どのような前提で、どのように評価されているか。
セカンドオピニオン「第二の意見」として
別の専門家の視点で内容を見てみると
新しい発見がたくさん出てくることが多いです。
【対象となる書類】
他の不動産鑑定士が作成した鑑定評価書のほか、
意見書、調査報告書、市場調査レポートなど。
不動産業者さんの査定書等も該当します。
不動産の価格・賃料が出ていて、
その価格・賃料の根拠が記載されている書類であれば
どのようなものでも確認することができます。
【どのような内容を確認するのか?】
■鑑定評価の条件
同じ土俵に立って評価しているかどうか。
評価対象、権利の種類、価格時点など、
そもそも前提条件が異なっているために
価格が異なっていることも多いです。
「この評価は間違っているのではないか?」
とおっしゃることも多いのですが、
ここの違いによる価格の違いが非常に多いです。
現地は建物があるが、建物が無い更地として。
所有権ではなく、借地権(底地)として。
土壌汚染があるが、土壌汚染が無いものとして。
現在時点ではなく、過去時点の価格としてetc…。
例を挙げるだけでもたくさん出てきます。
■依頼目的
依頼目的も重要な確認項目です。
「担保評価」は保守的に評価される傾向にあります。
また、「売買の参考」であれば、固定資産評価額などの
公的価格水準と乖離があったとしても、
実際の不動産市場の動向を踏まえた価格が出ています。
■評価の内訳
採用されている取引事例、想定事項や各種利回りなど
いわゆる数字の部分を見ていきます。
ここでは単に数字だけを追っていくのではなく、
評価主体の考え方、評価対象に対する見方等を踏まえ、
どのような根拠でその数字を採用しているか
広い視点から内容を見ていくことになります。
不動産鑑定評価基準でも、鑑定評価は
「不動産の価格に関する専門家の判断であり、意見である」
とされていることからも、
評価主体の考え方を理解することが
鑑定評価書等の内容を理解していくための近道です。
【最後に】
単なる“粗探し”をするのではなく、
その鑑定評価書等の内容を適切に理解して、
最終的に納得できる問題解決のために
今後どうしていけばいいのかを
しっかりお話していくことが大切だと考えます。
「共有持分の不動産は、必ず共有減価するのですか?」
というご質問を頂くことがあります。
【共有持分の減価要因】
共有持分しかないことは、
完全な100%所有権(単独所有権)と比べ、
使用・収益・処分に制約があり、
共有物分割をするとしても時間的・経済的負担があります。
そのため、共有持分は売却困難物件として
市場性の減退(共有減価)が認められます。
【共有減価率】
様々な考え方がありますが、一般的には
▲10%〜▲40%程度が減価率の幅ではないでしょうか。
持分割合を乗じた価格から、さらに1〜4割引するイメージです。
もちろん個々の不動産の実態や、
持分割合によっても異なってきますので、
ケースバイケースで判断していくことになります。
【減価される場合】
たしかに共有持分は制約があって売りにくいのですが、
どんな場合でも共有減価が適用されるわけではありません。
相続税や贈与税の評価をする場合、
遺産分割の裁判で評価をする場合、
単に内訳価格(按分価格)として求める場合など
共有減価をすることがふさわしくない場合も多々あります。
【他の共有者が取得する場合】
共有者が他の共有持分を取得する場合は、
完全所有権に復帰することになるため、
第三者が取得するより経済的メリットが大きい場合があります。
A・B共有の土地について、
AさんがBさんの持分を取得すれば
Aさんの単独所有になります。
しかし、CさんがBさんの持分を買っても
A・C共有の土地になるだけです。
この場合、AさんはCさんより高い価格で
B持分を買っても経済合理性が成り立つことになります。
【共有持分を買い取る悪質業者に注意】
相続で共有になった不動産、
共有者の1人はお金に困っているとします。
共有持分はなかなか売れませんが、
世の中にはそれを買い取ってくれる業者がいます。
悪質な業者であれば、当該共有持分を安く取得し、
他の共有者に高く売りつけたりすることもあります。
安易に法定相続分で共有にしたりすると、
後々問題が起こることもありますので、十分お気を付けください。
士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています
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