士業専用ダイヤル
「土壌汚染ってどうやって調べるの?」
土壌汚染は多額の費用が見込まれることが多く、
“一撃必殺”で価格が変わってしまう大きな要因です。
そのため、土壌汚染があるのか無いのか、
費用としてはどれくらい見込めばよいのか、
ざっくり調べたいとご相談を頂くことが多いです。
詳細は、法で定められた指定調査機関に依頼して
しっかりと調べてもらうことになるのですが、
自分でも調べられることはけっこうあります。
【所有者負担】
汚染土壌は、基本的に
所有者の負担で浄化する必要があります。
用途によっては浄化まで要求されなかったり、
最終的には汚染の原因者に求償できるなど
細かい規定はありますが、
現実問題として所有者が浄化費用を
負担することがほとんどだと思います。
【行政調査】
都道府県・特例市・中核市の環境担当課において、
区域指定の有無及びその内容、有害物質使用施設一覧、
水質汚濁防止法の特定施設一覧等を確認できます。
ただ、台帳に記載されているものは
実際に土壌汚染がある土地の一部にすぎません。
そのため、行政調査を行い、
該当が無かったからといって土壌汚染無しと
判断することは早計です。
【不動産登記簿】
過去に工場として利用されていた土地は、
土壌汚染の可能性があります。
閉鎖登記簿も含めて、土地・建物の所有者、
建物の種類や用途などを確認します。
例えば、“○○化学工業株式会社”の“工場”であれば、
土壌汚染の可能性が高いかもしれないと推測できます。
【過去の住宅地図】
図書館に行くと、その地域の
古い住宅地図を閲覧することができます。
細かい範囲や実際の利用状況までは確認できませんが、
上記のような化学工場の記載があれば、
土壌汚染の可能性が高いかもしれません。
【航空写真】
ネットで「地図・空中写真閲覧サービス」を検索すると、
国土地理院がこれまで整備した空中写真を
検索して閲覧することができます。
拡大すると粗い画質になりますが、
住宅地図よりも実際の土地利用状況を
調べることができます。
このような事前調査を踏まえて
土壌汚染の可能性の高低を判断し、
必要に応じて指定調査機関などに
ご依頼されることがよいのではないでしょうか。
「この不動産、交換できるかな?」
会計士さん・税理士さんから
ご相談が多い内容のひとつが交換の特例です。
通常の譲渡(売買や贈与)では
不動産の譲渡に伴って多額の税金が発生します。
しかし、交換の特例に合致すれば、
この交換にかかる税金は課税されません。
かなり大きなことですよね。
【適用要件】
同種の固定資産であることや
1年以上の所有期間、同一用途など
適用要件が具体的に定められています。
その中でも、
「交換により譲渡する資産の時価と
取得する資産の時価との差額が、
これらの時価のうちいずれか
高い方の価額の20%以内であること。」
について、ご相談を受けることになります。
【鑑定評価の活用】
不動産の価格は、1+1=2のように
1点で決まるものではなく、
適正な価格帯という“幅”があります。
また、収益物件などの場合、
通達評価や固定資産評価額だけでは
その不動産の適正な時価となっていないことも。
鑑定評価を活用して、
うまく交換の特例を適用できれば、
先生方のシミュレーションの選択肢も
広がっていくのではないでしょうか。
いきなり鑑定評価をご依頼頂くのではなく、
それぞれの不動産の価格がどの程度なのか、
交換の特例を使える可能性はどれくらいあるのかを
事前にご相談頂くことをご提案いたします。
【不動産の価格】
「当事者間で合意された資産の価額が、
交換に至った事情等に照らし
合理的に算定されていると認められるときは、
その合意された資産の価額によることができる。」
とされています。
もちろん、明らかに贈与等の意思をもって
著しく価格の異なる資産を交換したような場合は、
合理的に算定された価格とはいえません。
交換の特例に合うよう無理に出された評価は、
税務リスクが非常に高くなるので注意が必要ですね。
「相手に先に依頼されたら困るから、
こちらが先に依頼予約をしておきたい。」
弁護士さんからこのような
ご連絡を頂くことがあります。
もう嬉しくて嬉しくて、
感謝の言葉もありません。
「残っていたから、仕方なくお前に頼む」
と言われるより、
どれだけありがたいことでしょうか(笑)
そんな浮ついたことを言いたいのではなく、
どんなことでもけっこうですので、
気になることは事前にゼヒ“ちょい聞き”ください。
【事前調査の大切さ】
その不動産が、ざっくりいくらなのか。
100万円、1,000万円、1億円etc.
売りやすいのか、売りにくいのか。
市場の動向はどのようになっているのか。
事前に大きな流れを掴んでおくと、
今後の進め方や考え方に大きな差が出ます。
こちらの強みと弱みを把握することで、
常に優位に交渉を進めることができます。
【綿密な連携】
弁護士さん、会計士さん、税理士さん、
ご依頼目的は異なりますが、
それぞれの専門分野と鑑定評価のコラボです。
どうしてもそれぞれの分野の接合部は
ボタンの掛け違いや考え方の違いが出てきます。
○○のつもりで評価を頼んだのに、
■■の評価を出されて使えなかった。
こちらの証拠として頼んだのに、
逆に相手に有利な内容(証拠)が書かれていた。
このような事例は枚挙にいとまがありません。
事前にざっくり概算だけでもお問い合わせ頂き、
今後の方針について大筋を決めておく。
その上で、綿密に連携を取りながら
ご依頼目的に沿った鑑定を行う。
そうすることによって、
専門家同士の本来の連携効果が
発揮されるのではないでしょうか。
倍率地域の相続税評価額は、
固定資産評価額に倍率を乗じることで
相続税評価額が求められます。
しかし、基となる固定資産評価額は
相続税評価と同一の目線で
価格が決まっているのでしょうか。
実際にご相談があった事例を
ご紹介させて頂きます。
【固定資産評価】
固定資産の評価は、地方税法の規定により
総務大臣が定める「固定資産評価基準」に
よらなければならないとされています。
この中で「画地の認定」があります。
■原 則
一画地は、土地課税台帳又は
土地補充課税台帳に登録された
一筆の宅地によることを原則とします。
■例 外
一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について、
その形状、利用状況等からみて、
これを一体をなしていると認められる部分に区分し、
又はこれらを合わせる必要がある場合においては、
その一体をなしている部分の宅地ごとに
一画地とすることとされています。
原則は、1筆毎に1画地として評価するが、
利用状況等によっては、
1筆を分けて評価することがあったり、
複数筆をまとめて評価することもあるということです。
【問題となるケース】
問題となるケースは色々ありますが、
下記の場合を例として挙げてみます。
□■=固定資産評価の一画地
■ =相続税評価の対象地
__________________________________
幹線道路 100,000円/㎡
__________________________________
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□■■■■■■■
□□□□□□□■■■■■■■
-------------------------------------------
背後道路 20,000円/㎡
-------------------------------------------
固定資産評価としては、
幹線道路沿いの店舗として
□■全てを幹線道路沿いの
高い100,000円/㎡で評価しています。
しかし、相続税の評価対象地は■のみ。
■だけでは背後道路に面する
20,000円/㎡の土地になります。
このような場合に、幹線道路沿いの
100,000円/㎡で評価された固定資産評価額に
倍率を乗じてしまうとどうなるでしょうか。
本来の時価を超えて、
割高になってしまうかもしれません。
このように固定資産評価額についても、
どのような前提で評価されているか
しっかり確認していくことが大切です。
学問の秋、読書の秋、
連休前半はM&Aやデューデリジェンス、
企業価値評価の勉強を頑張ってきました。
【企業価値評価と鑑定評価】
企業価値評価と鑑定評価って
めちゃくちゃ似ているなと改めて感じました。
もちろん評価対象が会社と不動産と異なりますし、
細かい項目は違うことも多いのですが、
考え方や価格へのアプローチが本当に似ています。
不動産と言っても、戸建住宅ではなく、収益物件です。
そこそこ立派なテナントビルの評価と似ています。
【3つの評価アプローチと特徴】
■コストアプローチ
企業評価:時価純資産価額法、修正簿価純資産法
鑑定評価:積算法
客観性は高いが、将来の収益獲得能力の反映に弱い。
■マーケットアプローチ
企業評価:類似会社比準方式(マルチプル法)
鑑定評価:取引事例比較法
客観性や市場での取引環境の反映に強いが、
評価対象の固有の性質の反映に弱い。
どの会社、どの取引事例から評価するかによって
結果が大きく変わってしまう。
良い会社、高い取引事例から評価すると高くなるし、
悪い会社、安い取引事例から評価すると低くなる。
■インカムアプローチ
企業評価:DCF法、収益還元法 等
鑑定評価:DCF法、収益還元法 等
将来の収益獲得能力の反映や固有の性質の反映に強いが、
客観性は弱い。
特に、将来の収益性を想定して評価するDCF法は、
楽観的に考えるか、悲観的に考えるかによって
結果が大きく変わってきます。
【点ではなく幅】
企業価値評価も鑑定評価も、
唯一絶対的な価格というものは存在せず、
一定の適正な価格の幅として認識されます。
その上で最終的には
1点での価格を出すのが専門家ですが、
利回りや割引率を少し変えるだけで
結果が大きく変わってくるのも
よく似ているなと思いました。
【仲介会社方式】
時価純資産に3〜5年の正常営業利益を加算して
企業価値評価を出す方法です。
理論的・専門的には色々問題があるが、
経営者の方に非常にわかりやすいとのことでした。
鑑定評価には同じような手法が無いので、
この仲介会社方式のような評価方法って
鑑定評価でも応用できたら面白いかなと思いました。
家賃支援給付金を申請される際、
契約書が無いことも多いのではないでしょうか。
特に、昔からの賃貸借契約であれば、
そもそも作っていない。
過去に作ったが、大事にしまい過ぎて出てこない。
このようなこともあるかと思います。
その場合、賃貸借契約書に代わって
「賃貸借契約等証明書」を添付する必要があります。
この「賃貸借契約等証明書」の添付にあたっては
十分に気を付けて頂きたいというのが今回のテーマです。
【家賃支援給付金】
売上の減少に直面する
事業者の事業継続を下支えするため、
地代・家賃の負担を軽減する給付金です。
添付するいくつかの書類のうち、
「賃貸借契約書の写し」があります。
元々作成されていて、現在も有効なものであれば
このブログでの懸念は該当しません。
賃貸借契約書が無く、
「賃貸借契約等証明書(契約書等が存在しない場合)」
を添付する場合が該当します。
【賃料の改定(継続賃料評価)】
不動産鑑定士の業務の中には、
賃料を改定するための評価があります。
現行賃料は月額50万円だけど、
今の相場では月額20万円なので下げたい。
または、現行20万円で相場50万円だから上げたい。
このような場合の賃料評価のことです。
【直近合意時点】
「継続賃料の鑑定評価は、原則として、
直近合意時点から価格時点までの事情変更を
考慮するものであり、直近合意時点は
事情変更を考慮する起点となるものである。」
とされています。
契約書が無く、たとえば
昭和初期に契約されている場合は、
その昭和初期の時が「直近合意時点」となります。
また、バブルの時の契約なら、
バブルの時が「直近合意時点」です。
ここからの経済情勢などの事情変更を加味して
賃料が上がったり下がったりすることになります。
しかし、賃貸借契約等証明書を現在時点で作成すると、
この書類の作成時点が「直近合意時点」であると
相手方から主張される可能性があります。
というのも、賃貸借契約等証明書には、
・物件の所在地
・物件の名称
・契約期間
・賃料等
・共益費・管理費
・賃貸人自署(年月日欄)
・賃借人自署(年月日欄)
を記載することになっています。
現在の賃料等を記載した書面に双方が署名するわけですので、
「現在時点において、現行賃料で双方合意した。」
という意味に捉えられかねません。
仮に、今この時点でお互い合意したとされてしまうと、
昭和初期からの物価上昇が反映されずに増額できなかったり、
バブル時からの地価下落が反映されずに減額できなかったり、
大きな影響が出てくる可能性があります。
必ずしも賃貸借契約等証明書を
作成することがダメだということではありませんが、
将来不測の事態が起きないように
しっかりご検討されることをお勧めいたします。
今年ももうすぐ基準地価が発表されます。
新型コロナウイルスの影響を受けて、
今年の基準地価はどうなっているのか
みなさまも関心が高いと思います。
そこで発表前に改めて基準地価について
整理しておこうと思います。
基準地価とは?
国土利用計画法施行令に基づき、
各都道府県知事が毎年7月1日における
基準地の1㎡当たりの価格を調査し公表するものです。
昨年の令和元年は全国21,540地点。
「全用途平均は2年連続で上昇し、上昇基調を強めている。」
「商業地は3年連続で上昇し、上昇基調を強めている。」
インバウンド需要により「店舗、ホテル等の進出意欲が旺盛」
たった1年前なのに、隔世の感がありますね。
令和2年の今年はどのようになっているのでしょうか。
なお、基準地価は、国土交通省の公示地価と
相互に補完的な関係にあります。
令和2年基準地価
今年の基準地価は、
令和元年7月1日〜令和2年7月1日の
1年間が対象となります。
コロナの影響が出始めたのは
令和2年に入って2〜3月頃でしょうか。
そのため、令和2年の基準地価の変動率は
前半部分=上昇、後半部分=横ばいor下落となり、
この合計値として表示されることになります。
イメージとして例示すると、
前半+8% 後半▲5% → 年間変動率+3%
前半+5% 後半▲5% → 年間変動率±0%
前半▲3% 後半▲5% → 年間変動率▲8%
このように、前半の上昇が強かった地点は、
コロナによる影響があったにもかかわらず、
年間にすると地価上昇や横ばいとなることもあります。
そのため、個別地点の変動率を見て、
コロナの影響はどうなっているのか??
上昇なんてあり得ず、下落していないのはおかしい!
という疑問も出てくると思います。
特に、8月に発表された地価LOOKで
商業地では四半期で±0%〜▲6%の下落と
なっているだけに、印象がだいぶ異なります。
(8月発表の地価LOOKの対象は4/1〜7/1です。)
しかし、調査期間の違いをしっかり見て頂くと、
その疑問も少しは解消されるのではないでしょうか。
基準地価と実勢価格
基準地価(公示地価や路線価も含む)は、
実勢価格の変動に対し、緩やかにしか変動せず、
しかも遅れて変動することがよく見られます。
人気の需要が高い地域で
「路線価の〇倍」という売買が多かったことからも
イメージしやすいかと思います。
その逆もまた同じで、下落の変動についても
実際よりやや緩やかに、実際よりやや遅く
変動していくことが予想されます。
このような基準地価の調査期間や特徴を踏まえ、
令和2年の基準地価を見て頂くと、
地価動向への理解がより深まるのではないでしょうか。
鑑定評価書をお願いしましたが、
提出後に質問や問い合わせがあった場合は
どうしたらいいですか?
このようなご質問もよく頂きます。
もちろんアフターフローも万全にさせて頂きます。
説明責任を果たしてこその鑑定士です。
【弁護士さん】
裁判上の評価の場合、
相手からの反論が必ずやってきます。
ぜいたくを言うと、相手からの反論書は、
穏やかに晴れた朝の爽やかな気持ちの時よりも
夕方の仕事がのっている時に頂けたらうれしいです(笑)
様々な裁判上の評価をさせて頂くと、
良いも悪いも様々な相手からの反論が集まってきます。
争点が、土地建物の価格なのか、賃料なのか。
これまでの反論を分類して整理しているので、
これだけでもすごいノウハウではないかと感じます。
中には、さすが!と思うものもあったり、
本題から逸れて、どうなのかなと思うものもあったり。
相手に反論しつつも、なにより裁判官に伝えたいです。
たくさんお仕事をさせて頂くほどに
相手からの反論を予想する精度が
どんどん高まっていくことも特徴ではないでしょうか。
今後の展開を完全に予想できる“預言者”が理想です!(笑)
【会計士さん】
M&Aや株価評価のお手伝いの際に
お問い合わせ頂くことが多いです。
不動産評価の高低によって価格が大きく変動する場合、
先方にも納得して頂けるような説明を心掛けています。
特に、M&Aの場合は、
先方をやっつけるのが目的ではなく、
“結婚”を前提にするわけですから、
ケンカにならないように
うまくフォローしていきたいです。
【税理士さん】
相続税評価の時に、よくご質問を頂きます。
特に、税務調査の際はどうしたらいいのかと。
誠実に「時価」であることをご説明させて頂くとともに、
仮に、なかなか納得して頂けない場合であっても、
粘り強く誠心誠意対応させて頂きます。
更正の請求などでも、
何度でもしっかりご説明していくことで
認めて頂いたことが何度もあります。
9月9日に不動産鑑定士試験の
令和2年短答式試験合格者が発表されました。
合格された方、おめでとうございます。
次は10月の論文式試験、頑張ってくださいね。
短答式試験の受験者数1,415人。
合格者468人(男性410人・女性58人)。
平均38.0歳で、35歳未満が全体の8割以上。
最年少は19歳で、最高齢は78歳とのことでした。
不動産鑑定士試験
私が受験した時は、
第一次試験、第二次試験、第三次試験がありました。
第一次試験は大学の一般教養単位で試験免除、
第二次試験10%、第三次試験30%の合格率でした。
現在は、短答式試験→論文式試験となっています。
これらの試験に合格し、実務修習課程を修了し、
国土交通大臣による実務修習の終了確認を受けて
不動産鑑定士となりことができます。
年齢、学歴、国籍、実務経験を問わず、受験でき、
民法、経済学、会計学、不動産に関する行政法規、
不動産の鑑定評価に関する理論の5つが試験科目です。
“絶滅危惧士業”??
「不動産鑑定士、10年で受験者3分の1に PR懸命」
(日経2017年2月28日)
「不動産鑑定士の確保急げ 国交省、受験者減で制度見直し」
(日経2017年6月16日)
という記事が掲載されました。
「同省の調査では鑑定士登録者数
約8300人(17年1月時点)のうち、
60歳以上が4割以上を占める。」と書かれています。
さらに、週刊ダイヤモンド(2017年9月26日)でも
「不人気資格の不動産鑑定士が「穴場国家資格」に一変!?」
と書かれていて、そんなに不人気なんだと
寂しい気持ちになった記憶があります。
「文系最難関の“国家資格”として、
弁護士、公認会計士と並び称されるのが
「不動産鑑定士」(以下、鑑定士)だ。」
「中小の場合、1事務所当たりの売り上げも
年間700万円前後と少ない上、特に地方では
公共事業の減少で苦しくなっている。」
なんか昔は良かったけど、今は残念…。
そんなイメージが出てきそうです。
中小&地方の当事務所もそんなに苦しいのでしょうか。。。
誇れる仕事に
私は、不動産鑑定士は
可能性いっぱいの仕事だと信じています。
こどもたちに、そして、こどもたちが、
パパは不動産鑑定士なんだと胸を張って言ってくれて、
いつか自分もなりたいと思ってもらえるように
これからも頑張っていきたいです。
鑑定評価額を出してもらったけど、
鑑定評価額には帳簿のどの部分が含まれるのか?
特に、建物について、
会計士さん税理士さんからご質問頂くことが多いです。
【土 地】
土地はわかりやすくそのままです。
一方、借地権は鑑定評価をすると
価格が大きく変わる場合があるのでご注意ください。
たまにアスファルト舗装は入るのか等の
ご質問を頂くことがありますが、
基本的には土地と一体的になっているため
土地の鑑定評価額に含まれます。
【建 物】
一方、建物の鑑定評価額についてはご質問が多いです。
帳簿の有形固定資産の区分には
建物、建物付属設備、構築物、
機械装置、車両運搬具、器具備品などがありますが、
どの部分に該当するのかという内容です。
基本的には「建物」「建物付属設備」が
建物の鑑定評価額に含まれるものになります。
建物と一体性があり、取引の際に
通常一緒に譲渡されると判断されるものが対象です。
容易に取り外しができたり、
建物との一体性が認められないものなどは
基本的には対象外となりますので、
構築物や器具備品等は対象外となることがほとんどです。
イメージとしては、業務用エアコンは一体で含むけど、
家庭用エアコンは容易に取り外せるので
対象外という感じでしょうか。
絶対的な決まりがあるわけではありませんので、
適切に説明できるかどうかを
現状に即して判断すべきだと考えます。
仮に、テナントビル等の収益物件であれば、
一体としての収益性を評価していることから
建物の効用を維持するために必要不可欠なものであれば、
構築物や器具備品であっても
対象内とすることは一つの考え方かもしれません。
工場や事業所の鑑定評価では、
機械器具備品は考慮外とされることがほとんどです。
一方、工場財団の評価などでは
評価対象となることもありますが、
一般的な鑑定評価では含まないことが多いと考えます。
「鑑定評価の条件」欄を見ると、
どのようなものを対象としているか
記載していることもありますので要チェックです。
9月5日の日経に閉鎖のオフィス・店舗の
「「原状回復」費の過剰請求多発」
という記事が掲載されていました。
競争原理が働かない、
適正金額より3〜6割高く請求されることがある。
第三者の査定が重要というものです。
裁判上の評価
裁判上の評価でも、
様々な請求書・見積書を根拠として
不動産価格にプラス評価
もしくはマイナス評価をしている場合があります。
出てきた請求書・見積書は
どのような工事を前提に出されているのか。
一般的な相場から見て高いのか安いのか。
そもそも信頼できるものなのか。
しっかり確認をしておく必要があります。
立退料算定の場合の引っ越し実費なども
オーナー側かテナント側かでかなり変わってきます。
請求書・見積書
不動産鑑定士も業務の中で
様々な請求書や見積書を参考にしています。
本当に不動産は千差万別で、
業者による差だけではなく、
そもそもどのような前提での見積書なのか。
全部直すのか、部分的に直すのかだけでも
金額としては大きな差になってしまいます。
不動産関係の請求・見積額は
元々の総額が高いこともあって、
金額にするとかなり大きな幅ができてしまいます。
それぞれについて、
ざっくりイメージを書いてみようと思います。
【土地関係】
■宅地造成費(開発工事費)
規模が大きな画地であったり、
田・畑・山林を宅地に造成したりする場合です。
評価としては、
「造成後の完成宅地価格−宅地造成費=評価額」
となるのですが、
この宅地造成費もけっこう幅が大きくて、
結果としての評価額もかなり変わってきます。
財産評価基本通達では、以下の項目が挙がっています。
整 地 費 (凹凸地面の地ならし工事費)
伐採・伐根費(樹木の伐採・伐根工事費)
地盤改良費 (軟弱地盤の改良工事費)
土 盛 費 (道路面までの盛土工事費)
土 止 費 (擁壁工事費)
どのような宅地造成を行うのか、
単なる宅地造成だけではなく、
分割の上で住宅地分譲まで行うのか。
住宅地分譲まで行う場合は、
さらに分筆測量、開発道路築造、
上下水道ガス敷設等の工事費用がかかってきます。
■土壌汚染対策費用
土壌汚染がある土地の評価です。
どのような汚染対策を行うのか、
掘削除去や原位置浄化など様々な方法があります。
また、どのような有害物質で汚染されているか、
どの程度の深さまで対策工事を行うか。
そもそも見積もり段階では、
試掘調査での情報に基づいているので、
実際にやってみたらもっと汚染されていた等、
ふたを開けてみないと誰にもわからない世界です。
【建物関係】
■解体費用(取壊費用)
建物自体のRC造or木造等の構造、
建物の規模が大きいのか小さいのか以外にも、
作業環境の良否も大きな影響があります。
たとえば、全部機械で解体できる場合と、
狭くて機械が入らず全部手で解体だったら
全く違ってきますよね。
■大規模修繕・耐震補強
どのような工事をどこまで行うのか、
そもそもの前提条件が整理されていないこともあり、
同じ大規模修繕、耐震補強といっても、
ビックリするくらいの差になっていたりします。
5月末に、「6月からブログ始めます!
今年中に100ブログ書くのが目標です。」と宣言し、
ようやく折り返しの50回目となりました。
これも見てくださっているみなさまのおかげです。
心からお礼申し上げます。
【ホームページ】
これまであまりにも
ホームページを放置していましたので、
ブログを始めてから
毎日のページビューが平均10倍、最大で20倍
月間ユニークユーザー数が5倍
となりました!!
元々の数字が低すぎるから、
数字のマジックのようなものですが…。
ウソは書いていません(笑)
【変わったこと】
当たり前のことを書くだけでも、
これって本当にそうなんだろうか?
根拠はどこにあったかな?等
しっかり基本に立ち返って見直すことで、
改めて勉強になることが多いです。
自分の頭の中、普段やっていること等、
書くことによって整理できるので、
仕事でも伝わりやすくなっているかなと感じます。
ブログネタを探すためにも、
今まで以上にアンテナを敏感にして、
いろんなニュースを読んだり
調べたりするようになりました。
【後半も楽しくブログを】
ニッチな仕事の不動産鑑定士で
100ブログも書くネタあるのかな?
最初はドキドキでしたが、
思いのほか書けるものだなと思いました。
少しでも興味を持って頂けたり、
わかりにくい鑑定に親近感を持って頂けるよう
後半50も楽しく書いていきたいです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!
9月3日の日経に<もがくREIT>として、
「物流系に資金、進む二極化」
という記事が掲載されていました。
「不動産投資信託(REIT)市場で二極化が鮮明だ。
新型コロナウイルスの影響で
稼働率低下や賃料収入の減少が続く
ホテル系や商業施設系の買いが手控えられる一方、
物流施設系は値上がりが目立つ。」
と書かれています。
これまでの二極化
これまでの「二極化」は、
都市部と地方との二極化、
便利な駅前と不便な郊外との二極化など、
エリア毎に二極化が広がっていたのが特徴でした。
コロナ禍による二極化
一方、新型コロナウイルスの影響では、
これまでのエリア毎の二極化だけではなく、
物件種別による二極化も広がってきたことが伺えます。
■工業地
一括りに工業地と言っても、
物流倉庫系、工場(大工場・中小工場)系では
影響が異なってくると考えます。
物流・倉庫系は、巣ごもり消費が伸び、
倉庫需要が増加するとの期待で堅調に推移しています。
一方、コロナ禍による需要急減などで
操業が停止した工場系はダメージを受けています。
さらに、大企業が所有する大規模工場より、
中小企業が所有する中小工場のほうが
大規模工場より大きなダメージを受けていることも。
■商業地
店舗、ホテル、オフィスビル等で
影響が出てくるタイミングが変わってきます。
店舗やホテルは、需要蒸発により
ダイレクトに収益を直撃し、
業績への打撃がタイムリーに顕在化します。
一方、オフィスビルは賃貸借契約により
解約まで数ヶ月必要な場合が多く、
店舗やホテルのように
タイムリーには収益に影響を与えません。
ただ、今後は在宅勤務の普及等により
オフィスビルについても影響は避けられず、
今後じわじわと影響が出てくるものと思われます。
NAV倍率
不動産を時価評価した純資産価値に対する
投資口価格の割安度を表す指標です。
株式の株価純資産倍率に相当します。
現在は、物流系REITは1倍以上、
商業系REITは1倍未満が多いです。
不動産のうち収益物件は、
収益価格(その物件からいくら儲かるか)で
時価が決まります。
商業系の店舗・ホテル・オフィスビル等では
テナントからの賃料減額要請も多く、
賃料減額=収益性低下=収益価格(時価)低下です。
NAV倍率が最も低いもので0.5倍、
純資産が「1」あるのに「0.5」でしか
評価されていないことになります。
仮に、収益や賃料の大きな下落で、
「0.5」が市場における適正価格だとしたら、
将来的に純資産価格が半減してもおかしくないかもしれません。
(もちろん単なるイメージで極端な解釈ですが)
商業系の不動産価格は下落していくことになり、
これまで地価上昇をけん引していた
ホテルの市場動向からも目が離せなくなります。
9月1日の日経に「コロナ禍 不動産売却したい」
という記事が掲載されていました。
「保有資産の売却で手元資金を増やしたり、
自己資本を充実させたりするのが目的だ。」
と書かれています。
「セール&リースバック」
事業用の不動産では、
不動産の信託受益権を譲渡し、
買い主に賃料を支払いながら
同じ場所で営業を続けることができる
セール&リースバックを検討されたりします。
信託受益権だけではなく、
普通に所有権を売却し、
改めて賃貸借契約を結ぶ場合もあります。
不動産の売却損益を計上できるほか、
なによりコロナ禍で強まる資金需要の中で
手元にキャッシュを確保できることが大きいです。
売買価格
ホテル、事業所、オフィスビルなど
事業用の不動産は、適正な時価がわかりにくいです。
さらに、現在はコロナ禍で地価動向が一変し、
テナント賃料なども大きく変動し、
より一層わかりにくくなっています。
普通の戸建住宅等であれば、
ネットですぐに相場を調べられますが、
物件規模が大きかったり、個別性が強かったりする
事業用不動産の売買価格を決めることは難しいです。
そのため、このような場合、
不動産鑑定士にご相談されることが多いです。
実際の売買実例価格から価格を求めたり、
事業収益などに基づいて評価をしたり、
様々な観点から適正な価格を求めることができます。
単なる評価だけではなく、
簿価との関係や税務リスク対策なども
しっかり検討していくことが大切です。
賃 料
他方、賃料についても同様です。
いくらで貸す(借りる)ことが適正なのか。
あまりにあり得ない賃料だと、
税務リスクが高まってしまいます。
こちらも事業用不動産は
ネットで相場を簡単に検索!などできないため、
鑑定士にご相談されることが多いです。
価格や賃料が高過ぎor低過ぎたりして、
みなし贈与や利益供与のようなことにならないよう、
簿価や決算との関係等にも留意し、
なにより企業活動を継続して頂けるよう
鑑定士としっかりご相談されることをオススメいたします。
リバースモーゲージ
なお、普通の戸建住宅の場合でも、
「リバースモーゲージ」といって、
持ち家を担保にして、そのまま住み続けながら
銀行から融資を受けられる仕組みがあります。
家やマンションを買ったら、
国から売買価格のアンケートが届いた!
売買したこと誰にも話してないのに!
どうしたらいいの??
このようなご質問もよく頂きます。
怪しいところからの不審な郵便じゃないのか。
回答することに不安を感じる方も。
不動産の取引価格情報提供制度
大丈夫です!安心してください。
これは国土交通省が実施機関となっている制度です。
「誰でも安心して不動産の取引を行えるように、
実際の取引価格情報を数多く蓄積し、
広く皆様へ提供していく、国の制度です。」
「平成18年4月より、不動産取引当事者への
アンケート調査を基に情報を蓄積し、
これまでに約396万件(毎年約30万件追加)
の情報を提供しています。」
強制ではありませんが、
ご迷惑でなければ是非ご協力ください。
制度の概要
アンケートに答えるだけではありません。
レインズやアットホーム等に加入していなくても、
一般の方でも取引価格情報を調べることができます。
■不動産取引価格情報
https://www.land.mlit.go.jp/webland/
■物件の種類
宅地、建物、中古マンション等、農地、林地の取引情報
■調査対象地域
平成19年度から全国の地価公示対象区域等
(ほぼ全国)
■提供される情報
所在地(町・大字レベル)、取引時期、
取引価格(※有効数字2桁)、土地の面積・形状、
建物の用途・構造、床面積、建築年 等
■提供件数(累計)
約396万件(令和2年4月30日現在)
(内訳)
土地のみの取引 :1,401,266件
土地と建物一括の取引 :1,425,170件
中古マンション等の取引 : 629,723件
その他の取引(農地等) : 504,665件
実勢価格と公的価格
実勢価格と公的価格は
一致していることが望ましいのですが、
タイムラグや様々な理由で
一致していないこともあります。
そんな時は、一度この取引価格情報を
調べてみてはいかがでしょうか。
売買価格を決める際の参考資料や
売買当事者間での交渉等に使えるかもしれません。
しかも無料です!(笑)
士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています
などなどお気軽に「ちょい聞き」してください!
TEL:077-596-5753(電話受付:平日 9:00〜17:00)
※当事務所は士業専門の不動産鑑定サービスを提供しておりますので、一般の方からのお問合せはご遠慮いただいております。ご了承ください。
※一般の方はこちら ≫公益社団法人滋賀県不動産鑑定士協会