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  1. 士業に役立つ不動産評価まめ知識
 

士業に役立つ不動産評価まめ知識

2020/11/30

建物が適法かどうか、

どうやったら調べられますか?」

というご質問もよく頂きます。

 

売買やMAの際に買主が気にしたり、

金融機関から融資を受ける際に、

建物の遵法性が問題になるケースがあります。

 

このような場合は、

建築確認完了検査を受けているかを

まずは確認することをご提案してします。

(もちろん鑑定士が調査できます!)

 

【建築確認】

 

いわば“設計図”段階での適法性チェックです。

建築確認を受けていれば、

一定の適法性があると考えられます。

 

建築計画概要書を見ることによって、

その物件についてより詳しい情報も手に入ります。

確認番号・年月日もしっかりチェックしておきましょう。

 

なお、国土交通省ホームページの説明では、

「一定規模以上の建築物を建築しようとする場合には、

建築主は工事に着手する前に、

建築主事または指定確認検査機関に『確認申請書』を提出し、

その計画が建築基準法等の基準に適合していることの

確認を受けなければなりません。」

 

「建築基準法等の基準に適合していることが

確認されれば、『確認済証』が交付されます。」

と記載されています。

 

【完了検査】

 

建物が設計図通りに建築されたかどうかの検査です。

 

上記の建築確認は、設計図だけのOKですので、

実際そのとおりに建っているか検査をします。

 

建築確認と完了検査の両方が揃っていると、

その建物の適法性はかなり高くなります。

 

但し、完了検査後の増改築は反映されていませんので、

現況との異同については現地でしっかり調べる必要があります。

 

最近の建物であれば、8090%程度の割合

ちゃんと完了検査を受けています。

 

しかし、昭和60年くらいまでの古い建物の場合は、

「建築確認は受けているが、完了検査は受けていない」

という建物が体感で3050%程度出てきます。

 

このような場合は、一級建築士さんなどに

建物の調査をお願いすることで

一定の適法性を担保できる場合もあります。

 

なお、国土交通省ホームページの説明では、

「完了検査とは、工事が完成した段階で、その建築物が

法令の基準に適合しているかを検査することをいいます。」

 

「建築基準関係規定に適合していると認めたものについて、

建築主のみなさまに対して『検査済証』が交付されます。」

と記載されています。

 

【調査方法】

 

市町村の建築指導課(建築確認担当課)や、

一部の市町村では所管する都道府県の建築担当課

建築確認・完了検査の有無を調べることができます。

 

最近は様々な分野でネット閲覧が進んできましたが、

建築確認・完了検査については、まだまだ

市役所まで行かないと見せてもらえないことが多いです。


2020/11/28

4m未満の道路に接していると、

必ずセットバックしないといけないのですか?」

というご質問を頂くことがあります。

 

結論から言いますと、接面道路が

いわゆる2項道路」の場合だけ

セットバックすることになります。

 

そして、セットバックは減価要因です。

土地価格が下がります。

 

市町村の建築指導課(建築基準法担当)のほか、

小さな市町村では所管する都道府県の担当課で

道路種別を調べることができます。

大きな市では、ネット閲覧できるところも増えました。

 

【セットバックとは】

 

2項道路

建築基準法第42条第2項に指定された道路に接する土地は、

原則として道路中心線から両側に2m後退した線が

道路の境界線とみなされます。

 

2項道路は、幅員4m未満の道路の中から指定されます。

 

指定されてすぐにセットバックする必要は無く、

将来建物の建替え等を行う場合に、

その境界線まで後退(セットバック)することになります。

 

また、「一方後退」といって、

片側が崖や河川で後退できない場合には、

反対側のみが後退することとなり、

通常の倍のセットバックが必要になることがあります。

 

2項道路」の道路区域がどこまでなのか、

土地と道路との間に水路が介在している場合等は

個別具体的に行政調査を行う必要があります。

 

2項道路以外

2項道路以外の道路は、

たとえ幅員が4m未満でも

セットバックをする必要はありません。

 

【財産評価基本通達における評価】

 

「セットバックを必要とする宅地の評価」として、

「セットバックすべき部分については、

通常どおりに評価した価額から

70%相当額を控除して評価します。」とされ、

セットバック部分は▲70の減価となります。

 

【固定資産評価】

 

一般的に個々の土地のセットバック面積に応じて

減価を個別的に算定していることはなく、

そもそもの正面路線価に織り込んで

算定されていることが多いです。

 

固定資産税にも、相続税と同じような

路線価が敷設されていることは以前も書きましたが、

この路線価を敷設する際に、

幅員が狭くセットバックが必要な道路については

そもそもの路線価から下げていることが多いです。

 

そのため、セットバック減価無し=減額可能と

直結するものではありません。

 

【鑑定評価】

 

実際の市場では、セットバック部分は

価値ゼロとして取引されることが多いです。

 

そのため、鑑定評価においても、

セットバックの面積分を

そのまま減価することが多くなります。

 

正面路線価  100,000/

全体面積   100

セットバック 3

 

3/100㎡=3% ▲3

100,000/㎡×100㎡×0.979,700,000

というイメージです。

 

但し、建て替えするまではセットバックの必要はなく、

道路沿いの土地全てのセットバックが完了するまでは

ほぼ専用空間として利用できること、

幅員が広くなって土地利用がしやすくなること等もあり、

個別具体的に見ていく必要があります。


2020/11/26

今回は無道路地の評価、

特に道路への通路を開設することについて

考えてみたいと思います。

 

実務をしていると、

通達評価や固定資産評価より、

現実的にはより大きな減価となる可能性

高いのではないかと考えます。

 

【無道路地とは】

 

■接道義務

建築基準法上の道路間口2m以上接面していないと、

その土地上に建物を建築することはできません。

 

建築基準法第43

「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない。」

 

■減価要因

単独で土地利用ができないor非常に困難で、

道路に通じる権利を取得できて初めて利用可能になります。

 

その土地上に建物が建つか建たないかは、

土地の価格を倍半分変えるくらい大きな影響があります。

 

【財産評価基本通達における評価】

 

No.4620無道路地の評価で、

「最小限度の通路を開設する場合のその通路に相当する部分の価額」

とされ、具体的には

正面路線価×通路部分の面積=通路開設費用となっています。

また、無道路地の価格の40%が上限です。

 

【固定資産評価】

 

「通路開設補正率」に基づき、

奥行距離によって減価率が異なります。


下記のとおり奥行距離だけで一律に評価されています。

 

奥行距離  減価率

10m以下  ▲10

20m以下  ▲20

30m以下  ▲30

30m超   ▲40

 

【鑑定評価】

 

「土地価格比準表(七次改訂)」(地価調査研究会編著)では

「現実の利用に最も適した道路等に至る距離等の状況を考慮し

取付道路の取得の可否及びその費用を勘案して

適正に定めた率を持って補正するものとする」

とされています。

 

通路開設の実現性と不確実性

しっかり考慮して評価することになります。

 

【考 察】

 

一般的な市場において、

「最小限度の通路」部分だけを

路線価と同じ通常の相場で

取得できる可能性はどれだけあるでしょうか。

 

仮に取得できるとしても、

隣接地全部を買わないと売ってもらえなかったり、

開設通路上に建物があって取り壊しが必要だったり、

複数筆に分かれて所有者が異なっていたり、

生産緑地になっていたりetc.

現実的には大きな問題が出てきます。

 

隣接地からすると不合理分割になるかもしれず、

その分高値で買わないといけない場合もあるでしょう。

 

そして、その売買交渉が成功するとは限らず

またある程度の交渉期間が必要になってきます。

 

そうすると、最小限度の通路を想定したり、

奥行距離で一律評価したりすることだけでは、

必ずしも「時価」とは言えない場合も出てきそうです。


2020/11/24

国土交通省から1119日に発表された

地価LOOK令和2年第3四半期(7/110/1

近畿圏について詳しく見ていこうと思います。

 

【全国概況】

 

「前期に引き続き今期も

1地区を除いて横ばい又は下落となった。」

 

「用途別では商業系が住宅系より下落地区の割合が高い。

地域別では大都市圏が地方圏より下落地区の割合がやや高い。」

 

「新型コロナウイルス感染症の影響により、

ホテルや店舗等の収益性低下による需要の減退が一部で見られるが、

全体としては需要者の様子見傾向が継続している。

 

「リーマンショック時の地価下落の主因となった、

マンションやオフィスの需給バランスに

大きな変化は見られていない。

 

大都市圏の商業地を中心に下落割合が高いですが、

一部を除いて“暴落”というのはないようです。

リーマンショックと今回のコロナ禍はかなり違いますね

 

全国100地点のうち1地点だけの上昇地点は

札幌市の駅前通で、容積率の緩和(最大1050%→1200%)等が

要因となり、3%〜6%の上昇とのことです。

 

実際に近畿圏ではどのようになっているのでしょうか?

 

【近畿圏の動向】

 

■滋賀県

 

住宅地 南草津駅周辺 0%横ばい

商業地 調査地区設定なし

 

■京都府

 

住宅地 下鴨 0%横ばい

桂  03%下落(前期0%横ばい)

二条 03%下落

 

商業地 京都駅周辺 03%下落

河原町   03%下落

烏丸    03%下落

 

■大阪府

 

住宅地 豊中  0%横ばい

    天王寺 0%横ばい

    福島  03%下落

 

商業地 西梅田  03%下落

    中之島西 03%下落

    北浜   03%下落

    OBP   03%下落

    新大阪  03%下落

    阿倍野  03%下落

    江坂   03%下落

    茶屋町  36%下落

    心斎橋  36%下落

    なんば  36%下落

 

■兵庫県

 

住宅地 六甲   0%横ばい

    甲子園口 0%横ばい

    芦屋   0%横ばい

 

商業地 西宮北口 03%下落

三宮駅前 03%下落(前期36%下落)

 

■奈良県

 

住宅地 奈良登美ヶ丘 0%横ばい

商業地 調査地区設定なし

 

■和歌山県

 

調査地区設定なし

 

【前期からの変動】

 

近畿圏の地点は下記の2地点を除き、

第二四半期と同じ地価動向でした。

 

一方、京都・桂の住宅地は、

「学生向け賃貸収益物件に対するリスクが高まり、

分譲マンションについては建築費が高止まりであることや

最終需要者が慎重な姿勢を見せていることから

投資採算性の点からやや開発意欲が減退している。」

として横ばいから下落に転じました。

 

また、神戸・三宮駅前の商業地

「他の都市と比較して地元客の割合が高いこと等から、

当地区に隣接する大手百貨店の令和2年8月の

売上高は同4.6%減で留まっており、

当地区の客足も回復傾向にある。」

として、下落率がやや縮小しています。


2020/11/22

「固定資産評価額の算定過程が知りたいが、

どうしたらいいのでしょうか?」

というご相談を頂くことがあります。

 

結論から言いますと、

市町村の税務課(固定資産税担当課)

所有者の委任状を持って、聞きに行ってください。

わかりにくい場合は、鑑定士が代わりに聞いてきます。」

とお答えしています。

 

【縦覧と閲覧】

 

固定資産税には、「縦覧」と「閲覧」の

2つの制度があります。

 

■縦 覧

「納税者が、自己の土地・家屋の価格を

同一区市町村内の他の土地・家屋の価格と比較し、

所有する固定資産の内容等を確認するための制度」です。

 

縦覧は、縦覧できる期間が決まっています。

(概ね4月〜6月くらいの間が多いです。)

 

■閲 覧

「納税義務者(所有者)は、自己の資産について、

固定資産課税台帳を、年間を通じて閲覧することができます。」

 

閲覧であれば、上記縦覧とは違い、

いつでも所有者が自分の土地建物の価格を閲覧できます。

 

また、所有者ではなくても、土地建物の賃借人など

利害関係人であれば、閲覧することができます。

 

本人確認書類のほか、賃貸借契約書等も必要となります。

 

【課税説明】

 

固定資産評価額がどのような計算過程を経て決まっているのか。

どのような要因が考慮されて、

いつまでの地価動向が反映されているのか。

課税説明を受ければ、教えてもらえます。

 

市町村の固定資産税担当課に行って、

「○○番の土地の課税説明をお願いしたいです。」

と言えばOKです。

(その際、委任状や本人確認書類等の提示が必要です。)

 

国税の相続税評価額の評価明細書のように

いくらの価格からスタートして、

どのような補正が入って、

どのような評価額になったかを教えてもらえます。

 

たとえば、

正面路線価 100,000/

奥行価格補正 0.90

不整形補正  0.80

 

100,000/㎡×0.90×0.8072,000/

72,000/㎡×300㎡=21,600,000円(評価額)

 

というようなイメージです。

 

課税説明を聞くことによって、

固定資産評価額がどのように算定され、

どのような事項が考慮されているかわかります。

 

上記の例で言えば、土地上の建物が存すること、

土壌汚染があること、方位補正等は考慮されていませんので、

時価評価の際に別途考慮しても問題はありません。

 

一方、不整形であることは既に考慮されていますので、

固定資産評価額に対し、さらに不整形減価を考慮することは

ダブルカウントとなって適正ではないことになります。

 

【固定資産税】

 

固定資産税は、シャウプ勧告を契機として行われた

昭和25年の地方税制度の根本的改革に伴い創設されました。

 

固定資産の保有と、市町村が提供する行政サービス

との間に存在する受益関係に着目し、

応益原則に基づき、所有者に対して課税する財産税です。

 

市町村税収の実に4割を占めている重要な税金です。


2020/11/20

大阪府から11/18

「府内市町村の基準宅地に係る路線価等(令和3年度)」

が発表されました。

http://www.pref.osaka.lg.jp/shichoson/zei/rosen02.html

 

路線価と言えば、国税庁の相続税路線価ですが、

固定資産税にも、独自の路線価があります。

 

税務署に特定路線価の設定を申請した場合、

市の税務課さんに問い合わせがあったり、

市の路線価を参考にされたり、

相続税路線価と固定資産路線価は密接な関係があります。

 

【基準宅地とは】

 

その市町村における最も価格が高い宅地のことです。

一般的には、駅前一等地が該当することが多く、

この基準宅地を価格の頂点として、

市町村内の価格バランスを図っていくことになります。

 

【大阪府の動向】

 

「令和3年度の府内市町村(大阪市を含む43市町村)

における基準宅地の路線価等の評価額は、

令和2年度からの変動割合は、単純平均でプラス11.9

平成30年度(前回評価替え)からの3年間の変動割合は、

単純平均でプラス11.4

とのことです。

 

前回評価替え(R29.7.1価格)とR2.7.1価格との比較では、


■上昇 28市町


1位 豊中市 新千里東町一丁目(駅前通り)

  576,800/㎡ → 1,155,000/㎡ +100.2


2位 吹田市 豊津町(国道479号線)

 696,000/㎡ → 1,297,555/㎡ +86.4


3位 大阪市 北区角田町(御堂筋)

 12,110,000/㎡ → 20,022,000/㎡ +65.3

 

■下落 13市町村


1位 千早赤坂村 小吹台(バス停前通り)

 23,400/㎡ → 20,500/㎡ ▲12.4


2位 岬 町 淡輪(府道淡輪停車場線)

 32,700/㎡ → 30,100/㎡ ▲8.0


3位 豊能町 東ときわ台三丁目(町道吉川中央線)

 40,415/㎡ → 38,334/㎡ ▲5.1

 

なお、これまでも負担調整措置があるほか、

コロナ禍で固定資産税の据え置きも検討されているため、

この上昇率が来年度そのまま税額アップに

直結するということにはなりません。

 

【固定資産評価額と地価動向】

 

固定資産評価額は、

地価上昇補正は3年に一度の評価替えのみ

地価下落補正は毎年反映されることになっています。

 

地価上昇の場合の例を挙げると、

     実際の地価動向  固定資産評価額

初年度    100       100

1年目    110       100

2年目    120       100

評価替    130       130

 

また、地価下落の場合は、以下のとおりです。

     実際の地価動向  固定資産評価額

初年度    100       100

1年目     90        90

2年目     80        80

評価替     70        70

 

実務でもよく見かける固定資産評価額、

どのように算定されているのか

どこまでの地価動向が反映されているのか

しっかり把握しておくことをご提案いたします。


2020/11/18

私道(わたくしみち)の評価について、

「道路だから価値ゼロでいいですか?」

というご質問を頂くことも多いです。

 

もちろん価値ゼロの場合も多いですが、

必ずしも価値ゼロとならない場合もありますので、

順番に見ていきましょう。

 

【私道とは】

 

民間(法人・個人)が所有し、管理する道路で、

国・都道府県・市区町村が法律に基づいて築造管理する

公共性ある道路(公道)以外の道です。

 

私道は、以下の3つに分けられます。

 

■準公道的私道

一般に公衆の用に供されているが、

私人の所有に属し、

多くは行政庁に管理されているもの。

(開発道路や位置指定道路など)

 

■共用的私道

私道に接面する複数の画地所有者によって

共同利用されているもの。

 

■専用私道

特定の一画地のみの私道で、

私道所有者と画地所有者が同じであるもの。

 

【財産評価基本通達における評価】

 

私道の用に供されている宅地の評価として、

宅地価格の30/100で評価するとされています。

 

不特定多数の者の通行の用に供されている場合は、

「その私道の価額は評価しない」として

価値ゼロとなります。

 

【固定資産評価】

 

「公衆用道路」に認定されると、

非課税として取り扱われます。

 

必ずしも登記地目が「公衆用道路」である必要は無く、

現に不特定多数の者の通行の用に供されていて、

アスファルト舗装されているなど、

道路としての形状を有している場合等は、

地目「宅地」であっても、申請により

公衆用道路として認定してもらえる場合があります。

 

【鑑定評価】

 

私道の位置、所有形態、

建築基準法上の道路かどうか、

課税の有無、道路管理者が誰か、

上下水ガス管の埋設の有無、

将来的な宅地転化の可能性などを

総合的に判断することになります。

 

「土地価格比準表」(七次改訂・地価調査研究会編著)では、

標準住宅地域の私道減価として

以下のとおり記載されています。

 

準公道的私道 80%以上

共用私道   50%〜▲80

専用私道   減価の記載なし

 

上記はあくまでも標準的な参考値であり、

その私道の実態に応じて

適切な減価率を求めていく必要があります。

 

但し、現実的に市場において取引の対象となるかと言えば

なかなか難しいのも実情ではないでしょうか。


2020/11/16

昭和40年代や昭和50年代に取得した

昔の山林の価格がわからなくて困っている

このようなご質問も頂きます。

 

宅地であれば、(一社)日本不動産研究所の

「市街地価格指数」を活用されることも

多いのではないでしょうか。

 

ここでは2つの指標をご紹介したいと思います。

 

【山林素地及び山元立木価格調】

 

市街地価格指数と同じ

(一社)日本不動産研究所が出している

「山林素地及び山元立木価格調」です。

 

全国の市町村約1,000を選定し、

山林素地価格は当該市町村の山林を立地条件等によって

「上の中・普通・下の中」の品等に区分した

用材林地(針葉樹林地)・薪炭林地(広葉樹林地)別、

山元立木価格は杉・桧・松・薪炭材別の

3月末現在の価格について、

市町村役場又は森林組合等に調査票を送付

回答を得る方法をとっています。」

 

全国官報販売協同組合のホームページで

注文することができます。

また、Web会員になれば、

調査結果概要を見ることもできます。

 

市街地価格指数を使い慣れている方にとっては、

なじみやすい指標かもしれません。

 

【基準地価(林地価格)】

 

<土地総合情報システム>

https://www.land.mlit.go.jp/webland/

 

こちらのサイトから、

「地価公示・都道府県地価調査」→

検索地域指定で「都道府県単位で検索」にチェック→

調査年で希望の年を指定、

用途区分で「林地(都道府県地価調査のみ)」をクリック。

 

基準地が設定された時期により、

ご希望される年の価格が無いこともありますが、

個別具体的な価格が出てきますので、

より地域を絞った価格を求めることができます。

 

【山林の価格動向】

 

「山林素地及び山元立木価格調」によると、

林地価格は、用材林・薪炭林ともに、

1992年(平成4年)から一貫して下落傾向です。

 

・木材価格が下落した

・買い手が無い

・林業経営の先行き不安

・林業後継者の減少

・高齢化

などが、主な下落要因とのことです。

 

【山林の種類に注意】

 

不動産鑑定評価では、

都市近郊林地、農村林地、林業本場林地、山村奥地林地等に

細分化されて認識されます。

 

また、市街地介在山林など、

宅地地域の中に位置する山林もありますし、

公簿地目だけ「山林」となっていて、

現況は宅地となっている土地もあったりします。

 

価格が知りたい山林がどのような山林か

しっかり見極めた上で価格動向を調べてください。

わかりにくい場合は、もちろん“ちょい聞き”で!


2020/11/14

借地権の評価は、鑑定評価、税務上、裁判上で

それぞれ考え方が異なる部分があります。

 

どれも正しいのに、評価に差が出てしまう。

非常に悩ましいのが実情です。

 

【具体例】


税務では、相当地代なので、借地権価格ゼロ。

 

裁判では、相当地代であっても、

権利が存在し、その場所を占有できるため、

更地価格の20%〜30%程度の価値。

 

鑑定では、不動産鑑定評価基準に基づき、

賃料差額還元法はゼロとなりますが、

割合法を併用するため1040%程度の価値。

 

このようなイメージです。

三者三様の考え方に基づいていて、

どれも正しいのに0%〜40%もの差が出てしまいます。


更地価格が高ければ高いほど、
価格にした時の差は非常に大きいです。

 

【鑑定評価】

 

・賃料差額還元法

・割合法

・取引事例比較法

・収益還元法(土地残余法)

・更地価格−底地価格

 

借地権の取引慣行の成熟の程度の高低に応じて、

上記の手法を併用して評価します。

 

実務上は、賃料差額還元法割合法

最も使われているのかなと感じます。

 

賃料差額還元法は、相当地代を払っている場合は

借地権価格ゼロとなりますが、

路線価の借地権割合を使った割合法も併用するため、

借地権価格ゼロとなることはあまりありません。

 

そして、鑑定の勉強で必ず出てくる点にも注意が必要です。

・借地権+底地=更地 とは必ずしもならない。

・借地権が存在しても、価格が認められない場合もある。

 

【税務上の評価】

 

路線価の借地権割合が基本となりますが、

相当地代の場合は借地権価格ゼロとなります。

 

また、無償返還届の有無による違い、

当初の権利金が借地権として帳簿に計上されている、

駐車場はアスファルト舗装部分の価格計上の要否etc.

税務だからこそ検討すべき事項が出てきます。

 

特に、無償返還届の有無や

当初の設定権利金が割安であった場合等は、

評価の違いが大きくなってきます。

 

【裁判上の評価】

 

使用貸借権であっても

10%程度の価値を認められることが多いため、

借地権であれば、相当地代だからといって

価格ゼロになるとは考え難いです。

 

権利が存在し、その場所を占有できる。

使用貸借権よりも権利として強い。

とすると、少なくとも20%以上の価値は出てきそうです。

 

【実務での評価方針】

 

ご相談頂く際に、どのような依頼目的

しっかりお伺いさせて頂くことにしています。

 

仮に、いくら税務で正しくても、

不動産鑑定評価基準での問題になると

正しくないと言われるかもしれませんし、

その逆もまたしかりです。

 

鑑定、税務、裁判上の評価など

どのような依頼目的で、

どのような借地権を評価するのか。

どのフィールドでの評価なのか。

 

借地権価格がこれだけ変動するのですから、

底地価格も大きく変わってくるのは

言うまでもありません。


2020/11/12

11/10の日経新聞に

「関経連、21年度予算でコロナ対策を要望」

という記事が掲載されていました。

 

その中で、固定資産税についての記載がありましたので、

内容を見ていきたいと思います。

 

【関経連の意見】

 

「新しい経済・社会を見据えた税財政に関する意見

〜コロナ感染拡大防止と経済活動の両立、

その先の未来に向けて〜」として、

11/10に公益社団法人関西経済連合会が

プレスリリースを出しました。

 

この中のⅢ.1.(1)a)固定資産税・都市計画税で

2021年度は固定資産税の評価替えの年にあたり、

202011日の公示地価をもとに

今後3年間の固定資産税・都市計画税が算出される。

 

基準時期が新型コロナウイルスの感染が拡大する前であり、

商業地をはじめコロナ禍を経た評価額変動は大きいと考えられる。

そのため、評価替えによって税負担額が増加する場合においては、

例えば 2017年時点の評価額に据え置くなど、

評価額の適正化を図るべきである。」

 

【総務省の対応】

 

総税評第57号(令和20930日)

「令和3年度固定資産の評価替えに関する

留意事項について(追加)」が出ています。

 

「土地の評価替えの実施に当たっては、

新型コロナウイルス感染症による影響その他の要因により

地価動向が変化している場合には、

各市町村の区域内の地価動向を的確に把握し、

改正予定の固定資産評価基準に基づく下落修正を行うなど、

適正な評価事務の執行に努めてください。」

 

そして、上記改正予定の固定資産評価基準では、

基準地価の動向、不動産鑑定士の鑑定評価等を活用し、

R2.1.1R2.7.1の下落状況を把握するとしています。

 

【実務への影響】

 

これまでも固定資産税の評価替えの際には、

価格調査基準日である1/1時点価格を

そのまま採用するのではなく、

1/17/1までの価格変動(下落修正分)を把握し、

適切に下落修正を反映しています。

 

不動産鑑定士も「標準宅地の時点修正業務」として

毎年市町村と契約を結んで地価動向を報告しています。

 

そのため、今回もコロナ禍の影響が無い

R2.1.1時点のまま評価替えされた額が出るのではなく、

R2.1.1R2.7.1までのコロナ禍の影響が織り込まれた

新しい評価額が出ることになります。

 

とはいえ、特に市街地中心部など、これまでの

3年分の地価上昇のほうが大きい地域も多いため、

結果として評価額=税額上昇となる地域が増えそうです。

5%+5%+5%−5%=10%上昇というイメージ)

 

なお、R2.7.1R3.7.1の地価動向(下落修正)は

令和4年度の評価額で反映されることになりますので、

来年の令和3年度の評価額に対するコロナ禍による影響は

R2.1.1R2.7.1までの分ということになります。

 

現在の2017年度評価額のまま据え置くのか、

動向を注視していきたいです。


2020/11/08

【一物五価】

 

土地の価格は、同じ場所、同じ面積、同じ条件であっても、

必ずしも同じ価格になるとは限りません。

 

土地の価格には「一物五価」といって、5つの価格があります。

公示地価、基準地価、相続税路線価、固定資産評価額、実勢価格です。

 

このうち、実勢価格以外の価格は、

不動産鑑定士が公的土地評価業務として従事しています。

 

不動産鑑定士と聞いても知らない方が多いですが、

実はけっこう身近な存在なんです。

 

【公示地価(地価公示)】

 

地価公示法第2が根拠法令です。

 

国土交通省土地鑑定員会の決定により、

地価公示調査組織規程に基づき、

地価公示に係る鑑定評価員が募集されます。

 

委嘱申請を提出し、要件を満たすと

地価公示の鑑定評価員に委嘱されることができます。

 

応募要件を抜粋すると以下のとおりです。

 

・直近3年間の間に鑑定評価業務に従事し、

 不動産鑑定評価基準に則った鑑定評価を

 年3件以上行っていること。

 

・各年11日において65歳未満であること。

 

・不動産の鑑定評価に関する法律による懲戒処分、

 国による行政手続法に基づく行政指導、

 (公社)日本不動産鑑定士協会連合会等から懲戒処分

を受けたことが無いこと。

 

その他にも、評価員の業務を適切に実施でき、

幹事就任依頼があった場合に引き受けられること、

地価公示の信頼を損なうおそれがない者等があります。

 

しっかりマジメに仕事してないと委嘱されません。

 

【基準地価(地価調査)】

 

国土利用計画法施行令第9が根拠法令です。

 

公示地価は国から委嘱されますが、

同じように都道府県から委嘱されるのが

地価調査の鑑定評価員です。

 

その年の地価公示の鑑定評価員に

委嘱されている不動産鑑定士であれば、

地価調査の鑑定評価員になれることがほとんどです。

地価公示の場合と同様の要件が必要となります。

 

【相続税路線価】

 

相続税法第22が根拠法令です。

 

「路線価等を定めるための鑑定評価及び

意見価格等の調査等業務」が毎年公募されますので、

希望届出書を提出し、要件を満たすと

鑑定評価員及び土地評価精通者として

委嘱されることができます。

 

地価公示と同じような従事者資格の要件があり、

近畿の場合は大阪国税局に希望届出書を提出します。

 

【固定資産評価】

 

地方税法第341が根拠法令です。

 

3年に一度の評価替業務のほか、

毎年の時点修正業務を行います。

 

市町村が独自に不動産鑑定士を選任しますので、

選任される要件も市町村によって異なります。

 

毎年固定資産税が上がった!下がった!

と話題になりますが、その上昇率や下落率を

判定しているのは不動産鑑定士なんです。

 

【実は身近な鑑定士】

 

公示地価や基準地価は、発表されると

新聞の一面に載るくらい大きなニュースになります。

 

相続税路線価は、相続の時だけではなく、

売買や様々な場面で価格を知るための

身近な情報ではないでしょうか。

 

固定資産税は、毎年納付通知が届きますので、

最も身近なものかもしれません。

 

実は身近な不動産鑑定士

少しでも親近感を持って頂けるとうれしいです。


2020/11/07

【全国対応】

 

「遠方の不動産なのですが、

鑑定をお願いすることはできますか?」

 

ちょい聞き等でご相談頂く際に、

このようなご質問を頂くことがあります。

 

当事務所は「全国対応」ですので、

どこの物件であっても喜んでお受けします。

 

普段は、近畿圏の鑑定ご依頼が多く、

近畿圏であれば交通費も無料でさせて頂いていますが、

日本全国様々なところでの

評価実績がありますので、ご安心ください。

 

【どうして全国対応できるのか?】

 

当事務所に頂くご依頼のほとんどは、

士業の先生からのご紹介です。

 

単に売買実例価格を集めて、

平均値を出すような相場情報提供だけでは

ご依頼目的を達成することができません。

 

相続税評価額、固定資産評価額、

相手が主張する価格などが適正なのかどうか。

また、適正ではないとすれば適正な価格はいくらか。

 

不動産鑑定評価基準に基づき、

説得力ある説明をしていく必要があります。

 

相続税評価額は、財産評価基本通達

固定資産評価額は、固定資産評価基準

相手が主張する価格は、上記のいずれかもしくは

不動産業者の査定、不動産鑑定評価基準に基づく

不動産鑑定士の評価が根拠です。

 

どれも地域性だけで

評価方針に大きな差が付くような基準ではないため、

全国どこの物件でも

基本は同じような目線でチェックが可能です。

(その上で、地域性をさらに考慮します。)

 

土地単価は、実勢価格と整合しているか。

建物価格は、固定資産評価額等が実際の建築費、

帳簿価額、市場価格等と乖離していないか。

収益物件は、適正に収益性が判定されているか etc.

 

見るべき重要ポイントは基本的に同じです。

そのため、全国どこの物件でも対応できるのです。

 

【不動産の地域精通性との関係】

 

不動産は地域性が強く、

地域精通性を重視されることが多いです。

 

その地域のリアルな市場動向をより知っているのは、

やはりその地域の不動産鑑定士だと思います。

 

しかし、もっと言えば、

地域の市場動向だけを知りたいのであれば、

その地域の“実際のプレーヤー”である

不動産業者さんが最もよくご存じかもしれません。

 

それにもかかわらず、

不動産鑑定士にご相談頂いたということは、

市場動向だけではないご依頼目的があるはずです。

 

価格判定が難しい不動産の評価について、

不動産鑑定評価基準に基づいて説得力ある説明ができるのは、

やはり不動産鑑定士が適任だと考えます。

 

当事務所は、その地域の不動産鑑定士等とも連携し、

地域の市場動向をしっかり把握するように努めています。


2020/11/06

11/4の日経新聞に「オフィスビル賃貸料調査」

の結果が掲載されていました。

 

「オフィス賃料に下落圧力」

「業績悪化で解約増」

「在宅勤務 需要減に拍車」

「コロナ禍 ビル事業に打撃」

 

これまで活況を呈していた市況から

一転して調整局面に入りました。

 

【近畿の動向】

 

■京都・四条烏丸

「供給不足から賃料が上昇。

解約の動きもあるが空室率は低水準で、

賃料を下げる動きにつながっていない」

 

■大阪・梅田周辺

「まとまった面積を借りるのは依然困難だが、

小さな空きは出始めた」

 

■大阪・難波駅周辺

「新型コロナウイルスの影響とみられる

複数の大規模な解約があった」

 

■神戸・三宮周辺

「来年竣工の新築ビルは高稼働で開業見通し。
既存ビルもまとまった空室は少ない」


【空室率】

 

空室率が増加すると、賃料は下落する傾向にあります。

賃料が下落すると、不動産価格は下落します。

 

仮に月100万円の賃料が入る物件で試算してみます。


空室率0%だと 年1,200万円÷5.0%=2.40億円 ですが、

空室率5%だと 年1,200万円×95%÷5.0%=2.28億円


わずか5%の空室でも、価格に1,200万円の差が出ました。

 

空室率が上昇し、全体的な賃料が下がったり、

取引利回りが上昇すれば、

さらに価格が下がることになります。

 

【賃貸オフィスビル経営への影響】

 

新型コロナウイルスのまん延が

賃貸オフィスビル経営にどのような影響を

及ぼしているかという調査では、

 

賃料減額の申し入れ 45

テナント退去    26

賃料の支払い猶予  24

賃料滞納      15

 

という大きな影響があったことが伺えます。

 

上記の例で、仮に賃料が30%下がったとすると、

100万円から▲30%ですから月70万円(年840万円)。

 

下落前 年1,200万円÷5.0%=2.40億円 ですが、

下落後 年 840万円÷5.0%=1.68億円


賃料が30%下がると、価格では7,200万円もの差になりました。

 

ここにテナント退去や空室率の上昇、

全体的な市場の様子見などが入ってくると、

さらに大きな差になることも考えられます。

 

【まとめ】

 

このように、路線価や基準地価などで

エリアとしては土地価格が下がっていない地域であっても、

賃料への影響如何では物件価格が大きく変わります。

 

現在考えているスキームの物件価格は適正か、

価格が下落している今だからこそ実行できるスキームは無いのか。

物件毎にしっかり考えていく必要がありそうです。


2020/11/04

前回の土地のみ(更地)の場合に続き、

担保評価・土地建物編です。

 

前回土地について色々触れましたので、

今回は特に建物について

取り上げてみたいと思います。

 

【土地と建物の所有者が同じか】

 

所有者が異なる場合、

借地権など何らかの利用権

設定されている場合があるため、

所有者の確認は基本中の基本です。

 

共有になっていることも多く、

どのような持分割合になっているか

確認することも大切です。

 

土地と建物の持分割合が異なることもあり、

評価目線の違い=価値観の違いではなく、

明らかなミスになるため気を抜けません。

 

一方、土地と建物が共同担保に供されている場合は、

「同一人に属するものして」との評価条件を付して

土地建物の評価をする場合もあります。

 

【建物の増改築の有無、同一性の確認】

 

登記されている建物の情報と

現況が同一となっているかを確認します。

 

増改築をしていると、床面積=評価数量が変わり

建物価格が変わってきます。

 

また、資本的支出に該当する場合等は

建物の経済的残存耐用年数が変わってくるため、

建物価格に影響があります。

 

さすがに主建物ではあまりありませんが、

複数の附属建物がある場合等は、

新しく未登記附属建物が建っていたり、

過去に取り壊し済みであったりすることもあり、

登記情報と現況の異同をしっかり確認します。

 

所有者からは「これが登記の建物だ」と聞いていても、

登記建物と全く違う建物が建っていて、

登記建物=現況建物かどうか

同一性が疑われることもあります。

 

担保権が及ぶ範囲が、担保権者の事前の思いと

異なることが無いように入念な確認が必要となります。

 

【融資期間と建物の耐用年数】

 

融資期間が20年なのに、

建物の経済的残存耐用年数が5年など、

融資期間>建物耐用年数の場合は、

金融機関での稟議の際に問題になる場合もあります。

 

機械的に建物の残存耐用年数を設定するのではなく、

現況に即して適切に耐用年数を判断することが大切です。


2020/11/02

10/30の日経新聞(電子版)に

「神戸市は老朽化が目立つ空き家について、

固定資産税の税優遇を

2021年度から本格的に廃止する。」

という記事が掲載されていました。

 

「長年放置され地域の景観を損なう

建物については住宅と見なさず、

所有者などに解体・修繕の意思がなければ

「更地」と同様に固定資産税の支払いを求める。

とのことです。

 

【住宅用地の特例】

 

居住用の家屋の敷地(住宅用地)として

認定されると、固定資産税等が軽減されます。

 

■小規模住宅用地(200㎡以下)

 固定資産税 1/6

 都市計画税 1/3

 

■一般住宅用地(200㎡超)

 固定資産税 1/3

 都市計画税 2/3

 

仮に300㎡の住宅地であれば、

200㎡までは小規模住宅用地として、

200㎡を超える部分を一般住宅用地として

課税されることになります。

 

また、共同住宅では、200/1なので、

仮に10部屋ある共同住宅であれば、

2,000㎡までの敷地が小規模住宅用地として

軽減されることになります。

 

【特定空家】

 

これまでも「特定空家」に該当すると、

税優遇の廃止ができるようになっていました。

 

国土交通省の「特定空家等に対する措置」に

関する適切な実施を図るために必要な指針によると、

特定空家の要件として

以下のとおり定められています。


・そのまま放置すれば倒壊等
 著しく保安上危険となるおそれのある状態

・そのまま放置すれば著しく衛生上
 有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより
 著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために
 放置することが不適切である状態

 

【神戸市の取り組み】

 

神戸市が新たに取り組むのは、

上記の特定空家だけではなく、

さらに次のような空家についても

追加で税優遇を廃止するということです。

 

・構造上住宅と認められない状況にある場合


・使用の見込みはなく取壊しを予定している場合


・居住の用に供するために必要な管理を怠っている場合等で

今後人の居住の用に供される見込みがないと認められる場合

 

【固定資産税への関心の高まり】

 

近年、固定資産税への関心が高まり、

自分の税金が適正に賦課されているのか

課税説明や問い合わせが非常に増えています。

 

特定空家の場合は説明が容易ですが、

市独自の空家認定となると、どこで線引きしていくか。

 

使用の見込みはあり、取壊しも予定していない。

今後居宅として住む(貸し出す)つもりだった等

様々な問題が出てくることが予想されます。

 

特に、令和3年度は評価替年度でもあり、

コロナ禍による地価動向への関心からも

問い合わせが増える可能性が非常に高いです。

 

その中にあって、市内の空き家を

何とかしていこうという神戸市の姿勢は

とてもすごいことだなと感じました。

 

【更地にすると…】

 

戸建住宅を取り壊して更地にすると、

「固定資産税が6倍に上がる!」

ということを聞くことがありますが、

正確には1/6軽減の税優遇が無くなって

“元に戻る”ということになります。

士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

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