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士業に役立つ不動産評価まめ知識

2021/04/30
不動産の価格は、
最有効使用が何かによって決まります。

住宅地、商業地、工業地。
戸建住宅、賃貸マンション、
店舗、事務所、工場、倉庫など。

ここでいう「最有効使用」とは何なのか。
よく誤解されることがありますので、
改めて見ていきたいと思います。

【最有効使用とは】

不動産鑑定評価基準によると、
「不動産の効用が最高度に発揮される可能性に最も富む使用」
とされています。

この言葉だけを見ると、
もう最高でベストでNo.1で、
これ以上ないスゴイ使い方…というイメージを
持つこともあるかもしれません。

でも、実際のところは、
“フツーの人がフツーに考えるフツーの使い方”です。

No.1にならなくてもいいんです。
もともと特別なOnly Oneじゃなくてもいいんです。

【最有効使用判定のチェックポイント】

■良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろう
 と考えられる使用方法であること。

オレだったらこの不動産の収益を何倍にもできる!
だから評価を高くしてくれ!
と、頼まれたとします。

しかし、「通常の使用能力」を前提としていますので、
この方ならではのスゴイ使用方法は、
その人個人に属する“属人的”なものとなり、
評価の前提にすることはできません。

■使用収益が将来相当の期間にわたって
 持続し得る使用方法であること。

この1年だけはミラクルでめちゃくちゃ儲かった。
これを前提に評価してくれ!

この場合も、収益の安定性・持続性がないため、
ミラクル前提での評価はできません。
不動産の評価でも「サステイナビリティ」は重要です。

■効用を十分に発揮し得る時点が
 予測し得ない将来でないこと。

いつかここは一大リゾート地になる!
見込みは無いけど、開発許可さえ取れれば…。

この場合も、具体的なリゾート地の事業計画や
開発許可の取得など、
リゾート地になる時点が予測できる将来でないと
評価の前提にすることはできません。

【コンサルティングの活用】

とはいえ、理想は高く、夢はでっかく。
事業の採算性を検討したい場合もあります。

このような場合は、不動産鑑定評価書ではなく、
前提条件を付記した上で、
不動産のコンサルティングレポートとして
どのような試算結果になるかをご報告することが可能です。

【最有効使用の原則】

不動産の価格は、その不動産の効用が
最高度に発揮される可能性に最も富む使用
(以下「最有効使用」という。)を前提として
把握される価格を標準として形成される。

この場合の最有効使用は、
現実の社会経済情勢の下で客観的にみて、
良識と通常の使用能力を持つ人による
合理的かつ合法的な最高最善の使用方法に基づくものである。

なお、ある不動産についての現実の使用方法は、
必ずしも最有効使用に基づいているものではなく、
不合理な又は個人的な事情による使用方法のために、
当該不動産が十分な効用を発揮していない場合が
あることに留意すべきである。

※最有効使用の判定上の留意点※

不動産の最有効使用の判定に当たっては、
次の事項に留意すべきである。

(1)良識と通常の使用能力を持つ人が採用するであろう
   と考えられる使用方法であること。

(2)使用収益が将来相当の期間にわたって
   持続し得る使用方法であること。

(3)効用を十分に発揮し得る時点が
   予測し得ない将来でないこと。


2021/04/27
「どの建物価格が正しいのでしょうか?」
というご質問をよく頂きます。

期末簿価、鑑定評価額、固定資産評価額etc.
どれもちゃんとした根拠に基づいているのに、
価格が異なっていることが多いです。

【評価実例】

実際の評価実例に基づいて見てみましょう。
築約30年の鉄骨造工場・倉庫です。

■期末帳簿価格   70,000,000円
■鑑定評価額    65,000,000円
■固定資産評価額 200,000,000円

期末簿価と鑑定評価額は概ね近似していますが、
固定資産評価額は倍以上の差があります。

どの価格を建物価格として採用するかによって、
影響はかなり大きく違ってきます。

【期末簿価】

固定資産台帳における
「建物」及び「建物付属設備」が該当します。
取得価格は実際の建築費でした。

その後の修繕費等も適切に計上され、
減価償却も適切になされています。

経年減価のみで、目視等により確認できる
偶発的な損傷や劣化等は考慮されていないものの、
なんといっても「実額」ですので説得力は大きいです。

【鑑定評価額】

不動産鑑定評価基準に則って、
建物を躯体・仕上・設備に区分し、
再調達原価や経済的残存耐用年数も適切です。

期末簿価より低くなったのは、
経年減価以外の物理的・機能的・経済的減価
考慮したためです。

【固定資産評価額】

固定資産評価基準に則り、
再建築費(価格)を基準として評価する方法
(再建築価格方式)を採用して適切に評価されています。

ただ、建物を躯体・設備に分けず、
設備も躯体と同じ耐用年数となり、
どれだけ築年を経ても残価率20%です。

さらに、3年に1度しか価格の見直しを行わず、
前年度の評価額に据え置かれる措置(※)もあります。
この場合、経年劣化しているはずなのに、
価格がずっと変わらないこともあります。

【建物価格の比較】

このようにそれぞれの根拠に基づき
適切に評価されている“正しい価格”であるものの、
建物価格は大きく異なることがあります。

評価実例では固定資産評価額が
期末簿価や鑑定評価額より高くなっていますが、
新築から概ね10〜15年程度までは
固定資産評価額のほうが低くなっている場合が多いです。

売買・相続・裁判・株価評価等、
いずれの場面でどの価格を建物価格として採用するか。
しっかり見極めていくことが重要だと考えます。

※【前年度の評価額に据え置かれる措置】※

新基準年度の評価額と前年度の評価額とを比較し、
新基準年度の評価額が前年度の評価額を下回る場合は、
新基準年度の評価額として算定された額が
それ以降の課税年度の評価額となります。

しかし、新基準年度の評価額が前年度の評価額を上回る場合は、
前年度の評価額に据え置かれる措置が採られています。

また、家屋の評価替えは、
「建築物価の変動(再建築費評点補正率)」と
「家屋の建築後の経過年数に応じた減価(経年減点補正率)」
を考慮して全国一律に3年に一度行い
経年減点補正率は、構造及び用途等の区分に応じて、
下限(最終残価率)が2割として設定されています。


2021/04/17
「鑑定評価書で採用された取引事例について、
地番を含む詳しい内容を知ることはできますか?」

このようなお問い合わせを頂くことがあります。
依頼者というより、交渉の相手方など
鑑定評価書の内容を精査したい方からが大半です。

【取引事例の情報開示】

しかし、取引事例の情報開示については、
公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会の
「資料の収集・管理・閲覧・利用に関する規程」
によって制限されています。

何かやましいことがあって開示しないのではなく、
ちゃんとしたルールで定められています。

一方、鑑定評価書で採用した
地価公示標準地価格、地価調査基準地価格については
国土交通省や都道府県においても公開されていますので、
詳しい内容をお伝えすることができます。

【資料の収集・管理・閲覧・利用に関する規程】

(鑑定評価書等における資料の表示方法等)
第32条
事例資料を鑑定評価等業務の成果物に登載する場合は、
当該成果物の名称のいかんを問わず
次の事項を記載してはならない。

(1)地番又は住居表示
(2)事例の位置を特定できる図面
(3)取引当事者名、居住者名、店舗・ビル名等
(4)事例資料作成者名
(5)事例収集源

2 事例資料は、鑑定評価等業務の成果物に、
その名称を問わずいかなる場合にも、
そのまま又は再謄写して添付してはならない。

3 前項の成果物に事例地の位置等を
示した図面を添付する場合は、
1万分の1以下の縮尺の図面を用い、
その位置が特定できないようにしなければならない。

4 依頼者が使用目的を特定した
国又は地方公共団体、その他の公的機関であって、
当該事例資料の当事者から
当該第三者提供に関する同意を取り付ける等
個保法において認められる場合に限り、
第1項の規定にかかわらず、
第1項第1号から第3号に規定する事項を
別途資料として提供することができる。


2021/04/02

土地に関する基本法である土地基本法。


令和241日に改正土地基本法が施行され、

土地基本方針に不動産鑑定士が登場しています。

 

あまり知名度がない不動産鑑定士ですが、

こうやって載せて頂けることは本当にうれしいです。

 

【不動産市場を支えるインフラ】

 

「不動産の鑑定評価の専門家の存在自体が、

不動産市場を支えるインフラである」

 

土地基本法が定める土地基本方針の中で、

不動産鑑定士の役割について明記されています。

 

単なる知る人ぞ知る国家資格ではなく、

不動産市場を支えるインフラとして

これからもより一層精進していきます。

 

【土地基本方針】

 

令和2526日閣議決定

土地基本法(平成元年法律第84号)第21条第1項の

規定に基づき、土地基本方針を別紙のとおり定める。

 

2.不動産市場情報の整備の推進

 

「現在の地価公示等を通じた地価情報の発信や、

不動産取引価格情報の提供、不動産取引価格指数

(住宅、商業用不動産)の公表に加え、

既存住宅販売量に関する指数・不動産の賃料に関する指標の整備、

官民連携した面的な市場情報の整備等を行うなど、

不動産市場の動向を的確に把握する統計の整備と

データの提供を充実化することにより、

不動産市場のより一層の透明化を図り、円滑な不動産取引を推進する。

 

さらに、地価公示等についても、

地価の個別化・多極化に対応した調査方法の見直しを行うなど、

よりきめ細やかに地価動向を把握・発信する。

 

また、不動産の鑑定評価の専門家の存在自体が、

不動産市場を支えるインフラであることから、

不動産鑑定業者の能力に着目した業者選定に向けた

依頼者への情報提供等の支援や、

不当鑑定等に対する監督の強化を通じ、

不動産鑑定評価の品質の維持・向上を図る。」

 

【土地基本法第21条】

 

「政府は、土地についての基本理念にのっとり、

前章に定める土地の利用及び管理、土地の取引、

土地の調査並びに土地に関する情報の提供に関する

基本的施策その他の土地に関する施策の総合的な推進を図るため、

土地に関する基本的な方針を定めなければならない。」

士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

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