士業専用ダイヤル
土地に関する基本法である土地基本法。
令和2年4月1日に改正土地基本法が施行され、
土地基本方針に不動産鑑定士が登場しています。
あまり知名度がない不動産鑑定士ですが、
こうやって載せて頂けることは本当にうれしいです。
【不動産市場を支えるインフラ】
「不動産の鑑定評価の専門家の存在自体が、
不動産市場を支えるインフラである」
土地基本法が定める土地基本方針の中で、
不動産鑑定士の役割について明記されています。
単なる知る人ぞ知る国家資格ではなく、
不動産市場を支えるインフラとして
これからもより一層精進していきます。
【土地基本方針】
令和2年5月26日閣議決定
土地基本法(平成元年法律第84号)第21条第1項の
規定に基づき、土地基本方針を別紙のとおり定める。
2.不動産市場情報の整備の推進
「現在の地価公示等を通じた地価情報の発信や、
不動産取引価格情報の提供、不動産取引価格指数
(住宅、商業用不動産)の公表に加え、
既存住宅販売量に関する指数・不動産の賃料に関する指標の整備、
官民連携した面的な市場情報の整備等を行うなど、
不動産市場の動向を的確に把握する統計の整備と
データの提供を充実化することにより、
不動産市場のより一層の透明化を図り、円滑な不動産取引を推進する。
さらに、地価公示等についても、
地価の個別化・多極化に対応した調査方法の見直しを行うなど、
よりきめ細やかに地価動向を把握・発信する。
また、不動産の鑑定評価の専門家の存在自体が、
不動産市場を支えるインフラであることから、
不動産鑑定業者の能力に着目した業者選定に向けた
依頼者への情報提供等の支援や、
不当鑑定等に対する監督の強化を通じ、
不動産鑑定評価の品質の維持・向上を図る。」
【土地基本法第21条】
「政府は、土地についての基本理念にのっとり、
前章に定める土地の利用及び管理、土地の取引、
土地の調査並びに土地に関する情報の提供に関する
基本的施策その他の土地に関する施策の総合的な推進を図るため、
土地に関する基本的な方針を定めなければならない。」
弁護士さんから頂く最も多いご相談は、
「相手方から出てきた鑑定評価書を見てほしい」です。
その中でも、特に共有物件の評価について。
古きよき伝統的な論点ではありますが、
今でも多く目にする共有減価と裁判上の評価について
検討していきたいと思います。
【原 則】
共有持分を評価する場合は、
使用・収益・処分の制約や
共有物分割の時間的・経済的負担を考慮した
共有減価(市場性の減退)を考慮します。
【例 外】
共有持分の併合、全面的価格賠償の場合は、
共有減価を行いません。
下記の書籍にも、共有減価を行わない旨の記載があります。
■「家庭裁判所における遺産分割遺留分の実務(第3版)」
片岡武/管野眞一(編著) 日本加除出版株式会社
「不動産の共有持分(1/2)を有する相続人が
被相続人の共有持分(1/2)を代償取得する場合、
あるいはすべての共有持分を一括売却する場合などは、
共有減価は行わない。」
「なぜなら、共有持分どうしが併合し、
完全所有権(共有持分100%)を取得するので
いわゆる併合利益が生まれ、
共有持分減価は消滅するからである。」
■「共有不動産の紛争解決の実務(第2版)」
三平聡史著 民事法研究会
「全面的価格賠償においては、結果として
共有を脱する(単独所有になる)ことになる、
つまり、共有による制約・不都合はなくなります。
そこでの賠償額の算定においては
共有減価を適用しないのが一般的です。
(東京地判平成25・7・19判例集未登載、
東京地判平成17・10・19WLJ)」
【鑑定評価書の内容】
不動産鑑定士は、通常「正常価格」を評価するため、
上記原則に基づき、共有減価を考慮した
鑑定評価を行っていることが多いです。
正常価格とは、「市場性を有する不動産について、
現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる
条件を満たす市場で形成されるであろう
市場価値を表示する適正な価格」です。
そのため、他の共有者のためだけの価格ではなく、
正常な市場で成立する価格を出しています。
【不動産鑑定士との連携】
不動産鑑定士に鑑定依頼をされる際には、
どのような目的での評価なのか、
しっかり連携していくことが大切です。
認めてもらえない共有減価を考慮して価格が下がっても、
最終的には共有減価無しの価格になってしまったりすると、
依頼者との信頼関係も崩れてしまいかねません。
令和3年公示地価の結果について
近畿圏の状況を見ていきたいと思います。
各府県の代表的な地点をピックアップします。
【概 況】
コロナ禍により、これまで上昇傾向にあった
地価動向が一変した1年(R2.1.1〜R3.1.1)でした。
商業地のほうが住宅地より影響が大きく、
都市部のほうが地方(郊外)より影響が大きくなっています。
全国の変動率上昇トップ10に
近畿は1地点も入っていません。
逆に、全国の変動率下落トップ10では、
住宅地:兵庫県(香美・赤穂)の2地点
商業地:大阪ミナミが8地点、京都祇園1地点と
ワースト10地点中9地点が入っています。
近畿の商業地は、全国で最も大きな変化がありました。
年間変動率(R2.1.1〜R3.1.1)は
新聞やインターネットですぐ検索できますので、
このブログでは半年毎の地価動向を見ていきます。
全体的に、前半(R2.1.1〜R2.7.1)は下落が大きく、
後半(R2.7.1〜R3.1.1)は下落幅が縮小している傾向です。
【滋賀県】
■大津市・JR大津駅前(商業地)
R2.1.1 354,000円/㎡
R2.7.1 349,000円/㎡(▲1.4%)
R3.1.1 349,000円/㎡(±0.0%)
大津駅前は、年間変動率は▲1.4%ですが、
前半はマイナス、後半は横ばいとなっています。
後半は地価下落が無く、持ち直した形です。
【京都府】
■京都市東山区・祇園(商業地)
R2.1.1 3,500,000円/㎡
R2.7.1 3,220,000円/㎡(▲8.0%)
R3.1.1 3,200,000円/㎡(▲0.6%)
祇園の四条通沿いは、年間変動率は▲8.6%ですが、
半年毎の変動では下落幅が大きく縮小しています。
一方、花見小路通沿いの地点は、
年間▲13.9%となり、全国ワースト10位です。
■京都市中京区・地下鉄丸太町駅付近(商業地)
R2.1.1 880,000円/㎡
R2.7.1 865,000円/㎡(▲1.7%)
R3.1.1 860,000円/㎡(▲0.6%)
御所南エリアでも、年間変動率は▲2.3%ですが、
半年毎の変動では下落幅が半減しています。
【大阪府】
■大阪市北区・グランフロント(商業地)
R2.1.1 25,000,000円/㎡
R2.7.1 23,600,000円/㎡(▲5.6%)
R3.1.1 22,900,000円/㎡(▲3.0%)
大阪キタは、年間変動率は▲8.4%ですが、
半年毎の変動では下落幅が半減しています。
■大阪市中央区・ミナミ戎橋付近(商業地)
R2.1.1 28,700,000円/㎡
R2.7.1 23,300,000円/㎡(▲18.8%)
R3.1.1 21,100,000円/㎡(▲9.4%)
大阪ミナミは、年間変動率は▲26.5%と大きいですが、
半年毎の変動では下落幅が半減しています。
一方、すぐ近くの道頓堀の地点は、
年間▲28.0%となり、全国ワースト1位です。
【兵庫県】
■神戸市中央区・三ノ宮駅前(商業地)
R2.1.1 7,200,000円/㎡
R2.7.1 6,700,000円/㎡(▲6.9%)
R3.1.1 6,500,000円/㎡(▲3.0%)
三ノ宮駅前は、年間変動率は▲9.7%と大きいですが、
半年毎の変動では下落幅が半減しています。
【奈良県】
■奈良市・近鉄奈良駅前(商業地)
R2.1.1 830,000円/㎡
R2.7.1 745,000円/㎡(▲10.2%)
R3.1.1 730,000円/㎡(▲2.0%)
近鉄奈良は、年間変動率は▲12.0%と大きいですが、
半年毎の変動では下落幅が大きく縮小しています。
【和歌山県】
■和歌山市・JR和歌山駅前(商業地)
R2.1.1 442,000円/㎡
R2.7.1 442,000円/㎡(±0.0%)
R3.1.1 442,000円/㎡(±0.0%)
JR和歌山駅前は、年間変動率±0.0%と横ばいです。
前半後半とも±0.0%で、地価下落はありません。
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