「相続税評価で、宅地の評価倍率が
1.1となっているのはどうしてですか?」
【評価倍率1.1の理由】
相続税評価額 :公示地価の80%水準
固定資産評価額:公示地価の70%水準
対象地の固定資産評価額を
相続税評価額の水準に合わせるために
70 × 1.1 = 77 ≒ 80
となるからです。
【公的価格バランス】
公示地価・基準地価を100=時価として、
相続税評価は80、固定資産評価は70の
水準となっています。
■相続税路線価
路線価等は、1月1日を評価時点として、
1年間の地価変動などを考慮し、
地価公示価格等を基にした価格(時価)の
80%程度を目途に評価しています。
■固定資産評価
平成6年度の評価替えから、
土地基本法第16条や総合土地政策推進要綱等に基づく
「公的土地評価の均衡化・適正化」の要請により、
当時の相続税評価との均衡や、
昭和50年代の地価安定期における
地価公示価格に対する固定資産税の評価額の割合等から、
宅地の評価については地価公示価格等の
7割を目途に評価を行うこととされました。
【地目「雑種地」に注意】
雑種地の固定資産評価額に
そのまま宅地の評価倍率を乗じて
相続税評価額を出すことは、
適正な評価額とならない場合が多く、
否認されるリスクが非常に高くなります。
国税不服審判所平成16年3月31日裁決など、
雑種地の固定資産評価額に宅地の評価倍率を乗じて
否認された事例もあります。
<イメージ例>
宅地としての時価水準(100%水準)を
1,000万円とします。
宅地としての固定資産評価額(70%水準)は
1,000万円 × 70% = 700万円 となります。
雑種地としての固定資産評価額は、
仮に雑種地補正0.60とすると、
700万円 × 0.60(雑種地補正)= 420万円 です。
(利用状況や市町村によって減額割合は異なります)
宅地の評価倍率1.1倍を適用すると、
700万円 × 1.1倍 = 770万円(80%水準)
420万円 × 1.1倍 = 462万円(50%水準)
雑種地の固定資産評価額は、
地目補正が適用されて減額されているケースが多く、
雑種地の固定資産評価額に宅地の評価倍率を乗じると
このように大きな乖離が生じてしまいます。
特に、現況が宅地と類似する利用状況の場合や、
登記地目は「宅地」なのに、
課税地目が「雑種地」となっている場合など、
その固定資産評価額がどのように算定されているか
しっかり確認することが大切です。