税理士さん・公認会計士さん・弁護士さんなどの
士業の先生のための不動産鑑定

士業専用ダイヤル

  1. 士業に役立つ不動産評価まめ知識
 

士業に役立つ不動産評価まめ知識

2020/07/21

鑑定評価って何を見て値段付けるの?

第2回目は「地域要因」です。

 

前回の「一般的要因」で大きな流れをつかんだら、

次にするのが地域の分析です。

 

評価の対象となる不動産がどんな地域にあって、

どんなことが重視されて売買されているのか。

 

住宅地域、商業地域、工業地域、農地山林で

異なってきますので、順に見ていきましょう。

 

住宅地域の地域要因

 

不動産鑑定評価基準では、

住宅地域の地域要因として14項目が例示されています。

その中から抜粋してご紹介いたします。


住宅地域は、生活利便性居住環境
この2つが価格を決める重要な要素です。

 

■日照、温度、湿度、風向等の気象の状態


 住宅地域は日照が大切ですよね。

 不動産広告にも「南向き」「日当たり良好」など

 南→東→西→北の順に好まれる傾向があります。

 

 商業地域や工業地域は、日照や方位は気にしないので、

 住宅地域ならではの要因です。


 ちなみに、相続税路線価や固定資産評価額は
 方位による影響は考慮されていません。

 

 鑑定士が道に迷うことは職業柄ほとんどないのですが、

 たまにわからなくなった場合は、

 周囲のマンションのベランダをチェックしたりします。

 

 できるだけ南向きにベランダを作る傾向がありますので、

 いくつか見ていけば南の方角がだいたいわかります。

 太陽が出ていない時、時間がわからない時でも使える小技です。

 

■街路の幅員、構造等の状態

 

 地域によって求められる道路幅員は異なりますが、

 地方や郊外など車を使うことが多い住宅地域では

6m以上の幅員が好まれます。

 

 狭幅員だと車の運転が難しかったり、離合できなかったり。

 4m未満だったら、セットバックの可能性も出てきます。

 交差点の隅切りも運転しやすさに大きな差が出ますよね。

 

 現地調査では、何度も無謀な挑戦をして

車にキズを作ってしまっているので(反省)、

現地調査前に周辺の幅員を調べるのは必須です。

 

■都心との距離及び交通施設の状態

 

 どれだけ居住環境が良くても、

 通勤通学などの便が悪いと大変ですよね。

 

 しかし、コロナで在宅勤務が進むと、

 このあたりの価値判断は変わってきそうです。

 

■商業施設の配置の状態

 

 日々の生活のための買い物も便利な方が良いですよね。

 単なるコンビニというよりは、

 日常生活を送るために必要なスーパー等が該当します。

 

■上下水道、ガス等の供給・処理施設の状態

 

 都会では当たり前になっていますが、

 上下水道ガスの整備が進んでいない地域もあります。

 

 上水道はほぼどこでも供給されているのですが、

 場所によっては簡易水道井戸水など様々です。

 

 下水道も、公共下水道集落排水集団浄化個別浄化など

 様々なパターンがあります。

 

 さらに、前面道路に敷設されていないと

宅内への引込に多額の費用が掛かったり、

 そもそも敷設されている管の容量が小さくて、

 引き込めなかったりと見えない部分での差も大きいです。

 

■洪水、地すべり等の災害の発生の危険性

■騒音、大気の汚染、土壌汚染等の公害の発生の程度

 

 最近は土砂災害や河川氾濫が増えています。


 土砂災害警戒区域(イエローゾーン)や

土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)のほか

ハザードマップで浸水可能性についてチェックしたり、

より一層重視されていく項目だと思います。

 

また、元々が池や沼だったところは地盤が緩く

元々山を切り拓いたところは盛土部分での土砂災害の可能性

元々工場だったところは土壌汚染の可能性等が出てきます。

 

昔がどうだったかは、ネットで過去の航空写真を見たり、

図書館で古い住宅地図を見ることで調べることができます。

 

住宅地域にもさらに種類がある

 

住宅地域といっても、さらに細分化できます。

優良住宅地域

標準住宅地域

混在住宅地域

農家集落地域

別荘地域 等です。

 

それぞれ細分化された地域によって、

上記項目の影響の程度はそれぞれ変わってきます。


居住環境は、時代の流れによって価値観が変わりますが、
生活利便性はいつの時代も強いなと感じます。

2020/07/19

鑑定評価って何を見て値段付けるの?

どのようなことがあったら

価格が上がったり下がったりするの?

このようなご質問もよく頂きます。

 

たとえば、新型コロナウイルスは景気に影響を与え、

不動産の価格(市場動向)にも影響を与えているのですが、

どのような理由で影響があるのでしょうか。

 

需要と供給の原則

 

不動産の価格はわかりにくくて難しいと思われますが、

不動産も需要と供給で価格が決まるのは同じです。

 

需要が高い(人気がある)不動産は高くなるし、

需要が低い(人気がない)不動産は安くなります。

とってもシンプルで簡単なのです。

 

このような需要と供給に全般的な影響を与えるのが、

下記の「一般的要因」です。

 

価格形成要因

 

不動産鑑定評価基準では、

不動産の価格を形成する要因」として

以下の3つを挙げています。

 

一般的要因」:全般的な景気動向、人口動態、政治経済の情勢など

「地域要因」 :駅距離などの利便性、人気の有無、地域の居住環境など

「個別的要因」:形状や面積、角地など、その土地の個別的な要因

 

不動産の価格が上がったり下がったりするのは、

これらの要因が変動するためです。

 

一般的要因は国や都市レベル、地域要因はご近所レベル、

個別的要因は対象地そのもの、というイメージでしょうか。

 

一般的要因

 

今回はその中で「一般的要因」を取り上げてみます。

一般的要因は、自然的要因、社会的要因、経済的要因、

行政的要因の4つに分かれます。

 

■自然的要因

 地理的位置関係地勢、気象の状態など。

 

 都心部から離れるほど地価は下がりますし、

 山が多い平野が多い、暑い寒いも価格に影響します。

 災害の危険なく、温暖なところに住みたいですよね。

 

■社会的要因

 人口の状態生活様式の変化など。

 

 人口減少=不動産需要減少につながるため、

 将来的に不動産価格は下がっていく方向になります。

 

また、生活様式等の状態では、

コロナで在宅勤務が浸透するなど変化が大きく、

 不動産を見る目が変わっていく過渡期にあると思います。

 

 通勤・通学の利便性を考えなくてもよくなったり、

都心部のオフィス需要が減少したり、

 これまでとは違った価値観で

不動産が選ばれていくことになります。

 

■経済的要因

 物価、税負担、会計制度、技術革新、交通体系など。

 

 物価が上がれば不動産価格も上がる可能性が高いですし、

 相続税や所得・法人税が変われば、不動産の動きも変わります。

 相続税増税で賃貸マンションがいっぱいできましたよね。

 

 ICTが進めば、地理的な距離を飛び越えられるため、

 都心への一極集中が減るかもしれません。

 

■行政的要因

 土地利用規制、建物規制、不動産の税制や施策など。

 

 規制が緩和されれば、京都でも高い建物が建てられますし、

 不動産の税制や中古住宅推進などの国の施策も

 不動産の価格に大きな影響が出てきます。

 

 バブル崩壊の原因となった総量規制なども

 不動産の価格に大きすぎる影響を与えましたよね。

 

このように一般的要因は不動産の価格に大きな影響を与えます。

地域や個別的な不動産の状況を見る前に、

まずは大きな流れをしっかり押さえておくことが大切です。


2020/07/17

不動産をたくさん持っている会社

 

相続・事業承継・MAなどの場面で、

会計士さんや税理士さんから

株価算定を前提としたご相談を頂くことが多いです。

 

もちろんどんな時にでも!というわけではなく、

不動産をたくさん持っていて

不動産の価格をどう見るかによって

その会社の価値が大きく変わる場合です。

 

中小企業の株価

 

中小企業はほとんど非上場です。

そのため、相続・事業承継・MAなどの場面では

会社の株価を算定する必要があります。

 

詳細は会計士さんや税理士さんがご専門ですが、

簿価純資産価額法時価純資産価額法などを用いる場合、

不動産の価格次第で株価が大きく変わります

 

相続税の通達評価と固定資産評価額

 

会計士さんや税理士さんが

株価算定の際にどのような不動産の価格を使うのか。

 

一般的に多いのは、固定資産評価額

評価通達を用いた相続税評価額ではないでしょうか。

直近に買ったものだと簿価(取得価格)なども。


ここでチェックポイント

 

上記でも全く問題はないのですが、

またまたよく考えてみてください。

 

土地の相続税路線価は時価の8割、

固定資産評価額は時価の7割ですし、

単純に割り戻したとしても、そもそも

評価額と時価が乖離していることもあります。

 

人気の高いエリアだと、

時価は評価額の何割(何倍)増しですし、

人気のないエリアだと、

時価は評価額の半分かもしれません。


さらに、工場敷地などであれば、
土壌汚染による影響も考慮されていません。

 

建物は、築浅だと評価額<時価、

20年以上だと評価額>時価。

アスベスト耐震性能はもちろん

大規模修繕など資本的支出も考慮されていません。

 

特に、会社が持っている不動産だと、

事業用の店舗、事務所ビル、倉庫や工場など

比較的規模の大きな建物が多いと思います。

 

以前のブログでも書きましたが、

20年以上、規模が大きい、

鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物は、

固定資産評価額と時価の乖離が非常に大きくなります。

 

鑑定評価を活用する

 

鑑定評価を活用すると、

不動産の価格が大きく変わる可能性があります。

 

そうすると、株価が変わり、

相続税額、贈与税額、M&A価格、のれん代が変わります。

 

相続・事業承継・M&A対策のための

先生方の算定シミュレーションなども

大きく変わってくるのではないでしょうか。

 

全ての不動産を概算すると大変ですので、

価格が大きい、重要度が高いなど

物件を絞って鑑定評価を検討されてもよいかもしれません。


2020/07/15

総額のみ記載の契約書

 

土地建物の売買をしたのに、

契約書に総額しか書いてない!

どうやって土地建物に分けるの??

このようなご質問もよくお受けします。

 

土地建物価格をどう按分するか

 

どのように土地建物価格を按分するかは、

消費税額将来の減価償却費に大きな影響があります。

 

土地は消費税非課税ですので、

土地価格が大きくなるほど消費税額は下がります。

 

一方、建物価格が大きくなるほど、

消費税額は逆に増えることになります。

 

さらに、建物価格が大きいと、

将来の減価償却費を多く取れる利点があります。

 

固定資産評価額での按分が一般的


固定資産評価額で按分して、

土地建物価格の内訳を出すことが一般的ではないでしょうか。

 

売買契約書:総額1億円。

土地の固定資産評価額:35,000,000

建物の固定資産評価額:15,000,000円とすると、


土地 1億円 ×(35/35+15)= 70,000,000

建物 1億円 ×(15/35+15)= 30,000,000円 という感じです。

 

固定資産評価額って?

 

上記でも全く問題はないのですが、

よく考えてみてください。

 

土地は時価の7割評価になっていますし、

評価額と時価は異なる場合もあります。

 

人気の高いエリアだと、時価は評価額の何割(何倍)増しにですし、

人気のないエリアだと、時価は評価額の半分かもしれません。

 

建物は築浅だと評価額<時価、築20年以上だと評価額>時価。

大規模修繕など資本的支出も考慮されていません。

 

土地評価額を時価に割り戻してみます

 

上記の例で、仮に土地だけを0.7で時価に割り戻してみます。

35,000,000円 ÷ 0.7 50,000,000円 となります。

 

評価額が土地:50,000,000円、建物15,000,000円となり、

総額1億円の土地建物の按分価格は、


土地 1億円 ×(50/50+15)≒ 76,900,000円(6,900,000

建物 1億円 ×(15/50+15)≒ 23,100,000円(6,900,000

となります。

 

たったこれだけでも大きな差が出てきました。

 

鑑定士が評価する

 

土地建物ともに鑑定士が評価をすると、

土地価格も建物価格も当初の固定資産評価額から

大きく変わる場合があります。

 

土地が評価額の倍になり、建物が半額になる。

土地が評価額より下がり、建物が評価額より高くなる。

 

どれくらい変わってくると想像されますか?

消費税で数百万円変わることも珍しくありません。

 

消費税額と将来の減価償却費が大きく変わるのですから、

先生方の将来シミュレーションなども

大きく変わってくるのではないでしょうか。

 

もちろん物件によって、あまり変わらない場合もあります。

ざっくり概算の“ちょい聞き”をして頂けましたら、

どれくらい価格が変わるのか概要をご報告させて頂きます。

 

ここに注意!

 

契約書に既に内訳価格が記載されている場合、

内訳価格がなくても、消費税額が記載されている場合は、

契約書記載の価格が優先されてしまいますので、

契約書の内容をご確認くださいますようお願いいたします。


2020/07/13

ちょい聞きサービスって何?

 

士業の先生であれば、

お気軽にちょっと聞きたいことを

無料でご質問頂けるサービスです。

 

不動産の評価について、

「ちょっと聞きたい」ってことありませんか?

 

本格的な調査に至るまでもない

「意見」程度のアドバイスでしたら、

オンラインでお気軽にご質問ください。

 

評価のおおよその見込みがわかる

「ざっくり概算」もちょい聞きサービスの一環です。

 

基本的に無料で鑑定士がお答えいたします。

(調査および意見書等の書面が必要な場合は、

必ず事前に別途お見積りいたします。)

 

オンライン完全対応

 

ちょい聞きサービスは「オンライン完全対応」です。

 

当事務所に来所頂くことなく、

電話・メール・LINEzoom

Facebookメッセンジャー等でご相談して頂けます。

 

これまでの鑑定評価業務でも、

電話やメール等のオンラインでのやりとりで

全体の8割以上の業務が完結しています。

 

ウィズコロナだからオンラインという

付け焼き刃のオンライン対応ではなく、

元々オンラインだったものを

改めてご案内しているだけです。

 

事務所スタッフもテレワーク

 

スタッフも3年以上前からテレワークです。

 

そのため、コロナで在宅勤務が広がりだしても、

当事務所の業務体制は何も変わっていません。

強いてあげれば、zoomが日常的になったことでしょうか。

 

勤務時間も本人に決めてもらって、

自由に働いてもらっていますので、

我こそは!という方は

ゼヒ当事務所の仲間になってください。

(密かなスタッフ募集)

 

「わかりやすい」鑑定を!

 

不動産鑑定士って?

鑑定評価って何をするの?

どうやって頼んだらいいの?

頼んだらけっこう高いんでしょ?

 

私自身も鑑定士になるまで

どんな仕事で何をやっているかわかりませんでした。

 

今もまだまだ鑑定はわかりにくいと思います。

そんな鑑定士を少しでも身近に

士業の先生方のお役に立てるように、

「わかりやすい」鑑定を目指していきます!


2020/07/11

金融機関から求められます

 

不動産を担保にして融資を受ける場合、

不動産を買うために価格の適正さを証明する場合、

親族間や関連会社間で売買する場合など、

金融機関から鑑定士の書面を求められる場合があります。

 

どんな書類を作成するか

 

もちろん正式な「鑑定評価書」が最善です。

 

しかし、金融機関から簡易な書面でよいと言われる場合、

不動産の価格がそれほど大きくない場合などは

一定の根拠を記載した簡易版の

意見書」や「調査報告書」を作成することもあります。

 

以前「簡易鑑定」と呼ばれていた書類と同じようなものですが、

現在は正式な手順を全て網羅した「鑑定評価書」以外で

「鑑定」という言葉は使えなくなりました。

 

金融機関が特に気にするポイント

 

鑑定評価書でも、意見書でも、

提出する先によって

重点チェックするポイントが異なります。

 

裁判所、税務署、監査法人、金融機関、売買の相手方など

それぞれに合わせた内容だと、より説得力が増します。

 

建物の残存耐用年数

 

融資年数建物の残存耐用年数はよく見られます。

融資期間中に建物がダメになったら困るので、

建物が大丈夫かどうか気にされることが多いです。

 

たとえば、融資期間20年なのに、

建物の残存耐用年数10年となっていると、

手続きがスムーズに進まなくなる場合があります。

 

物件の収益性

 

賃料はいくらか、利回りはどうなっているか、

そしてその根拠は何か。

 

物件からの収益が返済の原資になるのですから、

やはり金融機関は数字をよく見ているなと感じます。

 

楽観過ぎる想定で安易に数字を上積みすることなく、

しっかり市場の実態を踏まえて評価していく必要があります。

 

相続税路線価

 

路線価の2まではなんとか通るかもだけど、

路線価の3倍以上は厳しい…など

相続税路線価がどうなっているのかも非常に重要です。

 

最近はコロナで地価上昇も一服していますが、

これまでは京都や大阪など人気エリアは

路線価の2倍どころか35倍の取引も多くありました。

 

このような場合、実際の売買実例を踏まえて、

どこまでバブルではなく適正価格であるか

しっかり説明していくことが大切です。


2020/07/09

前回の業務フローその2(現地調査)に続き、

業務フロー最終回その3では行政調査についてお話します。

 

行政調査は最初の登竜門

 

行政調査は、担当者への聞き方ひとつ

「〇が×」にも、「×が〇」にも変わってしまいます。

 

新人の頃、最も苦労した調査で、

師匠に最も叱られた調査でもあります。

 

たとえば、その土地に建物を建築できるかどうかで

価格は倍半分くらいあっという間に変わってしまいます。

 

市街化調整区域は、“原則として

建物を建てることができません。

しかし、“例外的に”許可を受ければ建築可能です。

 

この場合、正面から「調区で建築できますか」と聞くと、

原則通り「建築できません」と回答があります。

 

しかし、「調区ですが、どんな場合に建築できますか?」と聞くと、

「このような場合に建築できます」と回答があります。

 

一般的に「原則」と「例外」だと、

例外の範囲のほうが狭いことが多いですが、

思いのほか例外の範囲のほうが広いこともあります。

 

周囲に戸建住宅しかないエリアで、

「戸建住宅だけは建築可能」となった場合、

市街化調整区域の建築規制の影響はほとんどなくなります。

 

こんな時に、建築不可だから半値だ!

という評価をすると大ヤケドをすることになってしまいます。

 

行政調査の内容

 

都市計画、用途地域、市町村道かどうか、認定幅員、

建築基準法の道路かどうか、建築確認・完了検査の有無、

開発許可の可否、上下水道ガスの引込の有無、

周知の埋蔵文化財包蔵地に含まれるかどうか、

土壌汚染対策法・水質汚濁防止法の指定の有無 等々

 

特に、評価の前提条件について異論がある場合は、

その事項について徹底的に調査を行います。

 

たとえば、相続税評価において

農地山林の転用見込みの有無についてであれば、

開発許可の具体的内容まで突っ込んで担当部署で話を聞きます。

 

市町村合併の悲哀

 

市町村合併により、複数の庁舎に担当課が分かれている場合、

たった1つの項目を調べるためだけに車で2030分かかるなど、

予想外の時間がかかる場合があります。

 

特に、上下水道担当課は別庁舎になっている場合が多く、

その次に都市計画や開発担当部署が別庁舎の可能性が高いです。

すぐ隣の建物だったらラッキーなのですが、

「○○支所(旧○○町役場)です」とあっさり言われることも。

 

また、特定行政庁といって、建築主事を置き、

その市町村内で全ての建築基準法関係の業務を

行っている場合はいいのですが、

受付だけは当該市町村で、判断は都道府県の場合も多いです。

 

この場合、都道府県の出先機関(管轄土木事務所)へ

建築基準法関係の調査に別途赴く必要があります。

 

さらに、規模が大きな建物の建築確認だと、

管轄土木事務所でもなく、「それは本庁!」と言われて

またまた別の場所に行く必要があったりもします。

 

いかに事前の準備が大切か、

時間が限られている出張ではより一層実感します。

 


鑑定評価書の内容


 

鑑定評価書にはさらっと1行で書いていることも、

実際は様々な調査に基づいて記載しています。

 

鑑定士はしっかりいろんなことを調べて、

ちゃんと評価しているのだなと思って頂けたら幸いです。


2020/07/07

前回の業務フローその1(事前準備)に続き、

その2では現地調査についてお話します。


鑑定士の仕事の醍醐味

 

いろんな場所に行けることが

鑑定士の仕事の魅力の1つだと思います。

 

私は、近畿圏は交通費無料としているほか、

出張も大好きで、「出張に行けることが報酬です!」と

いつも言っています。

 

今はコロナの影響で出張に行きにくくなっていますが、

またいろんなところに行ってみたいです。

特に、ご飯がおいしいところが一番うれしいです()

 

現地調査 〜やっぱり現場は大切!〜

 

評価する不動産を実際に見に行きます。


地図や航空写真などではわかりにくい

現地の雰囲気を体感できるかは大きな違いです。

 

対象となる物件の周りをウロウロするので、

近隣の方に不審がられて声を掛けられてしまったり、

犬に吠えられたりするのも

鑑定士の宿命なのかもしれません。

 

スーツより作業着のほうがうまく溶け込めて、

車の色もブラックよりホワイトのほうが悪目立ちしません。

 

土 地

 

メジャー、コロコロ、ピッキョリ、歩測など

様々なツールを使って調査を行います。

もちろんカメラでしっかり写真も撮影します。

 

調べる内容としては、

前面道路の幅員は何mか。

道路との方位や角地かどうかなどの接道関係

間口2m以上あるかどうか。

境界はどうなっているか。

形状・高低差・がけ地等があるかどうか。

地上の建物や構築物の配置状況 等々

 

また、地面(地表面)だけを見るのではなく、

上空を見上げて高圧線が通ってないかどうか、

給油タンクなど地下がどうなっているか。

土壌汚染の可能性についてもチェックを行います。

 

特に、道路との関係は重要で、

一定の幅員がないとそもそも開発できなかったり、

間口が2m以上なければ接道義務を満たさなかったり、

不動産の価格に大きな影響を与えます。

 

建 物

 

登記記録との異同について確認します。

 

登記建物が現存するか。

未登記増築部分未登記建物がないか。

建物用途、維持管理の状態、雨漏り、クラック、

大規模修繕や耐震補強の有無などを調査します。

 

評価の大切な前提となります

 

現況確認は、何色が好きかという価値判断ではなく、

今日の天気は晴れだったか雨だったかという事実の確認と同様です。

 

事実確認の間違いは、評価の間違いに直結するので、

しっかり入念にチェックする必要があります。

 

次回はその3(行政調査)

 

その3は行政調査です。

都道府県庁・市役所・町役場・土木事務所など。

新人の頃、最も苦労したのが行政調査です。


2020/07/05

鑑定評価の業務フロー

 

鑑定の仕事ってどんなことやってるの?

依頼者に言われた価格を適当にエイヤ!って出しているだけ?

それとも、何か緻密な計算やってるの?

 

よくお伺いするご質問ですので、

実際の流れについてお伝えしたいと思います。

 

法務局調査

 

ご依頼を頂いて、最初にすることは

登記情報提供サービス」で

登記記録、公図、地積測量図、建物図面を取得することです。

 

ご依頼者から資料として頂いたとしても、

念のためこちらでも最新の情報を確認します。

 

共同担保目録付きで取得し、

所有権のほか賃借権、地上権、地役権等を確認します。

 

分筆・合筆されて面積が変わっていたり、

お伺いしていた以外の建物が土地上にあったり、

改めて確認すると様々な発見があります。

 

基本的な事項だけに、意見の相違とは言えず、

完全なミス=ごめんなさいしか言えなくなるので

最も注意深く確認したい事項です。

 

ネット謄本ができる前は、

現地調査の際に管轄法務局まで行く必要があり、

法務局の場所から調べたり、大変だった記憶があります。

そう思うと今は全国どこでも取れるので非常にありがたいです。

 

物件概要の下調べ

 

広域地図、住宅地図、相続税路線価、全国地価マップ、

公示・基準地価マップ、地番図、用途地域図、

土砂災害等のハザードマップ、航空写真、

ストリートビュー等で事前調査を行います。

 

その上で、ざっくりと第一弾の概算価格を試算します。

まずは価格が100万円なのか、1,000万円なのか、1億円なのか、

目安だけでも知りたいというご要望にお応えしています。

 

さらに、周辺の売り希望価格やテナント情報についても、

ネットに公開されている情報をまとめます。

 

そして、これらが全てセットになったPDF資料一式

無料の“ちょい聞きサービス”でご提供しています。

 

「こんなスゴイ資料をすぐに頂けるなんて!」

と言って頂けることが、私にとっての励みです。

 

この下調べの中で、現地調査や行政調査での

チェックポイントを抽出することが大切です。

 

市街化調整区域だと建築規制はどうなっているか。

前面道路の建築基準法上の取り扱いはどうなっているのか。

法面やがけ地、擁壁や高低差はどうなっているのか。

建築確認や耐震性能はどうなっているのか。等々

 

続きはその2で

 

ここまでの準備をして、

ようやく現地調査と行政調査に赴きます。

 

どんなことでも同じですが、

事前の段取りや準備で全てが変わってきます。

段取り八分」とはまさにその通りだなと感じます。


2020/07/03

令和2年分路線価が発表されました!

 

71日に令和2年分路線価が発表されました。

全国平均で5年連続の上昇となります。

 

しかし、インバウンド需要は激減し、

店舗・オフィス需要は弱含み

現在は先行き不透明感が強くなっています。

 

先日発表された地価LOOKレポートでも、

23月以降、取引が停滞したり、需要が弱含んだり、

上昇傾向から一気に風向きが変わっています

 

コロナの影響は考慮されていません

 

71日に発表されたものの、

相続税路線価は11日時点の価格ですので、

新型コロナウイルスによる影響はほとんど入っていません。

 

近畿の動向(令和2年路線価・前年比変動率)

 

■滋賀県

 JR草津駅前 310,000/㎡ +8.8

 

■京都市

 四条通 6,730,000/㎡ +18.1

 

■大阪市

 キ タ 21,600,000/㎡ +35.0

 ミナミ 21,520,000/㎡ +44.6

 

■神戸市

 三宮センター街 5,760,000/㎡ +17.6

 

■奈 良

 奈良市・大宮通り 800,000/㎡ +21.2

 

■和歌山

 JR和歌山駅前 360,000/㎡ ±0.0

 

今後の地価動向

 

公示地価と相続税路線価は11日時点

地価LOOKレポート最新版も41日までの動向です。

 

緊急事態宣言が広がった4月中旬以降の影響は

公的価格としてはまだ発表されていません。

 

地価LOOKレポート(4/17/1が発表されるか、

今年の基準地価(71日時点)9月下旬に

発表されるのを待つ必要があります。

 

とはいえ、上昇が続いていた地域は上昇が一服し、

これまでも下落が続いていた地域は

さらに下落が強まっていく可能性が高いと思われます。

 

令和2年分路線価を使うご相続に要注意

 

令和2年分路線価を使うご相続の場合、

時価を超えた相続税評価額とならないようにご注意ください

 

コロナの影響による地価下落だけではなく、

賃料減額要請やテナントの退去など

収益性が大きく悪化している可能性もあり、

時価の把握には個別具体的な検討が欠かせません。

 

路線価と公示地価

 

相続税路線価は、公示地価の変動率

リンクする度合いが強いです。

(参考:固定資産評価額は、基準地価とリンクが強い。)

<<  <  11  12  13  >  >>

士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

  • 不動産評価によるメリットがどれくらいあるか知りたい
  • クライアントにどのような戦略的な提案ができるか知りたい
  • 相手方が出してきた不動産評価の内容や意図が知りたい

などなどお気軽に「ちょい聞き」してください!

TEL:077-596-5753(電話受付:平日 9:00〜17:00)

※当事務所は士業専門の不動産鑑定サービスを提供しておりますので、一般の方からのお問合せはご遠慮いただいております。ご了承ください。

※一般の方はこちら ≫公益社団法人滋賀県不動産鑑定士協会

お問い合わせ