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  1. 士業に役立つ不動産評価まめ知識
 

士業に役立つ不動産評価まめ知識

2020/10/09

大阪市における固定資産税の

過大徴収のニュースについて。

 

容積率が異なる地域にまたがる土地について、

固定資産税が過大徴収されていたというものです。

 

数百万円還付された方もいるとのことですが、

地方税法では5という時効があるため、

さらに国家賠償法による

20分の還付を求めているとのことです。

 

不動産鑑定士も固定資産評価業務に携わっているので、

ブログに取り上げてみました。

 

-------------------------------

前面道路

-------------------------------

 ↑       | 

| 容積率 400%  | 道路から25mまで

| ↓       | ↓

--------------------------------

| ↑       | ↓

| 容積率 200%  | 道路から25m超

| ↓       | ←この部分!!

--------------------------------

 

固定資産評価実施要領

 

固定資産評価は、

総務省が定めた固定資産評価基準に基づくほか、

各市町村で独自の評価要領を持っています。

 

大阪市では「固定資産評価実施要領」を持っていて、

その中に「所要の補正」として

「容積率の異なる地域にわたる土地の評価」

定められています。

 

容積率が400%と200%に

またがっているような土地を評価する場合に

適用されることになります。

 

大阪市の補正率は66~97%(▲3%〜▲33%)

最小で▲3%、最大で▲33%もの評価減となります。

 

固定資産評価額は、道路側の高い容積率に基づいて

評価されていることがほとんどですので、

背後の低い容積率にもまたがっている場合は、

評価の前提条件と対象土地の個別性が異なるため、

何らかの考慮(一定の減価)が必要となります。

 

容積率の異なる地域にわたる土地

 

容積率が異なって指定されている土地とは、

広い道路沿いの商業地等が該当する可能性が高いです。

 

仮に、容積率が400%と200%異なっていると、

大きな方の容積率400%が適用されるのではなく、

面積に応じて加重平均された容積率となります。

 

仮に土地の半分ずつ400%と200%だったら、

その土地の容積率は300%になるというイメージです。

 

商業地は高層建物など高度利用されることが多く、

実際の取引でも容積率如何で価格が大きく異なります。

 

他の市町村ではどうなのか

 

今回の大阪市はたまたま所要の補正として

減額できる項目を持っていましたが、

必ずしも他の市町村が

同じ補正項目を持っているとは限りません。

 

実際の業務においても、

容積率がまたがっていることは認めつつも、

補正する項目が無いため減額不可と

回答されたことがあります。

 

お住まいの市町村ではどうなのか。

一度確認してみるのもよいかもしれません。

 

< 参 考 >

「オ 容積率の異なる地域にわたる土地の評価

容積率の異なる地域にわたる土地については、

正面路線に接する部分の容積率に対する

他の部分の容積率の割合及び

当該土地の面積に対する他の部分の面積の割合に応じて、

次に定める補正率表により求めた

補正率によって補正することができる。

 

ただし、正面路線に接する部分の容積率が

他の部分の容積率よりも低い場合については、

補正を適用しない。」


2020/10/07

レントロールを送って頂きたいです」

ご相談を頂いた時に、

収益物件であれば必ずお願いすることです。

 

レントロールの内容によっては、

評価が大きく変わってくることになります。

 

特に、コロナ禍での賃料減額要請が多い中、

収益の変動は価格にも大きく影響を与えます。

 

賃料が高い、今後増額見込みであれば、価格は高く。

賃料が安い、今後減額見込みであれば、価格は安く。

 

単なる土地の坪単価と建物の築年数だけではない、

“見方を変えた”収益性から評価をすることができます。

 

そのため、固定資産評価額や相続税評価額から

大きく価格が変わる可能性があります。

 

【収益物件】

 

収益物件とは、テナントビル、店舗、事務所、

賃貸マンション、アパート等、

収益を目的として建てられている物件のことです。

 

収益物件は、いくら収益が上がるか

時価(市場価値)を決める最大のポイントです。

 

不動産広告でも、表面利回り〇%、満室想定〇%など

利回りが書かれているものをご覧になられたことも

多いのではないでしょうか。

 

【レントロール】

 

レントロールとは、

不動産の賃貸借条件を一覧表にしたものです。

 

各階や部屋ごとに月額賃料、共益費、

保証金・礼金、その他賃貸借条件が書かれています。

 

もちろんレントロール自体が無くても大丈夫です。

概算だけであれば、ざっくり月の収入額をお伺いしたり、

賃貸借契約書、決算書、青色申告書などにも

月額賃料などの数値は記載されています。

 

【コロナ禍による影響】

 

テナントの撤退や賃料の減額要請は、

収益性の低下=物件価格の低下に直結します。

 

さらに、現在は先行き不透明感が強いため、

会社の事業計画も立ちにくいのが現状だと思います。

 

将来の収益予測も同様で、

抜けたテナント部分に新規入居は見込めるのか。

次の賃料は今と同じか、今より下がるのか。

非常に判断が難しい状況にあります。

 

今後の見通しなども含めて、

しっかり内容を協議した上で

説得力ある適正な評価をしていきたいです。


2020/10/05

鑑定評価には、土地評価の際に

周辺の売買実例価格(取引事例)から

価格を求める方法があります。

 

取引事例比較法といって、

市場性、マーケットアプローチから

価格を求める手法です。

 

【実務上の問題点】

 

この中でよく質問を受けるのが、

どのような売買実例価格(取引事例)を

選んでいるのか?ということです。

 

極端な話、高い事例から評価したら高くなり、

安い事例から評価したら安くなります。

評価主体の恣意性が疑われるケースもあったりします。

 

裁判上の評価等でも、高く評価したい方は

高い事例に基づいてこの土地は高いと主張し、

安く評価したい方は安い事例に基づいて安いと主張し、

平行線をたどってしまうケースも多いです。

 

実際の売買ですから、路線価=取引価格と

1点で決まるものではなく、

市場における中心価格帯という“幅”の中に

入っているかが大切だと考えます。

 

とはいえ、この幅の上下はそれなりにあって、

“ストライク高め”と“ストライク低め”では、

どちらも正しいけど、価格はかなり違う

というようなことも起こったりします。

 

【事例選択4要件】

 

鑑定評価のルールである不動産鑑定評価基準では、

何でも自由に事例を採用してもよいわけではなく、

ちゃんとルールに則って選択・採用しましょうと

4つの要件が定まっています。

 

■場所的同一性

同一需給圏内の類似地域等に存する不動産であること。

同一需給圏内の代替競争不動産であること。

 

■事情の正常性(事情の正常補正可能性)

取引等の事情が正常なものと認められるものであること。

正常なものに補正することができるものであること。

 

■時点修正可能性

時点修正をすることが可能なものであること。

 

■地域要因及び個別的要因の比較可能性

地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。

 

上記のほか、投機的取引はそもそもダメですし、

その他適正を欠くと認められる事例も選択・採用できません。

 

事例が豊富にある住宅団地などは

良い事例を多数収集して選択・採用できるのですが、

大規模工場や農家集落地域など、

取引事例がそもそも少ないところは

どのような事例を採用するか鑑定士の腕の見せ所です。

 

最終結果である鑑定評価額だけを見るのではなく、

どんな事例に基づいて評価をしているのかなと

評価の過程も見て頂けるとうれしいです。


2020/10/03

令和2年基準地価の結果について

近畿圏の状況を見ていきたいと思います。

各府県の代表的な地点をピックアップします。

 

【滋賀県】


■大津市・JR大津駅前(商業地)

R1.7.1 349,000/

R2.1.1 354,000/㎡(+1.4%)

R2.7.1 349,000/㎡(▲1.4%)

 

一年間を通した変動率は±0%ですが、

前半はプラス、後半はマイナスとなっています。

平成25年から続いてきた地価上昇が半期で下落に転じました。

 

【京都府】


■京都市東山区・祇園(商業地)

R1.7.1 3,080,000/

R2.1.1 3,500,000/㎡(+13.6%)

R2.7.1 3,220,000/㎡(▲8.0%)

 

■京都市中京区・地下鉄丸太町駅付近(商業地)

R1.7.1 850,000/

R2.1.1 880,000/㎡(+3.5%)

R2.7.1 865,000/㎡(▲1.7%)

 

祇園インバウンド需要も大きかったので、

前半の地価上昇、そして後半の地価下落と

大きな価格変動がありました。

上記は半年分の変動率ですので、

単純に年間ベースだと▲16.0%になります。

 

一方、御所南エリアでは、

需要が底堅く、地価は半期で微減となっています。

 

【大阪府】


■大阪市北区・グランフロント(商業地)

R1.7.1 21,700,000/

R2.1.1 25,000,000/㎡(+15.2%)

R2.7.1 23,600,000/㎡(▲5.6%)

 

■大阪市中央区・ミナミ戎橋付近(商業地)

R1.7.1 24,400,000/

R2.1.1 28,700,000/㎡(+17.6%)

R2.7.1 23,300,000/㎡(▲18.8%)

 

大阪の最高価格地は、キタを抜かして

最近はずっとミナミになっていましたが、

今回キタが最高価格地に返り咲きました。

 

インバウンド需要の消失が直撃したミナミ

半年間で▲18.8%、単純に年間ベースだと▲37.6%。

非常に大きな下落となりました。

 

一方、オフィス需要なども大きいキタは、

ミナミに比べて半期の下落率は小さくなりました。

 

ただ、店舗やオフィスの賃料減額や移転撤退などは

これからより顕在化する可能性もあり、

引き続き予断を許さない状況だと考えます。

 

【兵庫県】


■神戸市中央区・三ノ宮駅前(商業地)

R1.7.1 6,550,000/

R2.1.1 7,200,000/㎡(+9.9%)

R2.7.1 6,700,000/㎡(▲6.9%)

 

地価LOOK第二四半期でも

全国トップクラスの下落(四半期で▲36%下落)と

なっていましたが、基準地価でもその影響が出ています。

 

店舗やオフィスの賃料減額や移転撤退など

影響しているものと考えられます。

 

【奈良県】


■奈良市・近鉄奈良駅前(商業地)

R1.7.1 712,000/

R2.1.1 830,000/㎡(+16.6%)

R2.7.1 745,000/㎡(▲10.2%)

 

近鉄奈良駅前は、一年間通しでは

地価上昇となっていますが、

前半・後半に分けて見ていくと

大きな地価上昇と地価下落となっています。

 

【和歌山県】


■和歌山市・JR和歌山駅前(商業地)

R1.7.1 441,000/

R2.1.1 442,000/㎡(+0.2%)

R2.7.1 442,000/㎡(±0.0%)

 

JR和歌山駅前は、前半に地価が微増し、

後半は横ばいとなっています。

コロナの影響が直撃した後半で

商業地が横ばいというのは非常に少ないです。


2020/10/01

令和2年基準地価が発表されました。


新型コロナウイルスの影響が考慮された

最初の公的土地評価です。

 

【変動率の期間】

 

「令和元年71日〜令和271日」

1年間の価格変動を踏まえた結果です。

 

コロナの影響が無い前半は地価上昇傾向、

コロナの影響が出た後半は地価下落傾向と

前半・後半に分けて見ていくことが良いと思います。

 

【基準地価の概要】


■前 半■

「交通利便性や住環境の優れた住宅地、

オフィス需要の強い商業地、

訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が

見込まれる地域を中心に

地価の回復傾向が継続していたと見られる。」

 

前半は非常に地価上昇傾向が強く、

低金利や大企業を中心とする景況感、

インバウンドによるプラスの影響が

とても大きかったということです。

 

■後 半■

「新型コロナウイルス感染症の影響による

先行き不透明感から需要が弱まり、

総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい

又は下落への転化となったと見られる。

なお、前半から下落が継続していた地域においては、

下落幅の拡大も見られる。」

 

「地価動向の変化の程度は様々であり、

新型コロナウイルス感染症が地価に与える影響の程度

土地への需要の特徴や地域の経済構造などにより異なることや、

再開発など中長期的な上昇要因の有無が地域で異なることによる」

 

<インバウンド需要が強かった地域>


コロナ禍によりインバウンド需要が消失したため、

インバウンドの影響により地価が上昇していた地域は

今回でもトップクラスの下落となっています。

 

新聞報道でも、大阪ミナミ

1月比で▲18.8%下落となっているなど

影響は非常に大きいです。

 

<インバウンド需要があまり無かった地域>


インバウンドの影響があまり無い地域でも、

自粛やリモートワーク、先行き不透明感など

日本人や企業の行動変化よる影響が出ています。

 

ただ、インバウンドほど過熱感が無かったため、

地価上昇もほどほどでしたし、地価下落もほどほどです。

 

<元々地価が下落していた地域>


先行き不透明感などから、

弱い需要がさらに弱くなり、

地価下落傾向が強まったと考えられます。

 

特に、古くからの農家集落地域は、

公的価格以上に実勢価格が落ち込んでおり、

売りたくても売れない物件が

さらに増える可能性があります。

 

地域毎の詳細については、次のブログで。

 

【固定資産税への影響】

 

令和3年度3年に一度の

固定資産税の評価替え年度です。

 

今回の基準地価の結果だけではなく、

直近3年分の地価変動が合計されて

評価額に反映されます。

 

仮に今回の基準地価の結果で

地価下落となっている地域であっても、

直近はかなり地価が上昇していました。

 

そのため、15%+20%−10%=+25%というように

合計すると地価上昇=評価額アップとなり、

税額が上昇するケースも多いかもしれません


2020/09/29

「土壌汚染ってどうやって調べるの?」

 

土壌汚染は多額の費用が見込まれることが多く、

“一撃必殺”で価格が変わってしまう大きな要因です。

 

そのため、土壌汚染があるのか無いのか、

費用としてはどれくらい見込めばよいのか、

ざっくり調べたいとご相談を頂くことが多いです。

 

詳細は、法で定められた指定調査機関に依頼して

しっかりと調べてもらうことになるのですが、

自分でも調べられることはけっこうあります。

 

【所有者負担】

 

汚染土壌は、基本的に

所有者の負担で浄化する必要があります。

 

用途によっては浄化まで要求されなかったり、

最終的には汚染の原因者に求償できるなど

細かい規定はありますが、

現実問題として所有者が浄化費用を

負担することがほとんどだと思います。

 

【行政調査】

 

都道府県・特例市・中核市の環境担当課において、

区域指定の有無及びその内容、有害物質使用施設一覧

水質汚濁防止法の特定施設一覧等を確認できます。

 

ただ、台帳に記載されているものは

実際に土壌汚染がある土地の一部にすぎません。

 

そのため、行政調査を行い、

該当が無かったからといって土壌汚染無しと

判断することは早計です。

 

【不動産登記簿】

 

過去に工場として利用されていた土地は、

土壌汚染の可能性があります。

 

閉鎖登記簿も含めて、土地・建物の所有者、

建物の種類や用途などを確認します。

 

例えば、“○○化学工業株式会社”の“工場”であれば、

土壌汚染の可能性が高いかもしれないと推測できます。

 

【過去の住宅地図】

 

図書館に行くと、その地域の

古い住宅地図を閲覧することができます。

 

細かい範囲や実際の利用状況までは確認できませんが、

上記のような化学工場の記載があれば、

土壌汚染の可能性が高いかもしれません。

 

【航空写真】

 

ネットで「地図・空中写真閲覧サービス」を検索すると、

国土地理院がこれまで整備した空中写真を

検索して閲覧することができます。

 

拡大すると粗い画質になりますが、

住宅地図よりも実際の土地利用状況を

調べることができます。

 

このような事前調査を踏まえて

土壌汚染の可能性の高低を判断し、

必要に応じて指定調査機関などに

ご依頼されることがよいのではないでしょうか。


2020/09/27

「この不動産、交換できるかな?」

 

会計士さん・税理士さんから

ご相談が多い内容のひとつが交換の特例です。

 

通常の譲渡(売買や贈与)では

不動産の譲渡に伴って多額の税金が発生します。

 

しかし、交換の特例に合致すれば、

この交換にかかる税金は課税されません

かなり大きなことですよね。

 

【適用要件】

 

同種の固定資産であることや

1年以上の所有期間、同一用途など

適用要件が具体的に定められています。

 

その中でも、

「交換により譲渡する資産の時価と

取得する資産の時価との差額が、

これらの時価のうちいずれか

高い方の価額の20%以内であること。」

について、ご相談を受けることになります。

 

【鑑定評価の活用】

 

不動産の価格は、112のように

1点で決まるものではなく、

適正な価格帯という“幅”があります。

 

また、収益物件などの場合、

通達評価や固定資産評価額だけでは

その不動産の適正な時価となっていないことも。

 

鑑定評価を活用して、

うまく交換の特例を適用できれば、

先生方のシミュレーションの選択肢

広がっていくのではないでしょうか。

 

いきなり鑑定評価をご依頼頂くのではなく、

それぞれの不動産の価格がどの程度なのか、

交換の特例を使える可能性はどれくらいあるのかを

事前にご相談頂くことをご提案いたします。

 

【不動産の価格】

 

「当事者間で合意された資産の価額が、

交換に至った事情等に照らし

合理的に算定されていると認められるときは、

その合意された資産の価額によることができる。」

とされています。

 

もちろん、明らかに贈与等の意思をもって

著しく価格の異なる資産を交換したような場合は、

合理的に算定された価格とはいえません。

 

交換の特例に合うよう無理に出された評価は、

税務リスクが非常に高くなるので注意が必要ですね。


2020/09/25

相手に先に依頼されたら困るから、

こちらが先に依頼予約をしておきたい。」

 

弁護士さんからこのような

ご連絡を頂くことがあります。

 

もう嬉しくて嬉しくて、

感謝の言葉もありません。

 

「残っていたから、仕方なくお前に頼む」

と言われるより、

どれだけありがたいことでしょうか()

 

そんな浮ついたことを言いたいのではなく、

どんなことでもけっこうですので、

気になることは事前にゼヒ“ちょい聞き”ください。

 

【事前調査の大切さ】

 

その不動産が、ざっくりいくらなのか。

100万円、1,000万円、1億円etc.

売りやすいのか、売りにくいのか。

市場の動向はどのようになっているのか。

 

事前に大きな流れを掴んでおくと、

今後の進め方や考え方に大きな差が出ます。

 

こちらの強みと弱みを把握することで、

常に優位に交渉を進めることができます。

 

【綿密な連携】

 

弁護士さん、会計士さん、税理士さん、

ご依頼目的は異なりますが、

それぞれの専門分野と鑑定評価のコラボです。

 

どうしてもそれぞれの分野の接合部

ボタンの掛け違いや考え方の違いが出てきます。

 

○○のつもりで評価を頼んだのに、

■■の評価を出されて使えなかった。

 

こちらの証拠として頼んだのに、

逆に相手に有利な内容(証拠)が書かれていた。

 

このような事例は枚挙にいとまがありません。

 

事前にざっくり概算だけでもお問い合わせ頂き、

今後の方針について大筋を決めておく。

 

その上で、綿密に連携を取りながら

ご依頼目的に沿った鑑定を行う。

 

そうすることによって、

専門家同士の本来の連携効果

発揮されるのではないでしょうか。


2020/09/23

倍率地域の相続税評価額は、

固定資産評価額に倍率を乗じることで

相続税評価額が求められます。

 

しかし、基となる固定資産評価額は

相続税評価と同一の目線で

価格が決まっているのでしょうか。

 

実際にご相談があった事例を

ご紹介させて頂きます。

 

【固定資産評価】

 

固定資産の評価は、地方税法の規定により

総務大臣が定める「固定資産評価基準」

よらなければならないとされています。

 

この中で「画地の認定」があります。


■原 則

一画地は、土地課税台帳又は

土地補充課税台帳に登録された

一筆の宅地によることを原則とします。

 

■例 外

一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について、

その形状、利用状況等からみて、

これを一体をなしていると認められる部分に区分し、

又はこれらを合わせる必要がある場合においては、

その一体をなしている部分の宅地ごと

一画地とすることとされています。

 

原則は、1筆毎に1画地として評価するが、

利用状況等によっては、

1筆を分けて評価することがあったり、

複数筆をまとめて評価することもあるということです。

 

【問題となるケース】


問題となるケースは色々ありますが、

下記の場合を例として挙げてみます。

 

□■=固定資産評価の一画地

■ =相続税評価の対象地

__________________________________

 

幹線道路 100,000/

__________________________________

 □□□□□□□□□□□□□□

 □□□□□□□□□□□□□□

 □□□□□□□□□□□□□□

 □□□□□□□■■■■■■■

 □□□□□□□■■■■■■■

-------------------------------------------

背後道路 20,000/

-------------------------------------------

 

固定資産評価としては、

幹線道路沿いの店舗として

□■全てを幹線道路沿いの

高い100,000/㎡で評価しています。

 

しかし、相続税の評価対象地は■のみ。

■だけでは背後道路に面する

20,000/㎡の土地になります。

 

このような場合に、幹線道路沿いの

100,000/㎡で評価された固定資産評価額に

倍率を乗じてしまうとどうなるでしょうか。

 

本来の時価を超えて、

割高になってしまうかもしれません。

 

このように固定資産評価額についても、

どのような前提で評価されているか

しっかり確認していくことが大切です。


2020/09/21

学問の秋、読書の秋、

連休前半はM&Aやデューデリジェンス、

企業価値評価の勉強を頑張ってきました。

 

【企業価値評価と鑑定評価】

 

企業価値評価と鑑定評価って

めちゃくちゃ似ているなと改めて感じました。

 

もちろん評価対象が会社と不動産と異なりますし、

細かい項目は違うことも多いのですが、

考え方や価格へのアプローチが本当に似ています。

 

不動産と言っても、戸建住宅ではなく、収益物件です。

そこそこ立派なテナントビルの評価と似ています。

 

3つの評価アプローチと特徴】

 

■コストアプローチ


 企業評価:時価純資産価額法、修正簿価純資産法

 鑑定評価:積算法

 

 客観性は高いが、将来の収益獲得能力の反映に弱い

 

■マーケットアプローチ


 企業評価:類似会社比準方式(マルチプル法)

 鑑定評価:取引事例比較法

 

 客観性や市場での取引環境の反映に強いが、

 評価対象の固有の性質の反映に弱い

 

 どの会社、どの取引事例から評価するかによって

 結果が大きく変わってしまう。

 

 良い会社、高い取引事例から評価すると高くなるし、

 悪い会社、安い取引事例から評価すると低くなる。

 

■インカムアプローチ


 企業評価:DCF法、収益還元法 等

 鑑定評価:DCF法、収益還元法 等

 

 将来の収益獲得能力の反映や固有の性質の反映に強いが、

 客観性は弱い

 

 特に、将来の収益性を想定して評価するDCF法は、

 楽観的に考えるか、悲観的に考えるかによって

 結果が大きく変わってきます。

 

【点ではなく幅】

 

企業価値評価も鑑定評価も、

唯一絶対的な価格というものは存在せず、

一定の適正な価格の幅として認識されます。

 

その上で最終的には

1点での価格を出すのが専門家ですが、

利回り割引率を少し変えるだけで

結果が大きく変わってくるのも

よく似ているなと思いました。

 

【仲介会社方式】


時価純資産に35年の正常営業利益を加算して

企業価値評価を出す方法です。

 

理論的・専門的には色々問題があるが、

経営者の方に非常にわかりやすいとのことでした。

 

鑑定評価には同じような手法が無いので、

この仲介会社方式のような評価方法って

鑑定評価でも応用できたら面白いかなと思いました。

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