士業専用ダイヤル
大阪市における固定資産税の
過大徴収のニュースについて。
容積率が異なる地域にまたがる土地について、
固定資産税が過大徴収されていたというものです。
数百万円還付された方もいるとのことですが、
地方税法では5年という時効があるため、
さらに国家賠償法による
20年分の還付を求めているとのことです。
不動産鑑定士も固定資産評価業務に携わっているので、
ブログに取り上げてみました。
-------------------------------
前面道路
-------------------------------
| ↑ |
| 容積率 400% | 道路から25mまで
| ↓ | ↓
--------------------------------
| ↑ | ↓
| 容積率 200% | 道路から25m超
| ↓ | ←この部分!!
--------------------------------
固定資産評価実施要領
固定資産評価は、
総務省が定めた固定資産評価基準に基づくほか、
各市町村で独自の評価要領を持っています。
大阪市では「固定資産評価実施要領」を持っていて、
その中に「所要の補正」として
「容積率の異なる地域にわたる土地の評価」が
定められています。
容積率が400%と200%に
またがっているような土地を評価する場合に
適用されることになります。
大阪市の補正率は66%~97%(▲3%〜▲33%)。
最小で▲3%、最大で▲33%もの評価減となります。
固定資産評価額は、道路側の高い容積率に基づいて
評価されていることがほとんどですので、
背後の低い容積率にもまたがっている場合は、
評価の前提条件と対象土地の個別性が異なるため、
何らかの考慮(一定の減価)が必要となります。
容積率の異なる地域にわたる土地
容積率が異なって指定されている土地とは、
広い道路沿いの商業地等が該当する可能性が高いです。
仮に、容積率が400%と200%異なっていると、
大きな方の容積率400%が適用されるのではなく、
面積に応じて加重平均された容積率となります。
仮に土地の半分ずつ400%と200%だったら、
その土地の容積率は300%になるというイメージです。
商業地は高層建物など高度利用されることが多く、
実際の取引でも容積率如何で価格が大きく異なります。
他の市町村ではどうなのか
今回の大阪市はたまたま所要の補正として
減額できる項目を持っていましたが、
必ずしも他の市町村が
同じ補正項目を持っているとは限りません。
実際の業務においても、
容積率がまたがっていることは認めつつも、
補正する項目が無いため減額不可と
回答されたことがあります。
お住まいの市町村ではどうなのか。
一度確認してみるのもよいかもしれません。
< 参 考 >
容積率の異なる地域にわたる土地については、
正面路線に接する部分の容積率に対する
他の部分の容積率の割合及び
当該土地の面積に対する他の部分の面積の割合に応じて、
次に定める補正率表により求めた
補正率によって補正することができる。
ただし、正面路線に接する部分の容積率が
他の部分の容積率よりも低い場合については、
補正を適用しない。」
「レントロールを送って頂きたいです」
ご相談を頂いた時に、
収益物件であれば必ずお願いすることです。
レントロールの内容によっては、
評価が大きく変わってくることになります。
特に、コロナ禍での賃料減額要請が多い中、
収益の変動は価格にも大きく影響を与えます。
賃料が高い、今後増額見込みであれば、価格は高く。
賃料が安い、今後減額見込みであれば、価格は安く。
単なる土地の坪単価と建物の築年数だけではない、
“見方を変えた”収益性から評価をすることができます。
そのため、固定資産評価額や相続税評価額から
大きく価格が変わる可能性があります。
【収益物件】
収益物件とは、テナントビル、店舗、事務所、
賃貸マンション、アパート等、
収益を目的として建てられている物件のことです。
収益物件は、いくら収益が上がるかが
時価(市場価値)を決める最大のポイントです。
不動産広告でも、表面利回り〇%、満室想定〇%など
利回りが書かれているものをご覧になられたことも
多いのではないでしょうか。
【レントロール】
レントロールとは、
不動産の賃貸借条件を一覧表にしたものです。
各階や部屋ごとに月額賃料、共益費、
保証金・礼金、その他賃貸借条件が書かれています。
もちろんレントロール自体が無くても大丈夫です。
概算だけであれば、ざっくり月の収入額をお伺いしたり、
賃貸借契約書、決算書、青色申告書などにも
月額賃料などの数値は記載されています。
【コロナ禍による影響】
テナントの撤退や賃料の減額要請は、
収益性の低下=物件価格の低下に直結します。
さらに、現在は先行き不透明感が強いため、
会社の事業計画も立ちにくいのが現状だと思います。
将来の収益予測も同様で、
抜けたテナント部分に新規入居は見込めるのか。
次の賃料は今と同じか、今より下がるのか。
非常に判断が難しい状況にあります。
今後の見通しなども含めて、
しっかり内容を協議した上で
説得力ある適正な評価をしていきたいです。
鑑定評価には、土地評価の際に
周辺の売買実例価格(取引事例)から
価格を求める方法があります。
取引事例比較法といって、
市場性、マーケットアプローチから
価格を求める手法です。
【実務上の問題点】
この中でよく質問を受けるのが、
どのような売買実例価格(取引事例)を
選んでいるのか?ということです。
極端な話、高い事例から評価したら高くなり、
安い事例から評価したら安くなります。
評価主体の恣意性が疑われるケースもあったりします。
裁判上の評価等でも、高く評価したい方は
高い事例に基づいてこの土地は高いと主張し、
安く評価したい方は安い事例に基づいて安いと主張し、
平行線をたどってしまうケースも多いです。
実際の売買ですから、路線価=取引価格と
1点で決まるものではなく、
市場における中心価格帯という“幅”の中に
入っているかが大切だと考えます。
とはいえ、この幅の上下はそれなりにあって、
“ストライク高め”と“ストライク低め”では、
どちらも正しいけど、価格はかなり違う
というようなことも起こったりします。
【事例選択4要件】
鑑定評価のルールである不動産鑑定評価基準では、
何でも自由に事例を採用してもよいわけではなく、
ちゃんとルールに則って選択・採用しましょうと
4つの要件が定まっています。
■場所的同一性
同一需給圏内の類似地域等に存する不動産であること。
同一需給圏内の代替競争不動産であること。
■事情の正常性(事情の正常補正可能性)
取引等の事情が正常なものと認められるものであること。
正常なものに補正することができるものであること。
■時点修正可能性
時点修正をすることが可能なものであること。
■地域要因及び個別的要因の比較可能性
地域要因の比較及び個別的要因の比較が可能なものであること。
上記のほか、投機的取引はそもそもダメですし、
その他適正を欠くと認められる事例も選択・採用できません。
事例が豊富にある住宅団地などは
良い事例を多数収集して選択・採用できるのですが、
大規模工場や農家集落地域など、
取引事例がそもそも少ないところは
どのような事例を採用するか鑑定士の腕の見せ所です。
最終結果である鑑定評価額だけを見るのではなく、
どんな事例に基づいて評価をしているのかなと
評価の過程も見て頂けるとうれしいです。
令和2年基準地価の結果について
近畿圏の状況を見ていきたいと思います。
各府県の代表的な地点をピックアップします。
【滋賀県】
■大津市・JR大津駅前(商業地)
R1.7.1 349,000円/㎡
R2.1.1 354,000円/㎡(+1.4%)
R2.7.1 349,000円/㎡(▲1.4%)
一年間を通した変動率は±0%ですが、
前半はプラス、後半はマイナスとなっています。
平成25年から続いてきた地価上昇が半期で下落に転じました。
【京都府】
■京都市東山区・祇園(商業地)
R1.7.1 3,080,000円/㎡
R2.1.1 3,500,000円/㎡(+13.6%)
R2.7.1 3,220,000円/㎡(▲8.0%)
■京都市中京区・地下鉄丸太町駅付近(商業地)
R1.7.1 850,000円/㎡
R2.1.1 880,000円/㎡(+3.5%)
R2.7.1 865,000円/㎡(▲1.7%)
祇園はインバウンド需要も大きかったので、
前半の地価上昇、そして後半の地価下落と
大きな価格変動がありました。
上記は半年分の変動率ですので、
単純に年間ベースだと▲16.0%になります。
一方、御所南エリアでは、
需要が底堅く、地価は半期で微減となっています。
【大阪府】
■大阪市北区・グランフロント(商業地)
R1.7.1 21,700,000円/㎡
R2.1.1 25,000,000円/㎡(+15.2%)
R2.7.1 23,600,000円/㎡(▲5.6%)
■大阪市中央区・ミナミ戎橋付近(商業地)
R1.7.1 24,400,000円/㎡
R2.1.1 28,700,000円/㎡(+17.6%)
R2.7.1 23,300,000円/㎡(▲18.8%)
大阪の最高価格地は、キタを抜かして
最近はずっとミナミになっていましたが、
今回キタが最高価格地に返り咲きました。
インバウンド需要の消失が直撃したミナミは
半年間で▲18.8%、単純に年間ベースだと▲37.6%。
非常に大きな下落となりました。
一方、オフィス需要なども大きいキタは、
ミナミに比べて半期の下落率は小さくなりました。
ただ、店舗やオフィスの賃料減額や移転撤退などは
これからより顕在化する可能性もあり、
引き続き予断を許さない状況だと考えます。
【兵庫県】
■神戸市中央区・三ノ宮駅前(商業地)
R1.7.1 6,550,000円/㎡
R2.1.1 7,200,000円/㎡(+9.9%)
R2.7.1 6,700,000円/㎡(▲6.9%)
地価LOOK第二四半期でも
全国トップクラスの下落(四半期で▲3〜6%下落)と
なっていましたが、基準地価でもその影響が出ています。
店舗やオフィスの賃料減額や移転撤退などが
影響しているものと考えられます。
【奈良県】
■奈良市・近鉄奈良駅前(商業地)
R1.7.1 712,000円/㎡
R2.1.1 830,000円/㎡(+16.6%)
R2.7.1 745,000円/㎡(▲10.2%)
近鉄奈良駅前は、一年間通しでは
地価上昇となっていますが、
前半・後半に分けて見ていくと
大きな地価上昇と地価下落となっています。
【和歌山県】
■和歌山市・JR和歌山駅前(商業地)
R1.7.1 441,000円/㎡
R2.1.1 442,000円/㎡(+0.2%)
R2.7.1 442,000円/㎡(±0.0%)
JR和歌山駅前は、前半に地価が微増し、
後半は横ばいとなっています。
コロナの影響が直撃した後半で
商業地が横ばいというのは非常に少ないです。
令和2年基準地価が発表されました。
新型コロナウイルスの影響が考慮された
最初の公的土地評価です。
【変動率の期間】
「令和元年7月1日〜令和2年7月1日」の
1年間の価格変動を踏まえた結果です。
コロナの影響が無い前半は地価上昇傾向、
コロナの影響が出た後半は地価下落傾向と
前半・後半に分けて見ていくことが良いと思います。
【基準地価の概要】
■前 半■
「交通利便性や住環境の優れた住宅地、
オフィス需要の強い商業地、
訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が
見込まれる地域を中心に
地価の回復傾向が継続していたと見られる。」
前半は非常に地価上昇傾向が強く、
低金利や大企業を中心とする景況感、
インバウンドによるプラスの影響が
とても大きかったということです。
■後 半■
「新型コロナウイルス感染症の影響による
先行き不透明感から需要が弱まり、
総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい
又は下落への転化となったと見られる。
なお、前半から下落が継続していた地域においては、
下落幅の拡大も見られる。」
「地価動向の変化の程度は様々であり、
新型コロナウイルス感染症が地価に与える影響の程度が
土地への需要の特徴や地域の経済構造などにより異なることや、
再開発など中長期的な上昇要因の有無が地域で異なることによる」
<インバウンド需要が強かった地域>
コロナ禍によりインバウンド需要が消失したため、
インバウンドの影響により地価が上昇していた地域は
今回でもトップクラスの下落となっています。
新聞報道でも、大阪ミナミは
1月比で▲18.8%下落となっているなど
影響は非常に大きいです。
<インバウンド需要があまり無かった地域>
インバウンドの影響があまり無い地域でも、
自粛やリモートワーク、先行き不透明感など
日本人や企業の行動変化よる影響が出ています。
ただ、インバウンドほど過熱感が無かったため、
地価上昇もほどほどでしたし、地価下落もほどほどです。
<元々地価が下落していた地域>
先行き不透明感などから、
弱い需要がさらに弱くなり、
地価下落傾向が強まったと考えられます。
特に、古くからの農家集落地域は、
公的価格以上に実勢価格が落ち込んでおり、
売りたくても売れない物件が
さらに増える可能性があります。
地域毎の詳細については、次のブログで。
【固定資産税への影響】
令和3年度は3年に一度の
固定資産税の評価替え年度です。
今回の基準地価の結果だけではなく、
直近3年分の地価変動が合計されて
評価額に反映されます。
仮に今回の基準地価の結果で
地価下落となっている地域であっても、
直近はかなり地価が上昇していました。
そのため、15%+20%−10%=+25%というように
合計すると地価上昇=評価額アップとなり、
税額が上昇するケースも多いかもしれません。
「土壌汚染ってどうやって調べるの?」
土壌汚染は多額の費用が見込まれることが多く、
“一撃必殺”で価格が変わってしまう大きな要因です。
そのため、土壌汚染があるのか無いのか、
費用としてはどれくらい見込めばよいのか、
ざっくり調べたいとご相談を頂くことが多いです。
詳細は、法で定められた指定調査機関に依頼して
しっかりと調べてもらうことになるのですが、
自分でも調べられることはけっこうあります。
【所有者負担】
汚染土壌は、基本的に
所有者の負担で浄化する必要があります。
用途によっては浄化まで要求されなかったり、
最終的には汚染の原因者に求償できるなど
細かい規定はありますが、
現実問題として所有者が浄化費用を
負担することがほとんどだと思います。
【行政調査】
都道府県・特例市・中核市の環境担当課において、
区域指定の有無及びその内容、有害物質使用施設一覧、
水質汚濁防止法の特定施設一覧等を確認できます。
ただ、台帳に記載されているものは
実際に土壌汚染がある土地の一部にすぎません。
そのため、行政調査を行い、
該当が無かったからといって土壌汚染無しと
判断することは早計です。
【不動産登記簿】
過去に工場として利用されていた土地は、
土壌汚染の可能性があります。
閉鎖登記簿も含めて、土地・建物の所有者、
建物の種類や用途などを確認します。
例えば、“○○化学工業株式会社”の“工場”であれば、
土壌汚染の可能性が高いかもしれないと推測できます。
【過去の住宅地図】
図書館に行くと、その地域の
古い住宅地図を閲覧することができます。
細かい範囲や実際の利用状況までは確認できませんが、
上記のような化学工場の記載があれば、
土壌汚染の可能性が高いかもしれません。
【航空写真】
ネットで「地図・空中写真閲覧サービス」を検索すると、
国土地理院がこれまで整備した空中写真を
検索して閲覧することができます。
拡大すると粗い画質になりますが、
住宅地図よりも実際の土地利用状況を
調べることができます。
このような事前調査を踏まえて
土壌汚染の可能性の高低を判断し、
必要に応じて指定調査機関などに
ご依頼されることがよいのではないでしょうか。
「この不動産、交換できるかな?」
会計士さん・税理士さんから
ご相談が多い内容のひとつが交換の特例です。
通常の譲渡(売買や贈与)では
不動産の譲渡に伴って多額の税金が発生します。
しかし、交換の特例に合致すれば、
この交換にかかる税金は課税されません。
かなり大きなことですよね。
【適用要件】
同種の固定資産であることや
1年以上の所有期間、同一用途など
適用要件が具体的に定められています。
その中でも、
「交換により譲渡する資産の時価と
取得する資産の時価との差額が、
これらの時価のうちいずれか
高い方の価額の20%以内であること。」
について、ご相談を受けることになります。
【鑑定評価の活用】
不動産の価格は、1+1=2のように
1点で決まるものではなく、
適正な価格帯という“幅”があります。
また、収益物件などの場合、
通達評価や固定資産評価額だけでは
その不動産の適正な時価となっていないことも。
鑑定評価を活用して、
うまく交換の特例を適用できれば、
先生方のシミュレーションの選択肢も
広がっていくのではないでしょうか。
いきなり鑑定評価をご依頼頂くのではなく、
それぞれの不動産の価格がどの程度なのか、
交換の特例を使える可能性はどれくらいあるのかを
事前にご相談頂くことをご提案いたします。
【不動産の価格】
「当事者間で合意された資産の価額が、
交換に至った事情等に照らし
合理的に算定されていると認められるときは、
その合意された資産の価額によることができる。」
とされています。
もちろん、明らかに贈与等の意思をもって
著しく価格の異なる資産を交換したような場合は、
合理的に算定された価格とはいえません。
交換の特例に合うよう無理に出された評価は、
税務リスクが非常に高くなるので注意が必要ですね。
「相手に先に依頼されたら困るから、
こちらが先に依頼予約をしておきたい。」
弁護士さんからこのような
ご連絡を頂くことがあります。
もう嬉しくて嬉しくて、
感謝の言葉もありません。
「残っていたから、仕方なくお前に頼む」
と言われるより、
どれだけありがたいことでしょうか(笑)
そんな浮ついたことを言いたいのではなく、
どんなことでもけっこうですので、
気になることは事前にゼヒ“ちょい聞き”ください。
【事前調査の大切さ】
その不動産が、ざっくりいくらなのか。
100万円、1,000万円、1億円etc.
売りやすいのか、売りにくいのか。
市場の動向はどのようになっているのか。
事前に大きな流れを掴んでおくと、
今後の進め方や考え方に大きな差が出ます。
こちらの強みと弱みを把握することで、
常に優位に交渉を進めることができます。
【綿密な連携】
弁護士さん、会計士さん、税理士さん、
ご依頼目的は異なりますが、
それぞれの専門分野と鑑定評価のコラボです。
どうしてもそれぞれの分野の接合部は
ボタンの掛け違いや考え方の違いが出てきます。
○○のつもりで評価を頼んだのに、
■■の評価を出されて使えなかった。
こちらの証拠として頼んだのに、
逆に相手に有利な内容(証拠)が書かれていた。
このような事例は枚挙にいとまがありません。
事前にざっくり概算だけでもお問い合わせ頂き、
今後の方針について大筋を決めておく。
その上で、綿密に連携を取りながら
ご依頼目的に沿った鑑定を行う。
そうすることによって、
専門家同士の本来の連携効果が
発揮されるのではないでしょうか。
倍率地域の相続税評価額は、
固定資産評価額に倍率を乗じることで
相続税評価額が求められます。
しかし、基となる固定資産評価額は
相続税評価と同一の目線で
価格が決まっているのでしょうか。
実際にご相談があった事例を
ご紹介させて頂きます。
【固定資産評価】
固定資産の評価は、地方税法の規定により
総務大臣が定める「固定資産評価基準」に
よらなければならないとされています。
この中で「画地の認定」があります。
■原 則
一画地は、土地課税台帳又は
土地補充課税台帳に登録された
一筆の宅地によることを原則とします。
■例 外
一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について、
その形状、利用状況等からみて、
これを一体をなしていると認められる部分に区分し、
又はこれらを合わせる必要がある場合においては、
その一体をなしている部分の宅地ごとに
一画地とすることとされています。
原則は、1筆毎に1画地として評価するが、
利用状況等によっては、
1筆を分けて評価することがあったり、
複数筆をまとめて評価することもあるということです。
【問題となるケース】
問題となるケースは色々ありますが、
下記の場合を例として挙げてみます。
□■=固定資産評価の一画地
■ =相続税評価の対象地
__________________________________
幹線道路 100,000円/㎡
__________________________________
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□■■■■■■■
□□□□□□□■■■■■■■
-------------------------------------------
背後道路 20,000円/㎡
-------------------------------------------
固定資産評価としては、
幹線道路沿いの店舗として
□■全てを幹線道路沿いの
高い100,000円/㎡で評価しています。
しかし、相続税の評価対象地は■のみ。
■だけでは背後道路に面する
20,000円/㎡の土地になります。
このような場合に、幹線道路沿いの
100,000円/㎡で評価された固定資産評価額に
倍率を乗じてしまうとどうなるでしょうか。
本来の時価を超えて、
割高になってしまうかもしれません。
このように固定資産評価額についても、
どのような前提で評価されているか
しっかり確認していくことが大切です。
学問の秋、読書の秋、
連休前半はM&Aやデューデリジェンス、
企業価値評価の勉強を頑張ってきました。
【企業価値評価と鑑定評価】
企業価値評価と鑑定評価って
めちゃくちゃ似ているなと改めて感じました。
もちろん評価対象が会社と不動産と異なりますし、
細かい項目は違うことも多いのですが、
考え方や価格へのアプローチが本当に似ています。
不動産と言っても、戸建住宅ではなく、収益物件です。
そこそこ立派なテナントビルの評価と似ています。
【3つの評価アプローチと特徴】
■コストアプローチ
企業評価:時価純資産価額法、修正簿価純資産法
鑑定評価:積算法
客観性は高いが、将来の収益獲得能力の反映に弱い。
■マーケットアプローチ
企業評価:類似会社比準方式(マルチプル法)
鑑定評価:取引事例比較法
客観性や市場での取引環境の反映に強いが、
評価対象の固有の性質の反映に弱い。
どの会社、どの取引事例から評価するかによって
結果が大きく変わってしまう。
良い会社、高い取引事例から評価すると高くなるし、
悪い会社、安い取引事例から評価すると低くなる。
■インカムアプローチ
企業評価:DCF法、収益還元法 等
鑑定評価:DCF法、収益還元法 等
将来の収益獲得能力の反映や固有の性質の反映に強いが、
客観性は弱い。
特に、将来の収益性を想定して評価するDCF法は、
楽観的に考えるか、悲観的に考えるかによって
結果が大きく変わってきます。
【点ではなく幅】
企業価値評価も鑑定評価も、
唯一絶対的な価格というものは存在せず、
一定の適正な価格の幅として認識されます。
その上で最終的には
1点での価格を出すのが専門家ですが、
利回りや割引率を少し変えるだけで
結果が大きく変わってくるのも
よく似ているなと思いました。
【仲介会社方式】
時価純資産に3〜5年の正常営業利益を加算して
企業価値評価を出す方法です。
理論的・専門的には色々問題があるが、
経営者の方に非常にわかりやすいとのことでした。
鑑定評価には同じような手法が無いので、
この仲介会社方式のような評価方法って
鑑定評価でも応用できたら面白いかなと思いました。
士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

などなどお気軽に「ちょい聞き」してください!
TEL:077-596-5753(電話受付:平日 9:00〜17:00)
※当事務所は士業専門の不動産鑑定サービスを提供しておりますので、一般の方からのお問合せはご遠慮いただいております。ご了承ください。
※一般の方はこちら ≫公益社団法人滋賀県不動産鑑定士協会