近年は日本の農業が見直され、
法人の農業への参画も増えてきています。
今回は傾斜地勢の農業用施設用地の評価について、
相続税評価額と現実の売買価格(時価)を
比較してみようと思います。
通達評価は画一評価であるため、
相続税評価額と時価が大きく乖離してしまい、
問題となるケースがあります。
今回はやや特殊なケースではありますが、
その評価額が時価として妥当性を有するかどうか
常に確認することが大切です。
【農業用施設用地とは?】
農業用施設の用に供されている宅地です。
農業用施設には、畜舎、蚕室、温室、
農産物集出荷施設、農機具収納施設などが該当します。
【財産評価基本通達24-5】
通達評価では、
農地としての価格+宅地造成費=農業用施設用地の価格
となります。
<試算例>
・通常の農地としての価格:500円/㎡
・地 積:3,000㎡
<通常の農地としての価格>
500円/㎡ × 3,000㎡ = 1,500,000円
<農業用施設用地としての価格>
・傾斜度:3度超5度以下
(500円/㎡ + 18,600円/㎡)× 3,000㎡ = 57,300,000円
・傾斜度:25度超30度以下
(500円/㎡ + 59,100円/㎡)× 3,000㎡ = 178,800,000円
農業用施設用地として評価をすると、
通常の農地としての価格よりはるかに高い評価額になります。
ここで注目して頂きたいのは、
傾斜度が大きいほど宅地造成費が高くなり、
結果として相続税評価額が高くなっています。
しかし、現実の売買価格(時価)としてはどうでしょうか。
傾斜度が大きいほど利用効率が悪くて需要が無く、
現実の売買価格(時価)は逆に低くなることの方が
多いのではないでしょうか。
【まとめ】
財産評価基本通達はよくできていますが、
どうしても画一化された評価であるため、
現実とかけ離れた評価になることもあります。
通達だから大丈夫と安易に評価してしまうと、
過大な評価額(税額)となる場合もあり、
時価として妥当かどうかのチェックが大切です。