「小規模宅地等の特例を適用する土地について、
鑑定評価で相続税評価額を
適正に見直すことはできますか?」
【小規模宅地等の特例は“天敵”】
小規模宅地等の特例を適用する土地は、
鑑定評価をするメリットが無いことがほとんどです。
小規模宅地等の特例は、
まさに「特例」として相続税評価額を下げるもので、
特例が適用されるからといって、
土壌汚染など具体的な減価があるわけではありません。
鑑定評価においては、
具体的な減価の要因がないものを
勝手に減価することはできないため、
小規模宅地等の特例は
鑑定評価の“天敵”となってしまうのです。
【小規模宅地等の特例の減額割合】
小規模宅地等の特例を適用するための要件は、
ざっくりいうと
被相続人または生計一親族の
事業用または居住用の宅地等で、
建物または構築物の敷地であること です。
この要件に該当すると、
限度面積はあるものの、
▲50%〜▲80%もの大きな減価となります。
しかし、鑑定評価においては、
被相続人等の事業用・居住用の建物敷地であることは
全く減価の要因にはなりません。
減額割合ゼロです。
【遺産分割における注意点】
小規模宅地等の特例は、
相続税評価額を下げる(相続税額を下げる)ためには
非常に大きな効果があるものです。
しかし、当該土地に
具体的な減価が発生しているわけではなく、
本来的な資産価値(時価)には全く影響がありません。
そのため、遺産分割をされる場合、
特に裁判や調停など分割方法でもめている場合は、
本来的な資産価値(時価)との乖離にご注意ください。
小規模宅地等の特例を適用した相続税評価額を
適正な「時価」であると主張されるケースも散見されます。
その価格(相続税評価額)が
どのような前提で評価されているのか、
しっかり見ていくことが大切です。