金融機関に融資を申請したものの、
建物の耐用年数の関係で
希望する融資年数より短くなってしまう。
なんとかならないでしょうか。
このようなご相談もよく頂きます。
【問題点】
金融機関からの融資の場合、
「主な減価償却資産の耐用年数表」を厳格に適用して
建物の経済的残存耐用年数を判断されてしまい、
希望する融資年数を確保できないことがあります。
【建物の経済的残存耐用年数】
■主な減価償却資産の耐用年数表
いわゆる法定耐用年数と言われるものですが、
あくまでも減価償却に要する期間であって、
必ずしも経済的残存耐用年数と一致するわけではありません。
現実的にも技術の進歩で建物の耐久性は高まっているのに、
この耐用年数は短くなっていく傾向にあります。
■不動産鑑定評価基準
経済的残存耐用年数とは、
「価格時点において、対象不動産の用途や利用状況に即し、
物理的要因及び機能的要因に照らした劣化の程度並びに
経済的要因に照らした市場競争力の程度に応じて
その効用が十分に持続すると考えられる期間」をいいます。
「経済的」なので、物理的な耐用年数とは異なります。
建物の構造や施工の程度、維持管理の状態、経過年数、
社会経済情勢等を踏まえ、対象建物の経済的残存耐用年数を
個別具体的に判断していくことになります。
築浅なのにボロボロな建物があったり、
築30年以上なのに良好な維持管理で築浅に見えたり、
本当に千差万別で様々な建物があります。
■平均寿命の調査結果
大学教授による建物の平均寿命の調査結果もあります。
RC造共同住宅 56.54年
鉄骨造共同住宅 55.07年
鉄骨造事務所 46.32年
鉄骨造倉庫 53.01年
木造専用住宅 65.03年 等
(いずれも2011年調査)
【まとめ】
良好な管理状態を維持し、適切な維持管理費、
修繕費、資本的支出等を支出している場合は、
法定耐用年数以上の耐用年数も十分に見込まれます。
法定耐用年数の関係で、希望する融資年数とならない場合は
不動産鑑定士にご相談ください。