士業専用ダイヤル
生産緑地についての研修会に参加してきました。
2022年問題、相続対策、不動産市場予測など
非常に興味深い内容でした。
不動産鑑定士も生産緑地の評価を
依頼されるケースがありますので、
評価について考えてみました。
【生産緑地とは】
市街化区域にある農地のうち、
生産緑地地区の指定を受けた農地です。
面積は500㎡以上が基本で、
平成4年(1992年)に
指定を受けた生産緑地が大半です。
<メリット>
・固定資産税が農地並み課税で非常に安いこと
・相続税の納税猶予を使うと、評価が非常に安くなる。
<デメリット>
・生産緑地に指定されている間(30年間)の営農義務。
・納税猶予を使うと、死ぬまで営農義務。
(生産緑地指定と関係なし)
【財産評価基本通達における評価】
「No.4626 生産緑地の評価」
課税時期から、買取りの申出をすることが
できることとなる日までの期間により
以下のとおり減価割合が定められています。
すぐに申出できるもの ▲ 5%
5年以下のもの ▲ 10%
5年を超え10年以下のもの ▲ 15%
10年を超え15年以下のもの ▲ 20%
15年を超え20年以下のもの ▲ 25%
20年を超え25年以下のもの ▲ 30%
25年を超え30年以下のもの ▲ 35%
【鑑定評価】
生産緑地について、建築物の新築、
宅地造成などを行う場合には、
市町村長の許可を受けなければなりません。
しかし、この許可は、農産物の生産集荷施設や
市民農園の施設等を設置する場合以外は、
原則として許可されないことになっています。
財産評価基本通達は、このような
市街化区域で宅地化も可能な土地なのに、
一定期間農地としてしか使えないことを
考慮した減価になっているということになります。
<開発許可との関係>
生産緑地は、解除されれば宅地利用が可能ですが、
そもそもその生産緑地は宅地化できるのでしょうか。
生産緑地の主たる需要者としては、
開発素地を求める不動産業者(デベロッパー)
が想定されます。
生産緑地が多く存在するのは、都市の外辺部です。
そもそもその地域に宅地需要はあるのか、
そもそもその生産緑地単独で開発可能なのか。
周辺も生産緑地に囲まれてしまっていたり、
道路要件で開発許可が不可能であったり、
そもそも生産緑地が解除されたとしても
宅地化が見込めない物件もかなりあると思います。
このような場合は、買取申し出までの
期間のみの減価だけを考えるのではなく、
そもそも「生産緑地でないものとして評価した価格」が
適正かどうかをしっかり検討する必要があります。
単に、正面路線価×地積×画地計算のみでは、
時価を超えて過大に評価してしまう可能性があります。
【その他】
余談ですが、生産緑地の申出期間による減価割合と
配偶者居住権で適用される複利現価率。
土地利用可能性などを反映して、
同じ期間であっても率が異なることが興味深いです。
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