6/29の日経新聞に
「電通グループ、本社ビル売却益890億円」
という記事が掲載されていました。
「東京・汐留の「電通本社ビル」の売却の検討に入った」
「営業損益で約870億円、
最終損益で約590億円の押し上げ要因になる」
「売却後も11年間の賃貸借契約を結び、
ビルの大部分は電通グループが使い続ける予定」
とのことです。
【セールアンドリースバック】
自社ビル等の不動産や機械設備等を売却し、
その買手から当該物件のリースを受ける取引です。
■キャッシュフローや資本効率の向上
借り入れをせずに手元資金を確保でき、
バランスシートのスリム化等も期待できます。
■物件の継続使用・事業の継続が可能
売却とリースバックの契約を同時に結ぶため、
そのままこれまでとおり物件の継続使用ができます。
■売却損益の計上
売却損益が出ますので、決算に大きな影響があります。
中小企業の場合でも、
セールアンドリースバックは普通に検討され、
売却損益の計上で決算(税額)が大きく変わることが
インパクトとして受け止められることが多いです。
また、売却先の選定や賃料の設定如何で、
事業承継・相続対策として活用されるケースも見られます。
【鑑定士的な視点から】
簿 価 譲渡益 売買価格
1,790億円 + 890億円 = 2,680億円
別の記事でも、
「東証1部2部上場企業の不動産売却調査では、
2001年以降、売却額で国内最大規模」
と記載されていて、
どのように価格決定されたのか非常に興味深いです。
不動産鑑定士は、適正な売却価格の評価、
リースバックの適正賃料の評価を行います。
どんな資料や利回りに基づいて評価したのか、
見られるものなら見てみたいと思います。
【個人の住宅でも】
似たような仕組みとして
「リバースモーゲージ」があります。
自宅に住み続けながら、
その自宅を担保に老後資金を借りることができる
というものです。
リバースモーゲージの担保評価も
不動産鑑定士が関与することがあります。