士業専用ダイヤル
交渉の“モノサシ”に
不動産の価格は、時の流れで変化します。
また、同じ時点でも、価格には幅があり
適正な価格がいくらかわかりにくいのが実情です。
不動産の売買をする場合、
売主or買主が提示した価格は適正なのか、
ぼったくりされたりしていないか心配ですよね。
私がお付き合いのある業者さんはみなさん紳士ですが、
不動産業者さんの査定額が信頼できないと
ご相談を受ける場合もあったりします。
売主は高く売りたいし、買主は安く買いたい。
でも、様々な関係から無茶を言っているように
思われたりもしたくないし、どうしよう…。
こんな場合も、不動産鑑定士がお役に立ちます。
売主にも買主にも忖度しない
適正など真ん中の価格をお出しすることができます。
鑑定価格で売買しなければならないわけではなく、
交渉のスタートとなる基準をお示しします。
価格の見える化
たとえば、あなたが売主だったとしましょう。
買主とは特別な関係があるので、
相場で1,000万円の土地を
20%安く800万円で売ろうと考えます。
売主が提示した800万円は相場より20%も安いのですが、
買主は600万円が相場だと思っていたとします。
この場合、せっかく安く売ろうと親切に言ったのに、
買主は逆に200万円も高く売りつけられていると感じます。
このようにお互いが相場をちゃんと把握していないと、
どちらにとっても不幸せな結果となってしまいます。
ペットボトルは150円が定価だと知っているからこそ、
100円だと安いと思うし、200円だと高いと思う。
みんなが相場を共有しているから高い安いの話ができます。
あなたが買主の場合も同様です。
買主が相場は600万円だと思った上で、
高めの800万円で買おうと提示しているのに、
売主は1,000万円が相場だと思っていると、
高く提示したつもりが安く提示したことになります。
このようにスタートラインとなる価格を
お互いに共有することにより、
疑心暗鬼になることなく、売買期間も短縮できて
気持ちよく取引ができると思います。
よくあるご相談
交渉相手の価格が適正かどうか見てほしい。
相手にいくらで提示したらいいか教えてほしい。
更地の売買なら価格だけでほぼ大丈夫ですが、
古家付の物件であったり、収益物件であったり、
どのような前提条件で売買するのかによって
同じ物件でも価格が変わってくることがあります。
しっかり取引対象と前提条件を整理した上で、
適正な価格で売買するお手伝いをしていきたいです。
不動産をたくさん持っている会社
相続・事業承継・M&Aなどの場面で、
会計士さんや税理士さんから
株価算定を前提としたご相談を頂くことが多いです。
もちろんどんな時にでも!というわけではなく、
不動産をたくさん持っていて、
不動産の価格をどう見るかによって
その会社の価値が大きく変わる場合です。
中小企業の株価
中小企業はほとんど非上場です。
そのため、相続・事業承継・M&Aなどの場面では
会社の株価を算定する必要があります。
詳細は会計士さんや税理士さんがご専門ですが、
簿価純資産価額法や時価純資産価額法などを用いる場合、
不動産の価格次第で株価が大きく変わります。
相続税の通達評価と固定資産評価額
会計士さんや税理士さんが
株価算定の際にどのような不動産の価格を使うのか。
一般的に多いのは、固定資産評価額や
評価通達を用いた相続税評価額ではないでしょうか。
直近に買ったものだと簿価(取得価格)なども。
上記でも全く問題はないのですが、
またまたよく考えてみてください。
土地の相続税路線価は時価の8割、
固定資産評価額は時価の7割ですし、
単純に割り戻したとしても、そもそも
評価額と時価が乖離していることもあります。
人気の高いエリアだと、
時価は評価額の何割(何倍)増しですし、
人気のないエリアだと、
時価は評価額の半分かもしれません。
建物は、築浅だと評価額<時価、
築20年以上だと評価額>時価。
大規模修繕など資本的支出も考慮されていません。
特に、会社が持っている不動産だと、
事業用の店舗、事務所ビル、倉庫や工場など
比較的規模の大きな建物が多いと思います。
以前のブログでも書きましたが、
築20年以上、規模が大きい、
鉄骨や鉄筋コンクリート造の建物は、
固定資産評価額と時価の乖離が非常に大きくなります。
鑑定評価を活用する
鑑定評価を活用すると、
不動産の価格が大きく変わる可能性があります。
そうすると、株価が変わり、
相続税額、贈与税額、M&A価格、のれん代が変わります。
相続・事業承継・M&A対策のための
先生方の算定シミュレーションなども
大きく変わってくるのではないでしょうか。
全ての不動産を概算すると大変ですので、
価格が大きい、重要度が高いなど
物件を絞って鑑定評価を検討されてもよいかもしれません。
総額のみ記載の契約書
土地建物の売買をしたのに、
契約書に総額しか書いてない!
どうやって土地建物に分けるの??
このようなご質問もよくお受けします。
土地建物価格をどう按分するか
どのように土地建物価格を按分するかは、
消費税額と将来の減価償却費に大きな影響があります。
土地は消費税非課税ですので、
土地価格が大きくなるほど消費税額は下がります。
一方、建物価格が大きくなるほど、
消費税額は逆に増えることになります。
さらに、建物価格が大きいと、
将来の減価償却費を多く取れる利点があります。
固定資産評価額での按分が一般的
固定資産評価額で按分して、
土地建物価格の内訳を出すことが一般的ではないでしょうか。
売買契約書:総額1億円。
土地の固定資産評価額:35,000,000円
建物の固定資産評価額:15,000,000円とすると、
土地 1億円 ×(35/35+15)= 70,000,000円
建物 1億円 ×(15/35+15)= 30,000,000円 という感じです。
固定資産評価額って?
上記でも全く問題はないのですが、
よく考えてみてください。
土地は時価の7割評価になっていますし、
評価額と時価は異なる場合もあります。
人気の高いエリアだと、時価は評価額の何割(何倍)増しにですし、
人気のないエリアだと、時価は評価額の半分かもしれません。
建物は築浅だと評価額<時価、築20年以上だと評価額>時価。
大規模修繕など資本的支出も考慮されていません。
土地評価額を時価に割り戻してみます
上記の例で、仮に土地だけを0.7で時価に割り戻してみます。
35,000,000円 ÷ 0.7 = 50,000,000円 となります。
評価額が土地:50,000,000円、建物15,000,000円となり、
総額1億円の土地建物の按分価格は、
土地 1億円 ×(50/50+15)≒ 76,900,000円(+6,900,000円)
建物 1億円 ×(15/50+15)≒ 23,100,000円(▲6,900,000円)
となります。
たったこれだけでも大きな差が出てきました。
鑑定士が評価する
土地建物ともに鑑定士が評価をすると、
土地価格も建物価格も当初の固定資産評価額から
大きく変わる場合があります。
土地が評価額の倍になり、建物が半額になる。
土地が評価額より下がり、建物が評価額より高くなる。
どれくらい変わってくると想像されますか?
消費税で数百万円変わることも珍しくありません。
消費税額と将来の減価償却費が大きく変わるのですから、
先生方の将来シミュレーションなども
大きく変わってくるのではないでしょうか。
もちろん物件によって、あまり変わらない場合もあります。
ざっくり概算の“ちょい聞き”をして頂けましたら、
どれくらい価格が変わるのか概要をご報告させて頂きます。
ここに注意!
契約書に既に内訳価格が記載されている場合、
内訳価格がなくても、消費税額が記載されている場合は、
契約書記載の価格が優先されてしまいますので、
契約書の内容をご確認くださいますようお願いいたします。
金融機関から求められます
不動産を担保にして融資を受ける場合、
不動産を買うために価格の適正さを証明する場合、
親族間や関連会社間で売買する場合など、
金融機関から鑑定士の書面を求められる場合があります。
どんな書類を作成するか
もちろん正式な「鑑定評価書」が最善です。
しかし、金融機関から簡易な書面でよいと言われる場合、
不動産の価格がそれほど大きくない場合などは
一定の根拠を記載した簡易版の
「意見書」や「調査報告書」を作成することもあります。
以前「簡易鑑定」と呼ばれていた書類と同じようなものですが、
現在は正式な手順を全て網羅した「鑑定評価書」以外で
「鑑定」という言葉は使えなくなりました。
金融機関が特に気にするポイント
鑑定評価書でも、意見書でも、
提出する先によって
重点チェックするポイントが異なります。
裁判所、税務署、監査法人、金融機関、売買の相手方など
それぞれに合わせた内容だと、より説得力が増します。
建物の残存耐用年数
融資年数と建物の残存耐用年数はよく見られます。
融資期間中に建物がダメになったら困るので、
建物が大丈夫かどうか気にされることが多いです。
たとえば、融資期間20年なのに、
建物の残存耐用年数10年となっていると、
手続きがスムーズに進まなくなる場合があります。
物件の収益性
賃料はいくらか、利回りはどうなっているか、
そしてその根拠は何か。
物件からの収益が返済の原資になるのですから、
やはり金融機関は数字をよく見ているなと感じます。
楽観過ぎる想定で安易に数字を上積みすることなく、
しっかり市場の実態を踏まえて評価していく必要があります。
相続税路線価
路線価の2倍まではなんとか通るかもだけど、
路線価の3倍以上は厳しい…など
相続税路線価がどうなっているのかも非常に重要です。
最近はコロナで地価上昇も一服していますが、
これまでは京都や大阪など人気エリアは
路線価の2倍どころか3〜5倍の取引も多くありました。
このような場合、実際の売買実例を踏まえて、
どこまでバブルではなく適正価格であるか
しっかり説明していくことが大切です。
軽く数千万円の差に
弁護士さんからのご相談が最も多い分野です。
遺産分割調停・審判や遺留分減殺請求において、
不動産の評価額は非常に大きな関心事です。
払う方からすると、不動産価格は安い方がよく、
貰う方からすると、不動産価格は高い方がよい。
全部売って現金で分けるときは問題ないのですが、
実際は現物分割や代償分割が多く、
不動産の評価額如何で取得できる物件や
やり取りされるお金が大きく変わってきます。
もしなんでも自由に希望が叶うのならば、
自分が取得する不動産は安く評価し、
他の相続人が取得する不動産は高く評価したいと思われるでしょう。
不動産の評価ってどうするの?
弁護士さんによって様々な主張をされますが、
以下のいずれかになることがほとんどです。
・固定資産評価額をそのまま使う。
・相続税評価額をそのまま使う。
・固定資産評価額を0.7で割り戻す。
・相続税評価額を0.8で割り戻す。
・不動産業者の査定書を出す。
・不動産鑑定士の鑑定評価書を出す。
■固定資産評価額をそのまま使う
固定資産評価額は、土地は時価の7割、
建物は時価で評価されています。
また、収益物件では、収益性も考慮されていません。
不動産の評価額が低いと主張したい側がよく使います。
公的な価格なので信頼性が高いとし、
固定資産評価額をそのまま使うパターンです。
土地は時価の7割なのはみんな知っているので、
ダメもとでとりあえずお金をかけず主張されることが多いです。
とはいえ、築年が古い建物や収益性が低い収益物件は、
固定遺産評価額>時価となっていることもあり、
安く言うつもりが逆に高かったとならないようにご注意ください。
一度だけですが、評価額を高く主張したい側から
固定資産評価額そのままを使って言われたことがあり、
さすがにビックリした記憶があります。
■相続税評価額をそのまま使う
国税の評価通達を使って算定されているのだから、
不動産の評価額として信頼性が高いと主張されるパターンです。
とはいえ、路線価は時価の8割となっていますし、
地価上昇が著しい地域では、実勢価格(時価)と乖離しています。
また、たまにあるのですが、
相続税に関する申告書類をそのまま添付されて、
小規模宅地特例などが適用された価格を主張されることも。
税務上の評価としては適正でも、
不動産の時価とは異なってしまうため注意が必要です。
■不動産業者の査定書を出す
どのような業界でも同じですが、
とても精緻に査定される方とそうではない方がいます。
一般的には、最終結果はしっかり押さえていても、
査定過程・根拠に問題があるケースが多いです。
色々計算したのに、急に半額エイヤ!と▲50%されるなど。
さらに、鑑定評価は、不動産鑑定士しか行うことができません。
不動産業者の査定書は、媒介契約に基づいて依頼者に提示されるものです。
そもそも媒介契約が存することが前提で、さらに目的外利用もできません。
弁護士さんからの依頼に基づいて、
遺産分割調停・審判のために価格査定を行っていると
不動産の鑑定評価に関する法律に違反する可能性が出てきます。
■不動産鑑定士の鑑定評価書を出す
私は不動産鑑定士ですので、
やはり鑑定評価書を一番オススメしたいです。
不動産鑑定士の鑑定評価書があれば、
裁判所も鑑定結果を踏まえて進めて頂けますし、
しっかりした根拠で説得力ある鑑定評価書であれば、
相手方の理解も進むのではないかと思います。
費用的にはどうしても上記より高くなってしまいますが、
相手が出してきた価格と数千万円、数億円と変わってくることも多く、
概算見込みだけでも鑑定士にご相談されることをご提案します。
あとでもっと高かったor安かったとなると、
依頼者さんとの間で大きな問題になることもあり、
相手の数字がどのようなものなのかを知るだけでも、
今後の方針を決めていくために有用ではないでしょうか。
士業の先生の不動産評価に関するご相談、お待ちしています

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