不動産評価で確認する10項目

鑑定評価を依頼する前のセルフチェック

不動産評価の前に確認したい主な項目をまとめました。鑑定評価や法務、税務などの専門判断に代わるものではありません。案件によっては、追加の確認が必要です。


どのような場合にチェックすると良いか

不動産の取扱いは金額規模が大きく、一歩間違えると案件全体の方向性を大きく左右します。

正式に鑑定評価を依頼するか決めていない段階であっても、以下の局面を迎えたらまずセルフチェックを行ってください。

  • 税理士
    相続税の申告前、親族・同族会社間での売買や賃貸借の検討時、あるいは事業承継前の資産整理のタイミング。
  • 弁護士
    遺産分割、遺留分、共有物分割、立退料、賃料増減額請求といった訴訟・調停や交渉の初期段階。
  • 公認会計士
    M&Aにおける不動産デューデリジェンス(DD)の初期、株価算定、組織再編、または監査上の減損兆候などの確認段階。
  • その他士業(司法書士・行政書士など)
    成年後見人としての不動産売却(裁判所への提出資料)、遺言書作成に伴う財産評価、親族間売買の適正な合意形成の段階。

使い方

  1. 資料を用意する
    登記事項証明書、公図、課税明細などを用意します。
  2. 10 項目を確認する
    分かる範囲で、一つずつ確認します。
  3. 分からない点をメモする
    不明な点があれば、専門家に確認します。

10 項目

01 登記と現況は一致しているか。

ヒント

登記簿、公図、そして現地の状況を突き合わせて確認します。

公図・地積測量図等の図面と現地の利用・占有状況に不整合がないか、登記されていない建物(未登記建物)や、逆に現存しない建物が登記簿に残っていないか(評価対象の漏れや誤りの排除)を確認します。

02権利関係を確認したか。

ヒント

借地権、借家権、共有持分、あるいは複雑な賃貸借契約などが設定されていないか確認します。

これら第三者の権利が絡むことで、不動産の価値や利用に大きな影響(価格の減価など)を及ぼします。

03法令上の制限を確認したか。

ヒント

用途地域による建築制限、道路への接道状況(再建築不可ではないか)、自治体独自の条例による制限、容積率・建ぺい率などを確認します。

法律上の制約によって、その土地の利用方法が大きく制限されている場合があります。

04土壌、災害、造成などの問題はないか。

ヒント

過去の土地利用履歴から土壌汚染の可能性はないか、遺跡などの埋蔵文化財包蔵地に該当していないか、土砂災害警戒区域などのハザードマップにかかっていないか、高低差による造成・擁壁工事が必要ないかを確認します。

05建物の状態と修繕履歴を確認したか。

ヒント

形式的な築年数だけで判断せず、実際の維持管理状況、過去の修繕履歴、現在の稼働状況から見て、建物がどれだけの収益性や実質価値を保っているかを客観的に確認します。

※「法定耐用年数」は税務上の減価償却に用いる年数であり、物理的寿命又は経済的残存耐用年数と同一ではない。

06買い手・借り手は想定できるか。

ヒント

その不動産の具体的な購入者像(周辺の一般個人なのか、不動産業者なのか、法人の事業用なのか)を想定します。

需要層(購入者)の厚さによって、実際の市場でどのように評価・売買されるかが大きく変わります。

07現在の利用が適切か。

ヒント 現在の利用方法(例:古い平屋、遊休地など)が本当に土地のポテンシャルを最大に引き出す「最有効使用」になっているか、あるいは別の有効な利用可能性がないかを客観的に見極めます。

08比較できる取引事例はあるか。

ヒント 机上の路線価や固定資産税評価額だけを見るのではなく、周辺の市場で実際に成立している「類似した取引事例」を確認し、市場の実勢価格水準とどれほどの乖離(ズレ)があるかを検討します。

09賃料、費用、空室率は妥当か。

ヒント 収益不動産の場合、現在の賃料設定が相場と比べて適正か、空室リスクや将来必要となる修繕費用は織り込まれているか、利回りは妥当か、賃貸借契約自体が安定しているかを確認します。

10前提、根拠、判断の限界を説明できるか。

ヒント 作成する評価資料や申告内容が、税務署、裁判所、監査関係者、あるいは利害関係のある相手方やその専門家から見たときに、客観的に無理のない「合理的な説明が可能な状態」になっているかを確認します。

確認後について

明確な問題がないように見えても、資料や利用目的によって追加確認が必要です。案件によっては、すぐに鑑定評価書を作るより、先に必要な資料や成果物を確認した方がよい場合があります。